37 状況が動き出す
◇
「本日はお招きいただきありがとうございます、お姉様!」
「今日もご機嫌麗しく」
「徳妃のくせに一番最後に来るだなんて、随分肝が据わっていますのね」
「うふふ、お褒めに預かり光栄だわ! 賢妃のあなたには言われたくありませんけど!」
蓮華が黒曜の皇后になる、と決意を固めて約一週間後。今日の春麗宮には四夫人が集まっていた。今日は楽しくお茶会をするのではなく、黒曜の呪いについて四夫人として意見の交換をしようと話を持ち掛けたのだ。敵に塩を送るような真似をするはずがないと、誰かには断られるかと思っていたが、意外にも全員賛同してくれたため今この状況ができあがっている。
今回は前のように乱入されたり、万が一にも話が漏れてはならないため、春麗宮の応接室を使用していた。
「皆様、本日は突然の申し出だったのにも関わらず、お集まりいただきありがとうございます。ご挨拶もそこそこに恐縮ですが、本題に入りましょう。議題は事前にお伝えしていた通り『皇帝陛下の呪いについて』です。皆様資料等はお持ちでしょうか」
「はいっ!」
「緋月、こちらに」
今日、春麗宮で話し合いを行うにあたって、蓮華は『蟲毒』に関する資料を持参してほしいと伝えていた。可能であれば解呪に関するものが望ましいと。しかしそのようなものは誰も見つけられなかったようで、蟲毒の方法やどのような効果があるかなどが書き記された物を用意してくれていた。
「蓮華妃、言われた通り蟲毒に関する書物を持ってきましたけれど、なぜ蟲毒なのです? わたくしはそもそも呪いがどのようなものなのかを調べる方が確実だと思っていたのですが」
「それは私も知りたいです」
「同じく、疑問に思っていました!」
その質問に関する答えはすでに用意してある。何なら、そのことについて話すのが大きな目的のひとつだ。持参してもらった蟲毒に関する資料はその後で必要になる。
「霜」
『これだな』
「ええ、ありがとう。それでは皆様、こちらをご覧ください」
霜に頼んで例の物を手渡してもらう。そこには蓋の閉まったひとつの壺があった。
中ではカサカサと何かが這うような音がしており、その中身を察したらしい二人は一気に青褪める。だがしかし、ひとりだけ壺を見せただけで真っ青になった妃がいた。
「おひとり、見覚えのある方もいらっしゃると思うのですが、これは蟲毒に使われたであろう壺のひとつです。危険なので封をしていますが中には大きな蜘蛛が入っていました。これから話すことについて、必要ならば証拠としてお見せしましょう」
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