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鳥籠の華は皇后選定を乗り切りたいっ! ──呪われた皇帝を救いましょう──  作者: 山咲莉亜
鳥籠の華は皇后選定を乗り切りたいっ! ──呪われた皇帝を救いましょう──

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26 振り回し、振り回され

清夏宮(せいかきゅう)の敷地内で、異常なほど虫の数と種類が多いエリアがあった。小さな森と花畑の境目付近だ。恐らくは芙蓉の私室から見える場所』


 要するに、もしもそこで何かを隠していたとしても、私室から監視することが可能だと言いたいわけだ。


『不穏な言い方をしてしまったが、ただ虫が集まりやすい環境なだけかもしれぬ。最近はあの妃と親しくしているだろう。人間に害を与える虫がいる可能性もあるゆえ、注意してほしかっただけだ』

「…………」

『蓮華?』

「……では、一度この目で確認してみましょう。百聞は一見に如かずと言いますし、わたくしにしか分からないこともあるかもしれないものね。そうと決まれば、行動は早い方がいいわ。決行は明日、清夏宮に忍び込むわよ……!」


 本当に人間に害を与える虫がいたならば、蓮華よりも芙蓉の方が危険だ。芙蓉が危険な場所であることを知っていればいいが、何も知らないまま近付くと怪我をしてしまったり、宮廷内で事件が起きた際に容疑者候補となってしまう恐れがある。そうなると立場上、蓮華は庇うことができない。


『……こうなる気がしていたから、報告しなければならないと思いつつもあまり気が進まなかったのだ……』


 なぜ自ら危険に首を突っ込む……と、まるで人間のような仕草で額を抑える。頭が痛いのだろう。霜を苦しめている元凶は一体誰なのか……


 不安そうな霜に、犯人である蓮華がにっこり微笑む。何を言われても忍び込むのをやめるつもりはない、と。蓮華は自他共に認める『お転婆娘』なのだ。そう言っていれば好き勝手しても許されると思っている節があるのは否定しないが、心配しなくとも然程危険な行為ではないだろう。


「霜、あなたのその美しい目にはわたくしがどう映っていますの? わたくしはこれでも強いのだけど」

『ああ、それは我が一番良く知っている。蓮華の()()はたとえ大事件に巻き込まれようとも、周囲の人間を全員守り、自分にも傷ひとつ付けずに逃げ切れるレベルだ』

「分かっているのなら、どうしてそんなに心配するの?」


 これはただの疑問だ。蓮華は剣の心得などはないが、きっと並大抵の者では太刀打ちできないほどに強い。式神である霜はそれを他の誰よりも正しく理解しており、事実その実力を具体的に並べられている。


『そんなもの、蓮華のことが大切だからに決まっているであろう。命に代えても守りたいと思うほどの相手なのだ、理屈ではない』

「……モテる男の発言だわ」

『おい』


 せっかく良いことを言ってくれたが、直接的な言葉を素直に受け取るのはあまり得意ではないので、本心に少しの照れ隠しを混ぜて応える。間髪入れずに返ってきたツッコミは仕方がないものだろう。

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