20 情報提供は包み隠さず
「情報収集とのことですが、わたくしはまだ入内して二日なのであまりお話しできるほどの情報は持ち合わせておりません。四夫人のことでしたら、黒曜様もご存知かもしれないことがいくつか……」
今日のお茶会で本当に些細なことばかりだが、手に入れた情報もある。しかし黒曜は知っているものがほとんどのはず。それでも構わないというのなら、包み隠さず共有するが。
「まずは式神のことですね。淑妃様は猫、名前は翠と言います。強化能力を持っており、その実力は国内一だろうとご自分でおっしゃっていました。朱のご令嬢より上の位に選ばれたくらいですから、その言葉は信じるに値するかと。性格はとても優しく穏やかな方で、心の内は読めませんが多くの方に慕われているのではないでしょうか。性格だけで言うなら、この方が一番皇后に相応しく見えましたわ」
蓮華の言葉を聞いても黒曜は表情ひとつ変えず頷いている。普通は皇后選定の審判者たる皇帝に、自身のライバルの良い印象を与える情報など教えないものだ。ただそこは貴妃を目指す蓮華なので、自分の評価も下げすぎないように他の妃を持ち上げる。
「徳妃様は白蛇の式神でした。能力は知りません。ただ、その式神が毒を持つ蛇とのことですわ」
宮廷内で毒殺やその未遂事件が発覚した際、必ずと言っていいほどに夢鈴が容疑者となることを伝えておく。これについては黒曜も知らなかったらしく、何やら考え込むように視線を逸らした後、『確認しておく』と言われた。夢鈴は毒を持つ蛇であることを少しも隠そうとはしなかったので、今のところ何も後ろめたいことはないと思う。
「夢鈴の式神の件、この後で話しておきたいことがある。先に雪璃のことも聞かせてくれ。彼女の式神は私も見たことがない」
「はい。名前は緋月、長い白髪に薄い紫の瞳の少年でした。能力は分かりません。性格は……その、容姿と同じく神……みたいでしたね。少しわがままなところはありますが、慣れたらかわいいものなのではないかと。人の姿をしていました。黒曜様、人型の式神を見たことはありますか?」
「ないな。人型の式神は、瑞家に生まれた女性の持つ能力の強力さと同じくらいに希少だ」
「そうですか。では一度直接顔を合わせてみることをおすすめしますわ」
人型の式神は他の生き物の形をした式神と何か違うものを感じる。それに顔は知っておいた方がいいだろう。男子禁制の後宮で出歩いているところを見られ、捕まってしまっては困るから。
「分かった。では……お前に見てほしいものがある」
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