15 集い
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およそ妃らしかぬ話題で盛り上がっていると、背後から複数人の足音が聞こえてきた。揃って振り返れば、そこにいたのは徳妃の夢鈴と賢妃の雪璃。昨日はお互いに毒を吐き合っていたというのに、一緒に歩いているとは驚きだ。しかも蓮華の気のせいでなければ彼女達はこちらに向かって来ている。
「お二人とも、ご機嫌麗しゅう」
「こんにちは! お姉様に芙蓉様! 今日はいいお天気ですね!!」
「ええ」
やはり気のせいではなかったようだ。蓮華と芙蓉の横で立ち止まった二人は、それぞれ拱手してこちらに話しかけてきた。相変わらず雪璃は機嫌が悪そうだが礼儀正しく、夢鈴は元気いっぱいの末っ子感溢れる振る舞いだ。
「お二人はどうしてここに? お散歩でもしておられたのですか?」
「いいえ、偶然そこでお会いしただけですわ。わたくしが自らこの方と行動するはずがないでしょう」
「悲しいことをおっしゃらないでくださいませ! まるで私達が不仲みたいではありませんか!」
「何も間違っていないと思いますけれど、腹黒妖精様?」
もうっ! と頬を膨らませてかわいく拗ねる夢鈴と、その姿を嘲笑うようにして突き放す雪璃。どうやらこの二人はかなり相性が悪いらしい。夢鈴の方もこれは分かっていてわざとからかっているのだろう。腹黒妖精、と称されるのも正直納得だ。
「お二人とも、貴妃様の前で失礼ですよ」
「まあまあ、お気になさらなくても大丈夫ですわ。お二人もいかがです? お時間あるようでしたらご一緒しませんか? 今は芙蓉様と虫の話で盛り上がっておりましたのよ。妃同士の親睦を深めるのも大切だとは思いません?」
「虫って……」
「仮にも妃のする話ではなさそうですねっ!」
それはまあ、蓮華もそう思うし芙蓉だって同じだろう。嫌そうな顔をしている雪璃が正常のはずだ。
侍女に頼んで蓮華と芙蓉の間に二人の席を用意してもらう。大人しく席に着いた二人に、『ではお二人も一緒に、虫のお話をしますか?』と言えば、雪璃は全力で拒否した。そういった生き物は苦手なのだろう。このような反応を見ていると案外かわいらしいところもある気がして不思議な気持ちになってくる。
「ふふ、冗談ですよ。この場では無礼講ですのでお二人のお話もぜひお聞かせくださいな!」
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