ISAT、出撃せよ!
皆様、新年、明けましておめでとうございます!
二〇二六年は占いでは飛躍の年になると、私は言われておりますが、そうなるように願います。
今年はお正月に相応しい、王道ヒーロー活劇です!
相変わらずの「機動特殊部隊ソルブス」シリーズですが・・・・・・2026年はここから、スタートです!
存分にお楽しみください!
1
所沢恵は公共放送局のデスクで、チーフディレクターと相対していた。
「日本警察史上最強の特殊部隊、ISAT(Independent Special Armored Team アイサット 独立特殊機甲部隊)その功罪に迫るねぇ・・・・・・・」
チーフディレクターは自分の作った資料を眺めている。
「ISATはその活躍内容とは裏腹にあまりにも公表されている情報が少ないので・・・・・・」
「ふぅん・・・・・・」
チーフディレクターは何か、思案しているような顔をする。
「警視庁の機嫌を損ねたくないんだよなぁ、情報が得られなくなるのは痛いよね、それでも、やるの?」
恵はGОサインを得たと確信した。
「私は日本の警察に事実上の準軍事組織があることに危機感を抱いています。やらせてください、チーフ」
チーフディレクターは笑い出した。
「良い企画だよ・・・・・・権力監視こそがジャーナリズムの本質だからさ、やっちゃえよ」
「ありがとうございます」
恵はガッツポーズをしたい心境だった。
このプロジェクトは成功させる。
恵は自身の栄転を狙って、日本警察史上最強と称される、ISATへの接触の仕方を同時に考え始めていた。
2
大手町の警視庁ISAT分庁舎の休憩室で、第一小隊の隊員たちは思い思いの時間を過ごしていた。
隊員の一場亜門巡査の相棒である、自立志向型AIのメシアがロックを流しており、エレキギターの音色が休憩室に響く。
「メシア・・・・・・何で、ロックなんだよ」
「今の俺は爽快な興奮を感じている、好戦的でもあるが、決して、不快ではない心境だ。まるで、アスリートが試合に望む前のーー」
「分かったから、消しなよ、うるさい」
そう言って、海原千世巡査が菓子をつまみながら、テレビを見続ける。
テレビではワイドショーが放送されていて、司会者がまた、適当なことを言っているなと亜門は横目に見ていた。
「えっ・・・・・・市道美穂が結婚?」
津上スバル巡査がショックを絵にかいたような顔でテレビを見つめる。
「芸能人の結婚ぐらい、何だよ、津上、現実を見ろ」
「バカ野郎・・・・・・俺は市道ちゃんの作品は全部、見ているんだぞ! それをだなーー」
「相手は?」
「・・・・・・年下の俳優です」
「妊娠は?」
「デキコンですよ! ちきしょう!」
津上がそうおいおいと泣き始めると、広重は「まぁ、相手は芸能人だからなぁ、とりあえず、アフターファイブは恵比寿でナンパに行こうぜ、なぁ?」と慰めに入る。
いや・・・・・・犯罪まがいなことをさせるなよ。
警察官ともあろうものが。
「お前ら、芸能人にうつつを抜かすなよ、芸能人は歯が命なんだからよぉ、それと、ナンパはほどほどにしろ」
小隊長の出口勝警部補がやかんに湯を入れる。
カップ麺を食べるそうだ。
「いやぁ・・・・・・サッカン(警察官の通称)は女の子に需要あるんすよ、なぁ、岩月」
岩月大輔巡査はプラモデルを組み立てていた。
オタクめ。
「それは制服のお巡りさん限定でしょう、僕なんか、交番勤務から異動になったら、即刻でフラれましたからね」
「あぁ・・・・・・それ、よくある奴」
世の中には警察官フェチの女というのがいて、大体は制服に憧れて、付き合い始めて、昇進祝いにセックスをしてくれることもあるが、大体が私服勤務とかデカ(刑事の警察内での相称)になると、離れていくということはよくある話しだ。
まぁ、女というのはよく分からないものだよ。
亜門にも学生時代からの彼女はいるが、とりあえず、長い交際でそう思うことはよくある。
「おい、今度、合コンやろうぜ!」
広重がそう言うと、海原が「さっきから、女の話しばかりしてさぁ・・・・・・」と頭を抱える。
その時だった。
(至急、至急、警視庁から、各局、警視庁から、各局、第三方面渋谷署管内にて、多数のキメラが無差別殺傷を行っている。ISAT全小隊は至急、臨場せよ!)
その瞬間に全員、駐車場に向けて、走り出した。
出動だ。
「また、無差別殺傷か・・・・・・どんだけ、世の中に絶望した奴が多いんだ! 」
「それだけ、社会が不安定ということさ! 俺たちの任務はーー」
「そいつらをぶっ殺す!」
メシアと亜門はそのような会話を行いながら、ISATの所有する移動式オペレーションルームを備えた、トラックの荷台、いわゆる、トレーラー部分の中に入り込む。
そこには部隊の隊長である、小野澄子がすでに椅子に座っており、通信席にはオペレーターの浮田と中道、両巡査部長が各所と通信を行っていた。
「準備は万端のようね?」
「・・・・・・僕らはプロですよ?」
「若い頃のあなたを知っているから、あれだけど、あなたがプロフェッショナルを語るとはね。いいわ、出して!」
第一小隊が揃うと同時にトラックの一号車が発進する。
サイレンのヒステリックな音声が響く。
そこから、先導をするパトカーと白バイ隊と合流して、首都高に乗って、渋谷へと向かうことになった。
「さぁ、亜門・・・・・・悪人退治だ!」
「・・・・・・今日は早くに帰れると思ったのにな」
好戦的なメシアをよそに早くに帰れたら、サウナに行こうと思っていた、亜門はため息を吐くしかなかった。
3
渋谷のセンター街では人々が逃げ惑っていた。
トカゲのキメラの男、町井達樹は無言で、鋭い爪を持った手で、人々を捕まえては頸動脈を切り、無差別殺傷を行っていた。
もう、嫌なんだ・・・・・・
何もかもが。
宅配便も車のガソリンスタンドも自分に嫌がらせをするかのように遅いし、何もしてくれない。
両親とも疎遠で、友達も恋人もいない。
僕には何も無い・・・・・・何も無いから、幸せそうな奴らがムカつくんだ!
「止まれ! 警察だ!」
制服を着た、警察官が拳銃をこちらに向ける。
撃てよ・・・・・・僕は出来れば、死にたいんだ。
自分で死ぬ勇気が持てないからこそ、殺人をするんだ。
それに僕たちの代わりはいくらでもいる。
すぐに終わるさ・・・・・・
そう思いながら、町井は素早い動きを見せた後に警察官二人の頸動脈を切る。
警察官の首から、血が噴き出る。
「キャー!」
何処かで、女の悲鳴が聞こえる。
何処かでは僕と同じような人間が暴れているんだろう。
好きにすればいい。
町井はうつろな心情でひたすら、殺人を犯し続けていた。
時刻は夕方の午後十八時九分。
帰宅時間帯の渋谷は地獄絵図と化していた。
4
警視庁ISATのトラックが首都高を走る中で、荷台のトレーラーではブリーフィングが行われていた。
「敵キメラはナイフなどのちゃちな装備と改造手術で得た、能力で、無差別殺傷を働いているけど、一つずつの能力は低いわね、ただ、いかんせん、数が多いのよ」
「どのぐらいですか?」
亜門が聞くと、小野は「ざっとで六十七体」とだけ言った。
「おい! まじかよ! どんだけ、世の中には絶望先生が多いんだよ!」
津上がそう言うと、小野は「わんぱく発言は良いけど、今日は事実上の害虫駆除みたいな仕事だから、全員、根こそぎ・・・・・・殲滅すること」と静かに言い放った。
「了解」
隊員たちの目に闘志が灯る。
「さっ、出撃よ!」
「総員! 装着準備!」
小野と浮田がそう言うと、全員が「装着!」と声を揃える。
亜門は赤色、津上は青、その他は濃紺の閃光がトレーラーに走り、それぞれが軍事用パワードスーツ、ソルブスを装着する。
「各員、装着完了! ハッチを開きます!」
トラックのハッチが開く。
風の勢いが凄まじく、小野の長い髪がなびく。
「周辺に民間車両は無し、出撃のタイミングは各自に譲渡します!」
「了解、ユニットワン全隊、俺に付いて来い」
「ブラボー、了解」
「チャーリー、了解」
そう言って、各隊員が同意を示す。
「行くぞ、続け!」
そう言って、出口を先頭に全員がトレーラーから、飛び立つ。
首都高のど真ん中から、ソルブスの飛行機能を使って、渋谷へと向かう。
(作戦開始! 目標、敵キメラの殲滅!)
「六七体対十八人かぁ・・・・・・相手が弱いのが救いだなぁ」
「数が多いんだ、袋叩きになれば、ひとたまりもない、油断するなよ」
亜門とメシアはそのような会話をしながら、渋谷上空へと入る。
時刻は午後十八時二三分。
ISAT各小隊は戦場と化した、渋谷へと入ろうとしていた。
5
市道美穂は渋谷の街を走っていた。
キメラに追われているからだ。
年下の俳優と結婚して、しかも、妊娠までして、幸せの絶頂だった。
だが、この状況は何だ・・・・・・
確かに急なデキコンだったから、事務所にも迷惑をかけた。
マネジャーからは激怒もされ、実の両親からも勘当するかのような勢いで怒鳴られ、私はそれに対して、横柄な態度を取った。
だけど、だからと言って、結婚を発表した直後にテロ事件で殺されるなんて、あんまりだ!
市道は泣きながら、走り続けていた。
私は生きなきゃいけない。
お腹の子のためにも・・・・・・掴んだ幸せのためにも。
そう思っていた時だった。
目の前にキメラが現れる。
何か、アルマジロと人間を合わせたような形をしていた。
「市道美穂じゃないか・・・・・・」
恐怖で声が出ない。
「ムショに行く前に犯すか!」
いや・・・・・・止めて!
幸せになるはずなのに・・・・・・何で、こんな怪物どもに犯されなきゃいけないの!
「はははははははは!」
アルマジロのキメラがこちらに向かって来る。
その時だった。
アルマジロのキメラの頭がスイカ割のスイカのように弾けて、脳味噌が飛び散った。
そして、人間体に戻るが、四十代位の細身の男だった。
死んでいる・・・・・・
「大丈夫ですか!」
上空から、赤色のスタイリッシュな出で立ちのソルブス一体と紺色のアメフト体系のソルブスが現れる。
そして、地上から制服姿の警察官も現れる。
「ご無事で!」
「えぇ・・・・・・」
「海原の狙撃は相変わらず、正確だな」
海原・・・・・・?
狙撃ということは私を助けたのはスナイパーってこと?
「おい、民間人がいるんだ、名前を迂闊に出すな」
「分かったよ・・・・・・あぁ・・・・・・聞かなかったことにしといてくださいね? お願いします」
そう言って、赤いソルブスが制服の警察官たちに会釈すると、レーザーで出来た刃の日本刀を取り出す。
「待って・・・・・・戦うの?」
「逃げたほうが良いですよ、僕らの仕事の時間だ」
そう言って、赤いソルブスは飛び去って行った。
「立てますか?」
そう、警察官が問いかける。
「えぇ」
市道は警察官に先導されて、逃げ出すことにした。
海原さん・・・・・・それに赤いソルブスの人。
ヒーローという存在なんて、嘘臭いと思っていたけど、本当にいるんだな、ヒーローって・・・・・・
市道は泣きながら、自身の生還を喜んだ。
助かった・・・・・・良かった。
同時にあのソルブスを着た隊員たちや海原という名のスナイパーが無事に生還することも願い始めていた。
自分にとっての命の恩人で、尚且つ、初めて、身近に感じた、ヒーローという名の存在なのだから・・・・・・
時刻は午後十八時三十六分。
警視庁ISAT全小隊が本格的に現場に臨場して、作戦行動を開始し始めた。
6
亜門はレイザを着た、津上スバルと合流すると、当たりに散らばるキメラたちをレーザー日本刀で切りつけ始めた。
「行くぜぇ! 朝から、暴れ坊将軍!」
「津上、今は夕方だし、言い方が卑猥だよ」
亜門はそうツッコむが次第にそうは言っていられないほどの数を切り刻むことになった。
一人、二人、三人・・・・・・段々と数が分からなくなってくるな?
海原の狙撃で幾分かは数が削られているらしい。
開始から、十数分でかなりの数を殺したが、次第に亜門と津上はキメラの大群に包囲をされることとなった。
「津上! 包囲されている!」
「民間人はどうしたんだよ! えぇ?」
「大体が逃げたらしいな、その代わりにこっちが大ピンチだけど?」
亜門とスバルは円状に敵キメラに囲まれると、背中を合わせて、レーザー日本刀とレーザー対艦刀を構える。
「囲まれたな・・・・・・メシア、打開策は?」
「民間人が避難できたのは、僥倖だが・・・・・・どうする? 破れかぶれで戦うか?」
「お前、本当にAIかよ、もっと、マシな答えを出せよ」
亜門のそのつぶやきを聞いた、津上はレイザに「お前も同意見?」と聞く。
「スバル、男には腹を括らないといけない時があるのよ?」
「・・・・・えぇー? この数でリンチされるの嫌だなぁ?」
そうは言いながらも、津上はレーザー対艦刀を敵に向ける。
やるか!
「行くぞ・・・・・・」
「あぁ」
そう言った直後に二人は「おぉぉぉぉぉぉぉ!」と言って、敵に突進した。
そして、夢中で相手を切り刻み始めたが、すぐに出口と広重から、通信が入る。
(お前ら、どけ! 射線上に入るな!)
「えっ?」
(いいから! ハチの巣にされたいのか!)
そう言われた亜門は「津上!」と言って、上空に飛び出す。
「おう!」
二人で上空に脱出すると、先ほどまでいた場所に実弾の嵐が飛び込んできた。
そして、多数のキメラが文字通り、ハチの巣にされていた。
遠くを見ると、出口と広重の着る、ガーディアンサードが巨大なガトリング砲を担いで、ひたすら、それを打ち込んでいた。
(死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ねぇぇぇぇぇぇぇ!)
(おら、おら、おら、おら、おら、おら、おらぁぁぁぁぁぁ!)
二人がそう怒号を飛ばす。
あの二人はストレスが溜まっていたんだなぁ・・・・・・
「終わりかなぁ、そろそろ」
「まだ、作戦行動中だ。お前は任務中にーー」
メシアの説教が続く。
亜門はスバルと共に上空から敵の残党の索敵に移ることにした。
時刻は午後二十時一分。
事態は鎮圧されようとしていた。
7
所沢恵はビデオカメラを回しながら、興奮を隠せなかった。
会社からの帰り道でまさか、ISATの戦闘に出くわすなんて・・・・・・
しかも、ガトリング砲まで、照射して、仮にも怪物になったとは言え、元は人間だった者たちを躊躇なく、殺害!
これは取れ高が取れる!
後は警察関係者にインタビューをして、あの部隊の実態に迫れれば・・・・・・
スタジオには元警察関係者のコメンテーターでも呼んで、批判的なコメントをさせればいい。
そうすれば、私の昇進は間違いない!
公共放送局のアナウンサーはインスタ映えばかりを狙う、低能なアイドルアナウンサーとは違い、実務能力が問われるのだ。
故にあんな、スイーツな連中と違って、泥臭いことも出来ないといけない。
これは・・・・・・視聴率が取れるぞ!
恵は人目も憚らず、高笑いを始めた。
周辺では警察主導で避難誘導が行われていたので、恵を気にする者はいなかった。
時刻は午後二十一時一分。
事件が終結しようとしていた。
8
渋谷でのキメラによる、無差別殺傷から数日、容疑者、すなわち、マル被の動機や背景を調べるために警視庁刑事部捜査一課が投入をされたが、町井達樹という、容疑者がただ一人、逃亡を続けているというのが現状だ。
そして、事件から一ヶ月が経ち、捜査本部が足立区の綾瀬警察署に設置されていた。
町井の住んでいるアパートが綾瀬にあるからだ。
そんな中で、警視庁捜査一課兵藤班主任警部補、兵藤隆と亜門は綾瀬にある、立ち食い蕎麦酒処稜という立ち食いそば屋で食事と酒を嗜んでいた。
「良いんですか? 酒なんか、飲んで?」
そう言いながら、亜門は春菊天蕎麦をかき込む。
あまりにも美味いからだ。
「部長から、明日、休みにするって言われたからな、ガサ入れて、あとはカメラのリレーで何とかなるだろう」
「でも、キメラ相手に面倒なことになったら、嫌だから、僕を蕎麦屋に連れてきたんでしょう?」
亜門がそう言うと、兵藤は「プライベートな食事だぜ? 俺のとっておきの蕎麦屋を教えるんだからな!」と言って、亜門の肩を叩く。
事実、十一月に入り、段々と外は寒くなってきた。
暖かいものが食べたい心境だった。
「よし! 大将! 納豆天!」
「あいよ!」
兵藤はゲソ天蕎麦を食べながら、単品で納豆天ぷらを食べ始めた。
「亜門よぉ、俺のことを言えねぇだろう、彼女、どうした? 彼女は?」
「病院で当直です」
亜門の交際相手である、久光瑠奈は大学病院で研修医をしている。
今日は当番で病院に泊まり込みだ。
そんな中で、兵藤は蕎麦を啜る。
亜門も同様に蕎麦を啜った。
「・・・・・・良いのかなぁ、呑気に蕎麦食っていて」
「何やら、嵐が降る予感だぞ、亜門」
メシアがそう言い出すが、亜門は「不吉なことを言うなよ・・・・・・」と言いながら、蕎麦を啜る。
時刻は午後二十一時九分。
寒い夜には蕎麦が染みる一夜だった。
9
事件から、一か月が経とうとしていた。
十二月に入ったが、以前として、逃亡犯の町井達樹の所在は不明。
しかし、警視庁ISAT・・・・・・というよりも警視庁全体を揺るがす、大事件が起きてしまった。
「御覧のように戦闘において、ガトリング砲を使い、法的な処分も得ずに容疑者を殺害するというのはーー」
「明らかに日本の警察の管轄を超えていますね」
公共放送局の午後十九時半過ぎの報道番組で、警視庁ISATを徹底的に批判する内容の番組が全国中継で放送されたのだ。
リポーターというか、アナウンサーの所沢恵という女の人が神妙そうな顔付きで司会進行をすると、何処かの田舎警察の捜査一課出身という警察ОBが延々とISATを批判する。
「田舎のサッカンでデカ出身じゃあ、俺たちの部隊のことは分からないだろう!」
出口がそう言うと、亜門は「メシア、SNSで情報戦だ」とだけ言った。
「お前も耐えかねたか・・・・・・分かった、こうなったら、公共放送局みたいなオールドメディアを潰すぐらいの総攻撃を仕掛けよう、レイザ、お前も参加しろ」
メシアがそう言うと、レイザは「あなたと気が合う瞬間があるのね・・・・・・サイバー戦での共同戦線とは・・・・・・」と言いながら、笑い出した。
「よし、あの放送局を潰そう!」
「おぉぉう!」
部隊の隊員たちが団結した瞬間だった。
すると、そこに隊長の小野が夏目、稲城、両副隊長と庶務の富永楓警部補を引き連れて、休憩室にやって来た。
「みんな・・・・・・やることは分かっているわね」
「隊長、メシアやレイザを使って、情報戦で、あの放送局を潰すつもりです!」
「あいつら! 国民の税金で食っているくせにお巡りさん批判なんて、許せねぇ!」
「絶対にあんなの、おかしいですよ!」
隊員たちがそう言うと、小野は「まぁ、すでに上層部が公共放送局に抗議をして、取材拒否などの形で一切の情報提供の拒絶などの強い措置には出るらしいけど・・・・・・ウチの方では庶務の富永主任がすでにチームを編成して、情報戦とサイバー攻撃を仕掛けるつもりよ、一場巡査と津上巡査は待機時間と非番の時は彼女たちのチームに加わるように、以上」と号令をかける。
警視庁上層部は完全に公共放送局と戦争をするつもりだな・・・・・・
それは分かった。
だけど、えっ?・・・・・・待機時間は分かるけど、非番の時!
「隊長! 隊長! 隊長!」
「何? 私、忙しいんだけど?」
「非番の時もですか?」
「そうよ、休みの時はどうせ、一場巡査は彼女とデートか本を読むか、映画見るか、銭湯やサウナに行くかだけでしょう? 津上巡査は風俗の通いすぎ」
いや、十分、文化的な生活ですけど!
というか・・・・・・津上、あれだけ、言ったのに、まだ、吉原に通い詰めているのか!
「隊長・・・・・・その日は目当ての女の子の出勤日なのでーー」
「却下、部隊の敵を倒しなさい! あいつらは国賊です! 以上!」
そう言って、小野と夏目、稲城は休憩室を出て行った。
「じゃあ、というわけで、一場君と津上君は出動の時以外は私の指揮下でね?」
富永主任がウィンクする。
「はい! 頑張ります!」
黙れ! エロガキ!
津上が富永主任のウィンク一つでモチベーションが上がる一方で、亜門は恋人の久光瑠奈にどう、説明しようかを必死で考えていた。
番組の画面は海外の警察での事例のVTRに変わっていた。
10
警視庁原宿警察署刑事組織犯罪対策課の刑事である、三塚麗奈巡査部長は同署のデスクで本部の兵藤からの連絡を受けていた。
「町井達樹はアナオタ・・・・・・」
(かなり、重度のアナオタでアイコラも大量に見つかったし、見ていた、アダルトビデオの履歴も女子アナ物が大半だよ)
「変態という言葉がかわいく感じるぐらいのヤバい奴ですね」
三塚は電話越しに顔を顰める。
(でっ、奴の一番のお気に入りは所沢恵)
「あぁ、お堅い系が好きなんですね・・・・・・確か、原宿署と公共放送局は距離的には近いですけど・・・・・・どうしろと?」
(張り込め、その嬢ちゃんは狙われるぜ)
また、兵頭主任の刑事のカンという奴か。
仕方ない、こちらも条件を出すか。
「一場をバディとして、使っていいなら、請け負ってもいいですよ」
「あぁ? あいつはビ(警備部の警察内での通称)の所属だろう!」
「嫌なら、私も業務が立て込んでいるので、この話はーー」
「分かったよ! 確かにキメラ相手に生身じゃあ、難しいからな。原宿まで、呼べば良いんだろう? 場所とかはシグナルに送れよ」
警察官の仕事における連絡方法はシグナルという秘匿性の高い、通信アプリで行われる。
これを日本で使うのは捜査機関か軍隊か、活動家や犯罪者レベルのヤバい奴しか使わないと三塚はつくづく、思っていた。
さて、一場とは久々のバディだな。
心が高鳴っている・・・・・・
あいつ、しばくぞぉ・・・・・・
三塚はニタリと笑みを浮かべるのを隠せなかった。
時刻は午後二十時十三分。
三塚は早く、亜門とバディを組みたいという、心の高鳴りを抑えられないでいた。
11
目の前のデスクではISATの庶務のスタッフがパソコンを相手に様々なSNSで公共放送局を潰す為に情報戦を仕掛けていた。
「これ・・・・・・身元が割れません?」
「大丈夫よ、Xとかの所在地も国名だけだし・・・・・・大体、今の戦場では情報戦も込みのハイブリッド戦争が主流だから・・・・・・一場君、無事に公共放送局を潰したら、食事でもどう?」
富永がそう言うが、彼女がいる手前、断らないとなぁ・・・・・・
「それはーー」
すると、メシアを構成する一部のスマートフォンに着信が入る。
「チッ! あと少しで落とせるところだったのに!」
富永主任、かすってもいませんよ・・・・・・
「出なさい、仕事以外だったら、強制的に切ってもらうけど!」
「メシア、誰?」
「兵藤からだ」
兵頭警部補・・・・・・何で?
「出ていいよ」
津上がソファーでいびきを立てて寝ていて、庶務のスタッフがパソコンのキーボードを叩く音が響く中で、亜門はメシアドライブを片手に外の部屋に出た。
一応は分庁舎にスマホを持ってくるのはNGだが、データがクリーニングされた代物とソルブスを装着する用のドライブと呼ばれる、スマホとスマートウォッチは許可されている。
ドライブに関しては他に用途が無いからな・・・・・・
仕事用の電話番号しか入れていないし、私用のスマホは今、入り口の貴重品箱に閉じ込められているし・・・・・・
電話に出ると、兵藤が「おう、原宿に向かえ」とだけ言った。
「今、特命中です」
「隊長から、許可を貰ったぞ、言っとくが、お前のお気に入りの原宿の商業施設の銭湯と芸能事務所近くの銭湯には行くなよ、三塚と合流してもらうからな」
えぇぇぇ・・・・・・三塚さんかよ。
僕、あの人にズタボロにされた、思い出しかない・・・・・・
亜門と宿敵とも言える、かつての上司とバディを組むことに抵抗感しか抱かけなかった。
「えぇ・・・・・・三塚さんですか?」
「適任だろう? あいつはお前のことを良く知っているし、原宿で即、かかってもらいたいことがある、すぐに行け、時間が無い」
そう言われて、通話は切れた。
「隊長から了承を取れたので、兵藤さんの特命を受けます」
「えぇ? そう・・・・・・気を付けてね? ご飯、作っとくから」
「僕らは夫婦じゃないです」
「イケズ・・・・・・気を付けてね」
富永が嬉しそうな笑みをこぼしながら、死語を言い放つ。
とりあえず、メシアドライブを受け取って、駐車場へと向かって行った。
「亜門、今日、早くに帰れたら、表参道の芸能事務所近くの銭湯に行こうとしていたろう?」
「あそこなぁ・・・・・・軟水のお風呂とヒノキのサウナは中毒性があるんだよなぁ、年寄りばかりなのが難点だけど」
「任務終わったら、好きなだけ、お前の好きな銭湯行ってこい、原宿、表参道、恵比寿、池尻大橋、中野、東中野、高円寺、荻窪、阿佐ヶ谷、錦糸町、鶯谷、押上、上野、御茶ノ水、横浜、武蔵小金井、調布、川崎、好きなところに好きなだけ行ってこい!」
「僕はそのつもりだよ・・・・・・事件が終結したら、これでもかと、銭湯に通い詰めるんだ」
亜門は銭湯に入ることをモチベーションに今回の事件を解決しようと、闘志を高めていた。
そう、全ては銭湯の為に!
気が付けば、愛用するバイクのスズキKATANAで大手町の分庁舎から原宿へと向かって行った。
12
原宿へ向かうと、私用スマホに着信が入る。
(一場ぁ・・・・・・元気にしてたぁ?)
「僕は憂鬱ですよ」
そう言うと、目の前の車からヘッドライトが点滅される。
あそこか・・・・・・
カローラの前にバイクを止めると、亜門は助手席に入り込む。
「久しぶり!」
「まさか、また、会うことになるとは思いませんでしたよ・・・・・・所沢恵の警護ですか?」
「公式な奴じゃないけどね・・・・・・兵頭主任の直感で動いているだけだよ、でなきゃ、あんなクソ女なんか、警護しないね」
「・・・・・・三塚部長、女子アナ嫌いなんですね?」
「この世の中で一番、嫌いな人種じゃない?」
そう言った、三塚は牛乳とあんぱんを口にする。
「あんたと彼女が居た銭湯の牛乳は美味しかったなぁ、あれ、何だっけ?」
「山村乳業ですね、三重県の伊勢の牛乳屋さんです」
そう言うと、三塚は笑い出す。
「瓶牛乳は鮮度が違うのかなぁ・・・・・・こういうコンビニの粗末な紙パックを飲んでいると、悲しくなるぐらいの雲泥の差よ、味が」
「山村乳業のノーマル牛乳は紙パックと比べると、切れ味が断然違いますよ、日本刀とかスーパードライみたいな感じ」
「・・・・・・そんなに違うの?」
「僕がいない時にあの銭湯、行きゃあ良いじゃないですか?」
三塚は苦笑いしていた。
「・・・・・・たまには銭湯も良いか」
そう二人で話していた時だった。
「・・・・・・一場、所沢恵が現れた」
「一人か・・・・・・案外、ボッチなんだな」
「分からないよ、案外、後で男をーー」
亜門は三塚の二言目を遮り「駐禁どうします?」 とだけ聞いた。
「ウチの地域課の日吉と中野の両巡査が来てくれるよ、そこにいる」
三塚が指差す方向には自転車でパトロール中の地域課の警察官がいた。
とりあえず、急いで、所沢恵の後を追うことにした。
「二人とも、頼んだよ、駐禁」
二人の両巡査は敬礼を返す。
そして、所沢恵を尾行する。
「住んでいるのはこの辺ですかね?」
「まぁ、テレビ関係者だからね・・・・・・案外ーー」
三塚が黙り込む。
「所沢恵の近くに全身黒づくめの顔を隠した、男性が近づいている、一場!」
「職質も命がけだな・・・・・・所沢恵の保護をお願いします」
そう言って、二人は走り出した。
場所は原宿の路地裏へと移っていった。
ここならば、人目が無いから、ソルブスを装着できる。
所沢恵の背後に男が付いた瞬間に亜門は声をかける。
「すいませーん・・・・・・警察ですぅ、ちょっと、お話よろしいですか?」
こんなことがあろうかと、メンチョウ(警察手帳の通称)を隊長からの許可を貰って、持ち出したのだ。
すると、目の前の男は「お前なんか・・・・・・嫌いだ! 僕の邪魔をしてぇ!」と言って、急に叫び出した。
そして、トカゲのキメラ体へと変体した。
三塚は事態を飲み込めない、所沢恵を無理やりに退避させた。
「メシア!」
「あぁ! 行くぞ! 亜門!」
「装着!」
赤い閃光に包まれ、パワードスーツ、メシアを着た、亜門は背中からレーザー日本刀を取り出して、目の前のトカゲのキメラに相対す。
双方で睨み合いが続いた。
そして、相手が動き出す。
早い・・・・・・
壁を伝い、ジャンプをした、トカゲのキメラが爪を立てて、こちらに飛び掛かる。
しかし、亜門は瞬時に日本刀を意図的に落とし、ハンドガンのシグザウエルP226を取り出すと、一瞬で上空に飛んだ、トカゲのキメラに数発、銃弾を撃ち放つ。
「うぅぅ!」
トカゲのキメラが地面に倒れる。
一対一の戦い、特に実戦における格闘戦の鉄則としては先に動いた方が負けるというセオリーがある。
亜門はそれを踏まえて、自分からは動こうとしなかったが、素人の町井だったトカゲのキメラはプレッシャーに耐え切れずに動き出し、そして、負けたというのが今の現実的な状況である。
もっとも、格闘戦で拳銃を取り出した、自分はかなり汚い手を使ったと思えるが、相手は犯罪者でその薄汚い手で何人も殺したんだ。
そろそろ、終わりにするか・・・・・・
致命傷を負った、トカゲのキメラの右肩を足で踏んづけ、動けないようにロックして、その脳髄に銃弾を撃ち放とうとトリガーを引こうとした、その時だった。
「待って! 殺すの? 人間を!」
所沢恵がそう大声を上げるが、すぐに三塚に制止される。
「あいつの仕事の邪魔をするな!」
「人を殺すのが・・・・・・人を殺すのが仕事なんですか! 警察の!」
しかし、亜門は躊躇することなく、シグザウエルP226のトリガーを引き、銃声が原宿の街に響く。
トカゲのキメラ、町井達樹は絶命した。
「ISATファーストチームチャーリーからISATアクチュアルへ、逃亡犯、町井達樹を射殺。繰り返すーー」
所沢恵はその場にしゃがみ込み、涙をこぼしていた。
「こんなの・・・・・・間違っている!」
「キメラになった人間の逮捕は不可能よ、それに、こうしなければ、あなたは襲われていたんだけど? 理想主義も体外にしないと、命も持たないよ?」
三塚がそう冷酷に言うと、所沢恵は「だからと言って、殺すことなんてーー」と明らかに取り乱していた。
「あんた、報道のスタジオの中でしれっと事実を伝えているだけで、自分は偉いと思っているならば、大違いだぞ? 実際にあんたは自分の命を狙われ、目と鼻の先で戦闘を体感したが、リアルな殺し合いを見て、その様か?」
メシアが極めて、冷酷な口調で所沢恵を問い詰める。
所沢恵はメシアが話しかけたことで何処から、声が出ているのかと目を丸くしたが、すぐに亜門を睨みつけた、
「・・・・・・何よ! 人殺しの分際で!」
所沢恵は亜門を憎しみを込めた目で睨み付けていたが、今にも心が壊れる寸前と言うほどに泣きじゃくっていた。
「俺たちが人殺しならお前らは偽善者じゃないか? そんな偽善者どもが偏った情報をばらまく。国民の血税を徴収して、国からも税金を踏んだくって、公共の電波に流すというならば、国民はどっちに正義を感じると思う? 犯罪者を躊躇なく、殺す、実力組織の俺たちと何も救えない、見当違いの理想論の正義感を押し付ける、理屈屋のあんたたちのどちらを!」
メシアが所沢恵にトドメと言ってもいい、一言を言い放つと同人は「何よ・・・・・・私が間違っているの? 違うわ・・・・・・私たちは報道の名の下において、視聴者に正義をーー」と一人で泣きながら、延々と喋り続けていた。
「応援が来ます」
「分かっている、あんたも装備を何処かで解きなよ」
パトカーのサイレンの音が近づいてくる。
今度こそ、事件が終結したのだと、亜門は知覚した。
野次馬も集まり始めていたから、対処が必要だとも思えた。
13
その後に渋谷での無差別殺傷の事件の容疑者は全員がISATに殺害されるという形で終結。
テレビ局各局は犯罪者と言えど、全員を殺害するというのは警察権の領域を超えて、人道上、許されるものではないと糾弾していたが、SNSでは「犯罪者を擁護するオールドメディアを許すな!」という声が広がり、世間対テレビ局を始めとするオールドメディアの対立構造が出来上がりつつあった。
ただ、不明点としては町井が何故、一か月以上も逃亡を続けられたかという点と、六十七名もの容疑者が同時に渋谷で無差別殺傷を起こしたという事実から、警視庁捜査一課は背景に大規模な組織がいると睨んで、未だに捜査を続けている。
そして、事件に遭遇した所沢恵は心を病み、公共放送局を休職したというのは大きなニュースにはなった。
SNSではISATの呪いなどと言われていたが、批判的なコメント・・・・・・もっとも、その大半は富永主任率いる、ISAT庶務課の情報戦チームが書き込んだ物だが、彼女は喧嘩を売ってはいけない相手に喧嘩を売ったという事実は明白なので、亜門からしたら、自業自得だと思えて、仕方なかった。
そして、西暦二〇四五年、大晦日。
「一場さん・・・・・・分かっていると思いますけど、今日は店じまいは早いですよ」
原宿の商業施設、ハラカドの地下にある、贔屓の銭湯の女性番台さんにそう言われる。
「年末だね」
「どっか、行くんですか?」
「・・・・・・明日も仕事だよ」
「頑張れ!」
そう言われた、風呂上がりの亜門は山村乳業のノーマル牛乳二本を持つと、その一本を椅子に座っている、久光瑠奈に渡す。
隣には何故か、三塚が扇子で顔を仰ぎながら、風呂上がりを満喫している。
「遅い! 亜門君!」
「あっ、一場、悪いね」
「三塚部長、これは僕のです」
「はっ?」
三塚が鬼の形相でこちらを睨む。
「自分で買ってください」
「あんたさぁ・・・・・・バディを組んだ仲じゃない」
それを見ながら、瑠奈がケタケタと笑っている。
「二人とも、本当に仲が良いですね?」
「いや・・・・・・この人がじゃれているだけだよ」
「あんた・・・・・・仮にも私は上司だよ、階級だって、上だし」
「でっ、僕らの行きつけの銭湯の湯にまで入って、何か御用ですか?」
三塚が腕を組み始める。
「あんたの言い方が気に入らないけど、市道美穂がISATは命の恩人と言ったらしいよ」
あぁ、津上が好きな女優さんか。
確か、あの時の事件に巻き込まれて、九死に一生を得たとか。
とりあえず、Xを開いて、市道美穂のアカウントを見て見ると、そのポストがあった。
私はあの日、殺されるような事態に陥りました。だけど、彼ら、彼女らが助けてくれました。世間では彼らを国家権力を乱用する人殺しという人たちがいます。でも、命を助けられた、私のような人間からすれば、彼ら、彼女らはヒーローという存在そのものです。だからこそ、お願いです。彼ら、彼女らの行いに助けられた人々がいるという事実を忘れないでください。彼ら、彼女らが何も分からない人たちに非難されるのがあまりにもかわいそう・・・・・・
「一部の左翼からは攻撃されているけど、あんたたちも立派なシンパを得たじゃない」
亜門はこのポストを見て、胸が熱くなる感覚を覚えた。
良かった・・・・・・こういうことを言われると、サッカンとして、仕事をしていて、本当に良かったと思う。
「亜門君・・・・・・泣いている?」
「えっ、嘘・・・・・・あんた、泣いているの?」
亜門は涙を拭う。
「普段、人に感謝されることが無いからかな・・・・・・」
すると、瑠奈が飲みかけの牛乳を差し出す。
「飲みなよ、奢りだよ」
「・・・・・・飲みかけじゃん」
すると、亜門のその一言を聞いた、瑠奈が鬼の形相を見せる。
「彼女の飲みかけを飲めねぇのか! てめぇは!」
「嘘です! 飲みます!」
「あんたたちの方がよっぽど、仲良いじゃないの・・・・・・」
そんな感じで、原宿の銭湯の休憩室で三人で騒いでいた。
騒ぎながら、来年は良い年になると良いなと亜門には思えたが、元旦の明日が当直であるという事実が心の中で重い何かを感じさせていた。
働きたくないでござる・・・・・・
そんな中で、二〇四五年、十二月三十一日。
今日の東京は今のところ、珍しく、平和だったのが、救いです。
終わり。
いかがでしたでしょうか。
今年はカクヨムで「極道の結鶴〜気になるあの子は極道の御曹司〜」の再投稿と七月に同作の続編を小説家になろうとカクヨムで同時連載を行います!
そして、十月にカクヨムで「機動特殊部隊ソルブスウルフ」を再投稿!
いや、七月の新作以外はカクヨムでの再投稿ばかりやん・・・・・・と思われますが、販路拡大と理解していただければ!
というわけで、二〇二六年、今年もよろしくお願いいたします!




