リゼとウィル プロローグ
とある宿屋のクリエの部屋では、ミヨン、アニス、ウィルが真剣な表情で話し合いをしていた。
クリエは部屋の片隅でその話を聞きながら、今回終えた依頼の報告書を書いている。
一つのテーブルを囲んで三人が座り、テーブルには服飾や化粧品を紹介しているチラシが数多く置かれていた。
「あいつは普段白とか黒ばっかりだからな。やっぱりあの時はもっと華やかでも良いと思うんだ。いっそ私みたいにリボンとかフリルが合ってもいい」
「いやいや、ここはもっと大人っぽくても良いんじゃない? 子供っぽい姿に大人っぽい服装。ギャップ萌えってやつよ」
「あまり肌を露出させるのは、このウィルが許しません。ギャップなど強調させなくてもクリエ様は美しく可憐です。目立たず、しかし気品のある装飾品を付けるだけでもいいでしょう」
「何を言っている。もっと着飾ってもいいはずだ」
「そうよねぇ。洋服じゃなくて、和服の着物とかもいいかも? ほら、和服姿の足がチラっと見える所とかグっとこない?」
「どうしてアニスは妙な性癖を見せて来るんですか。普通でもいいでしょう普通でも。どんな服を着た所でクリエ様の輝きは変わりません!」
三人はクリエの服装について話し合ってるが、テーブルに置かれているチラシは全て女性用の物だっただ。
チラシを手に取り、それぞれがコレが良いアレが良いと、それを身に着けたクリエの事を息を荒げながら熱く語っている。
やがて言いたい事をお互いに言い終えると、急にチラシを置いて落ち着き、ミヨンが神妙な表情になる。
「しかし、元からクリエが中世的な顔立ちだと思っていたが……服装が違うだけでああも変わるとは」
「男でも女でもいける……これからはいろいろと滾るわね」
「もっと早くに気付くべきだったのです。そう、クリエ様に性別など関係がないと。それに今回は得る物がとても大きかったですし」
三人がお互いを見て大きく頷く。
熱く語っていたのは、今回の依頼で起きたクリエの変化についてだった。
それはリゼとの出会いであり、そしてウィルとクリエの関係の変化も同時に起きた、胡散臭いある依頼が発端になる。




