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世界の創造主は、仲間達と問題の後始末ばかりします。  作者: 灰色
サイドストーリー1 ミミックの宝物
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ミミック エピローグ

 クリエとセレンの出会いを思い出したミヨンの頬には、一筋の涙が流れていた。

 鏡に映るセレンの姿を見る……。

 今ではすっかりこの姿が自分だと思えるくらいは誇りがあった。

 セレンであってセレンでない、ミヨン・フェイカーとして。


 そして初めての友達を食べた味は……吐くほど不味かった。

 もう二度と友達を食べたいと思えないほどに。


 涙の跡を流すようにシャワーを浴び終えると、いつものフリルやリボンのついた服に着替える。

 この趣味は実はセレンだった。

 可愛い服は基本妹のクロエが着るが、実はセレンも興味はあり姉としての威厳を保つため言えずにいた。

 なんとも可愛い奴だと、ミヨンは思う。

 そして同時にいざ来てみると悪い気はせず、今ではミヨンも可愛い物が好きになっている。

 ただ何点は服代だった。

 擬態などで変化すると服も勿論なくなる。その為、一時は服代を節約する為に、服を常時擬態していたのだが……。


『それってミヨンはずっと裸って事?』


 と、クリエに言われてなんとなく恥ずかしくなり、極力服を着るようになった。

 そのためリゼが持ってくる服にはかなり助かっている。


 風呂場から出るとクリエも丁度報告書が書き終わったようで、茶色の大きい封筒を机に置いて背伸びをしていた。


「お疲れ様。たまの書類作業はどうだ?」

「疲れるね。ホント、ミヨンには助けてもらってばっかりだよ」

「……」


 笑顔で答えるクリエの顔をミヨンは見つめる。

 クリエと出会った後、半年ほど二人で仕事をしていた。

 二人きりは大変だったが、ミヨンにとっては全てが新鮮で楽しく、何よりいつの間にかクリエは心の支えになっていた。

 その後にアニスとウィル、リゼが仲間になり数年経つ。

 思っていた以上に賑やかになったが……不思議とミヨンは心地が良い。


 昔の事を思い出したせいか、どうも感傷に浸っている自分に心の中でミヨンは自嘲した。


「……どうかしたの? 悲しそうな顔をしてるよ」


 そしてクリエはいつもそういう事に気が付く。

 勝てないな……そう思うミヨンだった。


「少し、セレンやクリエと会った時を思い出した」

「懐かしいね。もう数年前の話になるね」


 そこでふとミヨンは思いだし、疑問を口に出す。


「そう言えば、結局私の名前ってなんだ? フェイカーはまぁ、フェイク辺りだろうと思うが」

「え? 今頃それを聞くの?」

「なんだ、言えない事なのか?」

「あー、うん、そうじゃないんだけど。怒らない?」


 クリエがどこか困ったように言う。


「事と次第による。ほら、言ってみろ」

「……フェイカーはミヨンの言った通り。ミヨンはイミテーションから取ったんだ」

「なるほど、どっちも偽物って意味か」

「うん、そうだね」

「よし、分かった。目を瞑って歯を食いしばれ」


 笑顔でミヨンが言い、クリエは大人しく従った。


「覚悟しろよ……」


 そしてミヨンはクリエに近づくと、長い口付けをして抱きしめる。


「バカだな。私がお前から貰った名前に怒るわけないだろ。そんな事を考えたお前に怒ってる」


 それは優しい声色だった。


「それなら良かった」

「私は名前に恥じた存在になったか?」

「勿論。君は僕が付けた名前とは正反対の存在……この世でだた一つの本物のミヨンだよ」

「そうか。クリエ、お前に二つ言っておきたい事がある」

「何?」

「私がお前の傍から離れる事は無い。お前が私から離れない限りな」

「もう一つは?」


 クリエを抱きしめるミヨンの力が強くなる。

 そして、甘く静かに耳元で囁いた。


「……愛してる」


 答えるように、クリエも少しミヨンを抱きしめている力を強める。


「知ってる。僕もだよ」


 窓から差し込み優しい朝日が、クリエとミヨンを包み込んだ。

 やがてミヨンはクリエから離れると、


「でも、お前の愛は他の三人にもあるからな。本当困った神様だよ」


 悪戯っぽく言う。

 そんな言葉にクリエはどこか苦笑していた。

 しかしミヨンにとってそれはどうでも良く、大事なのは自分の心。

 それだけだった。


「おーいミヨーン。起きてるー? クリエもそこに居たりするー?」

「そろそろ朝食でも食べに行きましょう」


 アニスとウィルの声と共にドアがノックされ、今回の二人の甘い時間は終わりを告げる。


「ああ、居るぞ。今鍵を開ける」


 最後にミヨンはクリエの頬に軽くキスをすると、ドアのカギを開け二人を招き入れた。

 クリエとミヨンが二人で居る所を見て、アニスがニヤニヤと笑う。


「あ、いたいた。クリエが居ないから探しちゃったじゃない。二人で朝から居るなんて、なんか良い事でもしてたのぉ?」

「ああ、してたぞ。お前もやってみるか?」


 と、ミヨンは机の上に置かれている、書き終えた報告書の封筒をアニス渡した。


「? 何これ?」

「ギルドへの報告書だ。お前はホントしないからなぁ」

「確かに、アニスはしませんねぇ。たまには書かないと、書き方忘れますよ?」


 ミヨンとウィルにアニスは詰められる。


「いやぁ、こういうのって得意な人がするのがいいじゃない? 私はほら、力担当だからね」


 渡された封筒をアニスはミヨンに返す。

 ミヨンは溜息を吐くと、大きなショルダーバッグに封筒を入れた。


「そんな事より朝ごはん食べに行こう。ウィルが良い店見つけたんだって……お酒も美味しいらしい」


 話題を変える様にアニスが明るく言う。


「そうだね、お酒はともかくご飯を食べに行こうか」


 クリエが言いながら部屋を出て行こうとし、アニスとウィルもその後についてく。


「……」


 そんな光景をミヨンは後ろから嬉しそうに眺めていた。


 クリエたちと一緒に景色を見て、美味しい物を食べる……いつかあの世でセレンに会えたなら、思いっきり話をしてやろう。

 心はミヨンとして、そしてセレンの姿で、二人一緒に体験した、多くの旅の思い出話を……。


 今、ミヨンの目の前には間違いなく、自分だけの宝物がそこにはあった。


~サイド1 ミミックの宝物 完~


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