表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の創造主は、仲間達と問題の後始末ばかりします。  作者: 灰色
依頼2 火山の後始末をします。
26/56

9 聖獣の寝坊

 聖獣フェニックスことレミラが、クリエと共にドラゴンを跡形も無く蒸発させたその日の夜。

 温泉村では正真正銘の宴会が宿の外で開かれていた。

 残っていた高級食材を全て使い、避難していた村人たちも全て呼び戻し、ちょっとした祭りのような感じになっている。

 その中心ではクリエたちと静香、そしてレミラが一緒にご飯を食べつつ、今回の騒動の話をしていた。


「結局、何だったの? 火山の噴火とか魔物とかドラゴンとか」


 ご機嫌なアニスがワインと米酒を交互に飲みながら聞く。

 隣ではミヨンが豪快に料理を食べ、ウィルやリゼも食事をしつつお酒を楽しんでいた。

 レミラは静香に料理を取ってもらうと、少しずつ食べながら答える。


「実は溶岩の中が気持ち良くて、うっかり寝てしまって。そのせいで魔物とか昔一度クリエ様と追い払ったドラゴンまで来てしまって……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃ」


 ドラゴンを一撃で蒸発させたとは思えない程、少し気弱な感じがするレミラだった。

 ただドラゴンの身体の一部にあった火傷の跡が何だったのかは、アニスたちにも理解する事ができた。


「レミラさんが火山の中に居た事、騎士団の調査で分からなかったのでしょうか?」


 ウィルが器用にクリエの食事の世話をしながら疑問を口にする。


「無理じゃないかな。外から魔力をちょっと調べた程度では、奥までは分からないからね。だからと言って、溶岩の中に入って調べる事なんてしないだろうし」


 実際溶岩の中に入り、なんともなかったクリエが言う。


「あの、そもそもなぜレミラ様は火山でお眠りに?」


 静香がもっともな質問をした。


「今だと……一週間以上前になるんでしょうか? ある時、溶岩でちょっと休憩しよう火口付近に降りた時、ある冒険者が私を魔物と勘違いして襲ってきたんです」

「え? じゃあ、あの冒険者が倒した魔物ってレミラちゃんの事?」


 アニスが怪訝な表情で聞く。


「倒した? そうなってるんですか!? 私はただあまりにしつこくて、攻撃したら相手を蒸発させてしまうから、溶岩の中に避難したんです。さすがに追ってはこれないだろうし、ほとぼりが冷めたらまた出ればいいかなって。うっかりそのまま寝過ごしちゃって」


 レミラが照れ笑いするが、そのおかげで大変な目にあっていた。


「結局今回の事って、その冒険者のせいじゃない? 流石にこれは懲罰ものじゃないかしら」


 アニスの言う通り、原因は冒険者がレミラに手を出した事であり、結局全てはその冒険者の責任になる。

 全員が頷く中、リゼが疑問に思っていた事を話した。


「あの、結局石像や伝承って何だったのでしょうか? 石像に至っては全然違う物でしたし」

「その質問は僕が答るよ」


 お猪口に入った米酒を飲みながらクリエが言う。


「昔、僕はレミラの背に乗って、レミラの住みやすそうな場所を世界中を旅して探していてね。その時、火山があるここを見つけたんだ。フェニックスは寒くても死なないけど、温かい所の方が落ち着くみたいだからね」

「フェニックスの背に乗って旅だなんて……ロマンチックですわぁ」

「うん、レミラとの旅は楽しかったよ。空を飛ぶと風も気持ちよかったしね。それでそんな時にここを見つけたんだ。ただ、先にあのドラゴンが好き勝手していてね。辺りに草木はほぼ無く荒れ放題」

「それで近くの森の動物たちも迷惑をしていたので、私が追い払ったんです。あのままだと、あのドラゴンは他も際限なく襲いそうだったので」


 レミラがクリエと一緒に居た当時の事を楽しそうに思い出しながら言う。


「では、最初はあのドラゴンが住んでいた。という事になるのですね」

「でも流石にいきなり殺すはちょっとね。そこで、きつく叱って悪さをしないように見逃したんだけど……どうやら反省はしなかったみたいだね」


 いきなり森へのブレス攻撃などを考えると、確かに反省しているようには見えなかった。


「その後レミラがここに住み始めた。聖獣の魔力は弱い魔物は寄せ付けないし、フェニックスは再生を司っているからね。徐々に草木が生え、動物たちも増えて、そして人が住み始めたんだ」

「なるほど、それがこの火山周辺に温泉村が出来た理由なんですね」


 静香が納得したように言う。

 そしてレミラが村人たちと接触しなかったのは、大事になるのを避けるためだったと。

 たまに姿を見せていたのは、岩盤浴ならぬ溶岩浴をする為と、魔力で周辺の魔物が来ないように威嚇をする為だったと説明をした。


「そしてあの石像は恐らく、ドラゴンの話とフェニックスの話が混じって出来た物だと思うよ。だからなんだかいびつに混じった形なんだ。人は住んでいなくても、姿くらいは見てた人はいただろうしね」

「あー、言われてみれば確かにの石像、フェニックスとドラゴンを足して割ったような感じだな」


 ミヨンが石像を思い出しながら言う。


「火山が噴火しそうになったのは私のせいなんです。ちょっと休憩するつもりがグッスリ寝ちゃって。私の魔力が溶岩の熱で徐々に強まり、それが溢れそうになったためなんです。火山活動自体もそれで活発になってしまって……ごめんなさぃぃ」


 レミラが情けない声を上げながら、頭を下げて再び謝る。


「だからリゼがこの前、温泉の魔力濃度が濃く感じるって言ってたのは、レミラの魔力が火山を通じて温泉に混じったからなんだろうね」

「だから前に来た時よりも濃く感じたのですね」

「でも今回の件はこれで終わり。全部元通りだね。とんだ冒険者の後始末にはなったけど」


 話をまとめたクリエに、静香や話を聞いていた村人たちは喜んで声を上げる。

 だが、正直ミヨンたちは納得していない部分があった。

 それはやはり元凶になった冒険者の事だ。

 どうにもモヤモヤが残っていると、その時聞き覚えのない声が聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ