表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の創造主は、仲間達と問題の後始末ばかりします。  作者: 灰色
依頼2 火山の後始末をします。
24/56

7 守護者様ですか?

 村から少し慣れた場所にある広場に着くと、クリエたちは遠くの空を見上げる。

 確かに、何か飛んでいる大きな物体が近づいて来るのが見えた。

 やがてそれは、クリエたちの少し前の上空で旋回し始める。

 細かい事は分からないが、強力な魔力を持っている存在である事だけは確かだった。


「あれどうするの? 落とす?」

「そうだな、このまま上空をウロチョロされても鬱陶しい」


 ミヨンとアニスがクリエを見ると、頷いて答えた。

 アニスの身体から血が沸き出ると前方に集まり、巨大な赤い結晶の弩砲 (どほう)バリスタになり、矢の照準を飛んでいる物体に合わせる。

 ただ、バリスタが大きすぎて簡単に撃てそうになかった。


「後はミヨンよろしく」

「仕方ないな。というか、あんな動いてるのに当たるのか?」

「大丈夫よ。矢さえ飛べば、後は私が動かして当てるから」

「だったら自分で飛ばせばいいだろ?」

「矢の操作に専念したいから余計な事をしたくないのよ。ほらほら」


 バリスタの全てがアニスの魔法であり、飛ぶ軌道修正も簡単に可能だった。

 それを聞いたミヨンは軽く溜息を吐くと、片手を大きなハンマーに変え、そして矢の後部を思い切り打ち付ける。

 物凄いスピードで飛んだ矢だが、飛行生物とは見当違いの方向に飛んで行った。

 しかしアニスが片手を前に出し、矢を操るように動かすと、まるで生きているように矢が軌道修正して飛行生物に当たる。

 当たった矢は砕け散り、周囲に綺麗な赤い結晶の欠片を撒き散らした。


「手応えあり……しかし硬いな。刺す予定が、逆に砕かれるなんて」


 アニスの考えでは刺した後、矢ごと対象を引き寄せる予定だったが、あまりの相手の硬さに矢が砕け散る結果になった。

 周辺に残った赤い結晶を、アニスは血に変えると体内に戻す。


「しかし、効果はあったようですよ。落ちて行きます」

「そうですわね。後で護衛に何だったか確認させましょう……って、なんだかアレ近づいて来てません?」


 ウィルとリゼが上空から落ちて来た生物を見ていると、地表へ墜落する前に再び羽を羽ばたかせて飛び上がり、猛スピードで一直線にこちらへ向かって来た。

 巨大な体躯を露にし、やがてクリエたちの目の前に来ると、それは地面に着地すると同時に周辺に地響きを鳴らす。


『…………』


 その姿を見て全員が沈黙した。


 全身が緑色のトカゲのような身体に太い一本の尻尾があり、背中からは蝙蝠のような翼が生え、強靭な前足と後ろ足には鋭いかぎ爪が付いている。

 そして頭には二本の角に、口には凶悪な牙が幾本も生えていた。

 強大な魔力が全身を包み、大きさは10メートル以上はある。

 雄叫びのような咆哮をすると、上空に向けてその口からは火を吐いた。


「ド、ドドド、ドラゴン!? 噓でしょ? なんでこんなのがここに居るのよ!!」


 アニスが思わず叫んだ。

 咄嗟にクリエと静香以外は臨戦態勢になる。

 攻撃されたからか、ドラゴンは明らかに気が立っていた。

 しかしドラゴンを見て、目を輝かせて喜んでいる静香がいる。


「み、見て下さい。きっとあれが守護者様で、あの火山をどうにかしに来てくれたんですよ!」


 確かに、部分的に見ればあの石像に似てなくもなかった。

 だが、ドラゴンが大きな口を開け、魔力を溜めて圧縮させると、赤い光線のようなブレスを森へと放つ。

 一瞬にして一部の森が焼失し、ウィルとリゼが慌てて延焼しないように水魔法で残り火を消した。


「アレを見てもまだ守護者様って言えるのか?」

「えーと……ほら、お腹が空いているとか、ちょっと機嫌が悪いとかでは?」


 ミヨンの問いに静香は苦笑して答えた。


「しかしアイツ、なんか身体が汚れていないか?」

「汚れというか、焦げ跡という感じがしますね」


 ドラゴンの身体をウィルが観察すると、緑色をした身体の一部分に、黒く焼け焦げたような跡があった。

 暫くドラゴンを観察していたクリエが口を開く。


「……とりえあず、一旦お帰り願おうかな」

「倒さなくてもいいの?」


 目の前のドラゴンは見た感じ、魔族ではなく魔物だった。


「無理に倒そうとして森を焼かれても大変だしね。軽く痛めれば驚いて帰るかもしれない。女将さんは僕が守るから気にしなくてもいいからね」

「倒すよりも面倒だけど、仕方ないわね。ミヨン、どうする?」

「ウィルがドラゴンの動きを止めて、アニスが頭にゴツンと一発ぶちかませばいいだろ」

「普通に殴るだけじゃ威力が足りないかも。あのドラゴン結構硬いし」

「私が上まで運んでお前をぶん投げる。それで勢いをつけろ」

「ブレスの問題がありますよ」


 一番の問題は高威力の炎のブレスだった。

 多少溜めの時間があるにせよ、危険である事は変わらない。

 その時、リゼがミヨンたちに近寄る。


「でしたら、ブレスはわたくしが防ぎましょう」


 そう言うと、手に付けていたマジックアイテムである指輪を全て外して、ポケットにしまう。

 その様子を見てアニスが冗談めかしにリゼに言った。


「リゼに出来るのぉ? 相手はドラゴンよ?」

「折角のクリエ様に良い所を見せるチャンスなのです。それに……無色の魔法使いとしての力を久しぶりに見せてさしあげましょう」


 誇らしげにリゼが言うと、リゼを中心に旋風が巻き起こり、黒髪を激しい風になびかせながら爆発的に魔力を上げる。

 リゼが普段付けている指輪は、膨大な魔力を属性魔法に細かく変換し、複数同時発動を補助する物で、本来のリゼは属性魔法ではなく、無属性魔法が得意だった。


 魔法には地、水、火、風など多くの属性が存在するが、根本にあるのは無属性の魔力そのものであり、属性を付けるのは、有利不利による特性を利用する為になる。

 そのため無属性は弱い魔力ならあまり使い物にはならない。

 だが、膨大な魔力を有している際は不利が無い分、あらゆる属性に対して有効打になった。


「いいか、ブレスの時を狙う。アイツはブレス前後の隙がでかい。ブレスの溜めに入ったらウィルが動きを止めて、私がアニスを上に運ぶ、リゼはブレスを防いでくれればそれでいい」


 と、そこでミヨンはウィルを見た。


「ウィル、いつもみたいな細い奴なんか使うなよ」

「分かっています。私も少々本気の闇魔法を見せしましょう」

「じゃあ、始めるぞ」


 ミヨンの合図でそれぞれが動き始める。

 ドラゴンの攻撃は大振りが多くて動きも遅く、避ける分には余裕だった。

 ブレスを誘発するために、小さな攻撃で刺激する。

 やがて業を煮やしたドラゴンが、大きな口を開けてミヨンたちに向けた。


「今だウィル! アニス、上に行くぞ、乗れ!」


 ミヨンがウィルに指示を飛ばす。

 ウィルの足元から黒い霧のような魔力が溢れ出した。


「さて、暫く大人しくしてもらいましょうか」


 黒い霧の中から今までのような小さく細い腕とは違う、ドラゴンすら一握り出来るほどの、鋭い爪のある巨大な黒い手が一つ現れ、そのままドラゴンを横から鷲掴みにして動きを止めた。


 同時にミヨンは一匹の大きな鳥の姿になると、アニスを乗せ一気に遥か上空へと飛んでいく。

 ある程度の高度になると、今度は落下しながら筋骨隆々なオーガ族に姿を変えた。


「さっさとぶちかましてこい!」


 落下しつつ、アニスを両手で掴むと思い切りドラゴンの方へとぶん投げる。


 両手に一本。巨大で赤い結晶のハンマーを握ったアニスが、空中から猛スピードでドラゴンへと迫る。

 それを察知してか、ドラゴンはジタバタと身じろぎするが、拘束から抜け出す事が出来ず、やがて首だけを器用にアニスの方に向けると、赤い光線のブレスを吐いた。


「さて、あの酒好きが燃えないようにしましょうか」


 リゼがアニスに向かって両手を掲げると、アニスの前に巨大な白銀に光る魔法の盾が何重にも現れる。

 ブレス攻撃を受け、いくつかの盾は壊れるが、アニスに届く事はなくブレスを真正面から防いでいた。

 徐々にアニスがドラゴンへと近づき、やがて眼前に迫ると、大きくハンマーを振り被った。


「どっせえぇぇぇい!!」


 アニスの気合と共に瞳が赤く光り、巨大な赤い結晶のハンマーがドラゴンの頭部を大きな音を立てて殴打する。

 魔力の激しい衝突で風が巻き起こり、辺りに土煙が舞った。


 ドラゴンが頭部を殴られた衝撃で気絶したのを確認すると、ウィルは巨大な手を解き、いつの間にか地上に戻っていたミヨンは結果を満足気に見ている。

 アニスはハンマーを血に戻して吸収すると、ミヨンに抗議した。


「ちょっとミヨン、あの投げ方はないんじゃない!? もうちょっと優しくしてれても良いじゃない!」

「お前は頑丈だろうが。あれでも優しくしたんだがな」


 やれやれと言った様子で、ウィルとリゼはその光景を眺めていた。

 やがて気が付いたドラゴンは、クリエたちを暫く見つめると、どこかふらついた様子で飛び去って行く。


「お疲れ様。みんなカッコ良かったよ。リゼも協力してくれてありがとう」


 クリエの誉め言葉にそれぞれ照れた表情になり、その横で静香はあまりの出来事に呆気に取られている。

 そして今後の方針を早急に決めないといけなくなり、宿へ急いで帰る事になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ