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世界の創造主は、仲間達と問題の後始末ばかりします。  作者: 灰色
依頼1 スラム街の後始末をします。
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スラム街 エピローグ

 ニールが新領主になって数日が過ぎた。

 王都に居たベイルの協力者は、事の重大さから全てが処刑される。

 さらにその情報は国内外に知れ、街は厳しい目に晒されているが、ニールは多くの者に支えられながら信頼回復に努めていた。


******


 クリエたちとドレイクは、閉鎖が解かれた神狼の森の動物たちと戯れる事が出来る広場に居た。

 テーブルの上には飲み物の入ったコップが置かれ、囲んで置かれている椅子に座り、広場の光景を眺めている。

 子供や大人たちが、うさぎや鹿、犬にレムルの使徒の狼を撫でたり、一緒に走ったりしていた。

 そこにはニールの姿もあった。


「いやぁ、良い光景ですなぁ。私が来た時はすでに閉鎖されていて残念だと思っていました。王都に帰る前に良い思い出ができそうです」


 ドレイクがクリエたちに話す。


「やっぱりドレイクは帰るの? もう、ここで永住でもしたら?」


 流石に酒は飲めず、ソフトドリンクを飲んでいるアニスが言った。


「そうしたいですが、私は元々王都勤めですからな。仕事が終わった今、帰るのは当たり前という事です」


 ドレイクだけではなく、クリエたちも仕事が終わっているので、新しい仕事を受ける為、街を出る事になっていた。


「こっちはお前たちの依頼のせいで、とんだ面倒事に巻き込まれた。もっとサックリ終わる依頼だと思ったのに」

「でも、ここの料理は美味しかったですね。おかげでレシピが増えましたよ」


 ミヨンとウィルがそれぞれ感想を言う。

 ドレイクはクリエに向き直り、真剣な表情になった。


「クリエ様、この度は大変申し訳ない事をし、お詫びの言葉もございません」

「それは、僕を利用しようとした事かな?」

「その通りです。レムル様の指示があったとは言え、クリエ様の事は詳しく存じ上げていませんでした。正直、あまり期待しておらず、上手く使えるのなら利用して真相を暴こうかと」

「まぁ、僕はいろいろ言われてるからね」

「……『神の下に居る下級神、どのような神かも言わない怪しい半端者』。あまり良い噂を聞かないのは事実です」

「実際に世界神は何らかを司っているからね。仕方ないと思うよ」

「クリエ様は……一体何を担っているのですか?」

「内緒だよ。ただ僕は、こうやって皆と同じモノを出来るだけ感じたいと思っただけなんだ」

 

 笑顔でクリエが答えながら、広場にいる人たちと動物たちを見ていた。

 ドレイクが知る世界神は横柄とは言わないが、やはり威厳に満ち、人とは絶対的に違うモノを感じさせる。

 しかし、目の前にいるクリエは、本当に自分たちと同じような感じがしていた。

 そんな事を考えていると、クリエがドレイクに聞く。


「ねぇ、ドレイク。君はこの世界が好きかい?」

「そうですな。裏方なので、嫌な部分ばかり見る事が多いですが……やはり、今の光景を見ると、この世界が好きなのだと思えます」

「そっか、答えてくれてありがとう」

「いつか王都に来られた際は、ぜひ私を訪ねて下さい。いろいろ案内しますので」

「うん、その時はよろしくね」


 視線は広場から動かないが、嬉しそうなクリエだった。


「ドレイクもクリエ様たちも、近々ここを出られるのですか?」


 クリエたちを見つけたニールが声を掛けて来る。

 その表情は、どこかすっきりとしている感じがし、初めて会った時よりも頼りがいがあるように見えた。


「そうだね。次の仕事もあるから」

「私も本来の仕事に戻るでしょう。ここの生活はのんびり出来て好きだったのですがね」

「それは寂しくなりそうです。ですが、もしこの近くに来た時は寄って下さい。最大限のおもてなしをさせていただきます」

 

 その言葉にアニスたちが反応する。


「じゃあ、その時は美味しいお酒をたっぷりよろしくね、領主様」

「私は旨い料理だな。あと珍しい物でもいいぞ」

「全く二人は食べたり飲んだり、もっといろいろあるでしょう。工芸品や装飾品も、ここは一級品なのですよ? 私はクリエ様に似合う装飾品を探したいですね」

「任せてください。その時は私がご案内しますから」

 

 胸を張ってニールが笑顔で言う。

 その時、広場が大きく騒めいた。

 騒動の方を見ると、そこには人型のレムルの姿がある。

 ほとんど街の祭事などでしか来ず、広場に来るのは本当に珍しい事だった。

 レムルはクリエを見つけると、軽くお辞儀をし、身体を大きな狼に姿を変えた。

 その姿にさらに周囲のどよめきは大きくなるが、クリエはニールを見て頷く。


「さぁ、レムルが待ってるよ」


 クリエの言葉に、ニールはレムルへ近づくと、頬をそっと撫でた。

 嬉しそうにする狼のレムルに、徐々に距離を置いていた人たちも、身体や頭を撫でて行く。

 やがて他の動物も混じり、ほとんどの者がレムルに寄り添っていた。


「本当に良い光景ですな……一生の思い出になりそうです」


 ドレイクが感慨深く言う。

 クリエが飲み物のコップを手に取った。


「乾杯でもしようか。この貴重で大切な時間に」


 アニスたちやドレイクは頷くと、コップをそれぞれ手に取り乾杯をする。

 人も神も動物も……全てが仲良く戯れる中、軽快な幸せな音が広場に広がった。


~依頼1 スラム街の後始末 完~


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