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有坂神霊縁  作者: iotas
52/63

4 虚室、光は地に溶けて、無中に探す活路(9)

 その時、突然ピッと一筋の光が天井を通過した。

 淡い銀色の光だった。

 その一筋の光は洞窟内で徐々に拡散を始め、やがて帯状に何本も線を伸ばしていった。

 光は長谷川たちのいる建物にまで降りてくる。

 月の光のようだった。光は長谷川達の周囲を淡く照らす。

 その光の線に釣られるように長谷川は視線を下ろす。そこには長谷川の――亮月としっかりと繋がれた手があった。

 彼女もそれに気づいて慌てて手を離す。そうして彼女は照れたように俯きながらポツリと

「ゴメン……な」

と言った。

 ――と言われてもどうしていいかわからない。

 何かフォローすべきなのかどうなのか、戸惑う長谷川を救ったわけでもなかろうが

「ふたりとも」

と声が発せられる。有坂の声だった。

「あれ、見える?」

 射し込まれた月光のお陰で、亮月の奥に有坂の腕がボンヤリと見える。

 彼女が指し示す方向は、建物の右手の地面。


 ただの地面でしか無いはずのそこは、何故かうっすらと緑色の光に彩られていた。

 土が直接光っているわけではなさそうだった。

 地面の奥底から精一杯這いでてきたかのような、物凄く頼りの無い緑の灯がボンヤリと見える。

 ――あの緑は――ヒカリゴケ?

「行こう」

 ゴソゴソと音がする。有坂が最後のローソクを取り出した。


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