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ちっこいの、お風呂に行く
ちっこいのは芝居を観た帰りに、風呂屋の風呂に浸かっていた。
そこは露天風呂があり、その少し向こうには滝が見える。空を見上げると、あと何日かすると満月で、今夜の月は、丸に足らず、少し欠けたようなそんな形をしている。
少し温めの風呂に浸かり、今日みてきた芝居を思い出していた。
下を向いて、ため息を一つつくと、ちっこいのは月を見た。不思議なことに、月が大好きな役者の顔に見えてくる。
お似合いのご両人だったな。
ホロリと頬に涙が落ちた。
あんなに年が違うのに、同じくらいの年に見える。
月がボヤけて仕方ないから、湯船に顔をつけた。
このまま息をしなかったら、たぶん、溺れるかもしれない。
あの役者さんに溺れているのかな?
どうせ溺れてしまうなら、もっと近くで溺れてみたい。
あんな風に並んだら、私はどんな風に見えるんだろう。
お似合いの2人に見えたらいいな。
目を閉じて、自分と横に並ぶ2人を想像してみる。
私、女優になりたいな。
ちっこいのは、湯船の淵に座り、温まった身体を少し冷ます。露わになったその姿を月が青白く照らしていた。




