ドヨウノウシノヒクライシス
「本日、土用の丑の日。注意されたし、注意されたし」
うなぎ界が騒いでいる。
「今日は一年で1番同胞がいなくなる日。明日には誰がいなくなってるかな...」
ウナギンフルエンサーのウナキンが突然言い出した。
「私の元にウナ神様が現れた! これで人類を食い止めてみせる!」
うなぎ界は大きな希望を持ち、その様子を見守ることに決めた。
「ウナ神様、人類がうなぎ以外のことを喋れなくしてうなぎの偉大さを思い知らせてくださいませ!」
「ウナ!」
そして、人類はうなぎしか言えなくなった。
「うなぎ!!うなぎうなぎ!」
「うなぎうなぎ、うなぎー!」
もう何を言いたいか全く分からない。しかし、交通網は麻痺しなかった!
人類には記憶力というものが存在する。
そして、今日は日曜日、会社もお休みである。
みんな引きこもるのだ!!
ニュースをつけると、
【うなぎ】うなぎうなぎうなぎ、うなぎうなぎ
多分速報だろうが、ゲシュタルト崩壊が起こる。
小説などは致命的だ。著名な作家の作品も、生成AIで作られた作品も全く違いが分からない。
だが、そんなことはどうでもよかった!
人類はこの日、うなぎという言葉を一生分浴びた。
その結果、みんながうなぎを食べまくった!!
土用の丑の日、あらため、うなぎうなぎうなぎうなぎに、うなぎをうなぎうなぎ言いながら人類が食べまくる!!
そして、うなぎは絶滅した。