3.魔王の娘――リリス・アウグストゥス。
せいや!
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「ぷはぁ! 生き返ったぁ!!」
「あっさり敵の施しを受けるのな」
深皿いっぱいに入ったクリームスープを飲み干して、リリスと名乗った少女は恍惚とした表情を浮かべている。どういうことなのか、簡単に説明すると――。
『いざ尋常に、しょうびゅ……』
――ぐるるるるるるるるるる!
勢い良く啖呵を切ったかと思えば、爆音で腹を鳴らしてぶっ倒れたのだ。
俺は呆気に取られながらも、目を回す少女を放っておくこともできずにクリームスープを作った、という次第である。前口上で述べていた『魔王の娘』であるという内容は気になったが、それはそれとして無視できなかったのだ。
そんなこんなで、俺は空いた皿を下げながら小さく息をつく。
対してリリスは満足げに大きく膨らんだ腹を撫でていた。
「いやぁ、助かったぞ! 実はここ一ヶ月、飲まず食わずだったんだ!」
「よく生きてたな、それ」
俺のツッコミに、彼女は愉快そうに笑う。
そして、しばし間を置いてから訊いてきた。
「ところで、お前は本当に勇者なのか?」
小首を傾げて、心の底から不思議そうに。
どうやら助けられた状況と、仇敵に対した気持ちで揺れているらしい。ここはどのように答えるのが正解なのだろうか、と考えていると、リリスは何かを察した様子で言った。
「……ふむ。どうやら、その表情を見るに真実みたいだな」
「あー……そこまで馬鹿ではない、と」
俺の言葉に彼女は少しだけムッとしたが、咳払いを一つ仕切り直す。
「改めて名乗ろう。アタシはリリス――魔王の娘であり、現魔族長だ」
「魔族長、マジかよ……」
「マジだ」
こちらが頬を引きつらせて苦笑すると、どう受け取ったかリリスはない胸を得意げに張ってみせた。たしかに魔王を倒す際に四天王も一掃したが、あちらも相当な人材難らしい。
それについては若干のいたたまれなさを感じるが、申し訳なさは覚えない。
俺は顎に手を当てて考えながら、ひとまずこう訊ねた。
「それで、その魔族長さんは……俺に何の用?」
「あぁ、そうだった!」
するとリリスはハッとした表情になり、こう口にする。
「勇者ウィリス! アタシと勝負だ!!」
――ズビシィ! という効果音がしそうな勢いで。
なんとなく予想はしていたが、俺はひとまずこう返した。
「うん、どうしてそうなったか説明してくれるか?」
「うむ! 一飯の恩義もあるからな、説明してやろう!!」
すると、意外にもあっさり彼女は頷く。
こうして俺は、魔王の娘であるリリスの事情を聴くことになるのだった。
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