2.亡くした者と、闖入者。
そいや! ご飯食べてきます!!
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「臨時収入にしては、ずいぶんな額になったな」
オーガの魔石を換金すると、スライム駆除などで稼ぐ月収くらいの額になった。これだけあれば生活も楽にはなるのだが、個人的にそれを求めてはいない。
何故なら俺が故郷に帰ってきた理由の一つに、目立ちたくない、というものがあるからだ。もし強力な魔物を討伐していたら、王都のギルドに目を付けられてしまう。
そうなったら、故郷での平凡な生活という理想も壊れる。
俺は絶対にここから離れない、そう誓ったのだ。
「…………あぁ、そうだ」
そんな中でも、たまには贅沢も良いだろう。
俺はふと視線の先にあった店の前に並ぶ花々を見て、頬を緩めた。そして家族へのお土産にしようと考えて、いくつか見繕ってもらう。
どれも瑞々しい、綺麗な花ばかりだった。
きっと両親も、妹も、みんなが喜んでくれるに違いない。
「ただいまー!」
そう考えて俺は、いつもより声を弾ませて自宅に戻った。
だが、やはり――。
「……なんて、な」
返事は、ない。
そもそも俺の家族は、ずいぶん前に全員が亡くなっているのだから。
そんな当たり前に改めて直面しつつ、俺はあえて明るい口調で写真立ての前へ。まだまだ俺が子供だった頃、王都からやってきた商人の魔道具で撮影した写真だ。
記憶の中にいるみんなより、さらに若く幼い。
俺は墓代わりのそれに、陽気な声を作って語り掛けた。
「今日は臨時収入があったんだよ。……だから、お土産だ」
花瓶に水を入れて、それを供える。
心なしか写真の中のみんなは、笑ってくれているように思えた。
もしも彼らが生きていたら、魔王を倒した自分を褒めてくれただろうか、と思わず考えて首を左右に振る。そんなことは何度も考えたが、答えなんて出なかった。
みんなはもう、死んでいる。
だから、俺にできるのは彼らを忘れないこと。そして――。
「今度こそ、この村を守る……それだけ、だ」
旅立つ前、父親から貰ったペンダントを取り出して握りしめる。
だからこそ俺はもう、この村を離れない。
その誓いを改めて、胸に刻んだ時だった。
「ついに見つけたぞ、勇者ウィリス!!」
「えぇ……?」
幼い少女の声が、家の中に飛び込んできたのは。
何事かと振り返ると、そこにいたのは赤い髪に赤の瞳をした少女だった。ボロボロの布切れみたいな服を着ている彼女は、肩で大きく息をしながら叫ぶ。
「アタシの名前はリリス・アウグストゥス! お前の手によって――」
細身の剣を構えて。
「魔王であり、最愛の存在であった父を殺された者だぁ!?」――と。
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