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6.冒険者の青年、ラスエル。

てやあああ!!

応援よろしくお願いいたします!!









「おやおや、ウィリスさん。アンタいつの間に娘ができたのかい?」

「冗談はよしてくれよ、ボーガンさん。こいつは居候だ」

「何を言うのだ! 弟子だろう!?」

「あっはっは、元気な娘さんだ」




 村で唯一の商店に行くと、店主のボーガン老がにこやかに迎えてくれる。

 彼は十三年前に俺が旅立った後でも、逞しく生き残ったカディスの古株だ。当然こちらの素性も知っている人間の一人で、帰郷後も親切にしてくれた恩人。リリスを見てもこのように笑って受け流せるのだから、ずいぶんと懐の深い老爺だった。



「さて、ウィリスさん。今日は何が入り用かね」

「そうだな。今夜はカレーを考えているんだが……」



 などと、そんな会話をしながら。

 俺は必要な食材をボーガンさんに告げて、中でも上物を見繕ってもらった。そして代金を支払おうとすると……。



「いやいやいや。アンタからは代金を受け取れないよ」

「……またか。いい加減、それやめてほしいんだが」



 もはや決まり文句のように、彼は微笑みながら顔の前で手を振る。

 なんでも彼曰く『世界的な英雄様相手から、お代はいただけないよ』とのこと。俺としてはそういった特別視が嫌なのだが、ボーガンさんはこの態度を一貫して変えない。理由を訊ねたこともあったが、何やらバツが悪そうにはぐらかされた。


 だが、とにもかくにも。

 俺は苦笑しながら品物を受け取ることにした。



「おいおい。またオッサンだけ特別扱いかよ」

「あー……面倒なことに……」



 その時だ。

 俺たちの方へ向けて、明らかな敵意を向ける人物が現れたのは。

 声のした方を見るとそこにいたのは、真新しい綺麗な鎧を身に着けた青年だった。金の髪に青い瞳をした生意気そうな彼の名は、ラスエル・リュード。

 この村に最近になってやってきた冒険者で、俺のことを分かりやすく敵視していた。

 その理由は追々語るとして、いまはこの場をやり過ごさなければ……。



「おい、ボーガンのジジイ! どうしてジジババたちは、こんなオッサンを特別扱いするんだ! 村を凶悪な魔物から守ってるのは、オレだろうが!!」

「こらこら、ラスエル。そのように声を荒らげるな」

「うるせぇ! オレは当然の主張をしているだけだろうが!」



 そう考えている間にも、ラスエルとボーガンさんは言い合いになる。

 俺はそこに割って入ろうとするが、どうにも上手くいかない。苦笑いするしかなく、しばし状況を見ていると先に動いたのは……。



「馬鹿はお前だ、ラスエルとかいう奴! お前など、師匠の足元にも及ばない!」

「…………あ?」

「おい、リリスさん……?」



 ――リリス・アウグストゥスだった。

 少女は相変わらずな上から目線言葉のまま、ラスエルへと詰め寄る。そして背伸びしながら、彼の鼻面に人差し指を突き付けて言った。



「この若造が! お前は知らないだろうが、師匠はかつてアタシの父――」

「ストオオオオオオオップ!?」



 だが、即座に俺は彼女を止める。

 いまコイツ、自分の父親が魔王だったとか口走ろうとしたか! アホか!?



「……父?」

「あー、いや気にするな。この子の父親を助けたことがあるんだ」

「父親を助けた? はっ……スライム狩り風情が、か?」

「お、おう……」



 ラスエルが鼻で笑うが、俺はどうにか誤魔化した。

 少女は俺の腕の中で藻掻いていたが、どうにか封殺できたらしい。ここで下手に素性がバレれば、大きな問題になりかねないからな……。



「とりあえず、俺たち帰るわ! それじゃ!!」

「ふぬー!!」




 そんなこんなで、俺とリリスは大急ぎで逃げ帰ったのだった。



 


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― 新着の感想 ―
[一言]  争いの種になるならそれらしい対外的な優遇される理由でも作れば良いのになって。
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