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5.魔族の摂理。

てやー_(:3 」∠)_

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「言質は取ったからな! これで、お前はアタシの師匠だ!!」

「……はいはい、分かったよ」



 ひとまず帰宅し、いい塩梅に乾いていたリリスの服を彼女に着せた。

 道中ずっと楽しげに俺のことをイジっていた弟子もどきは、いまだにどこか誇らしげ。要するに呼び方が変わっただけで、態度諸々は特に変化していない。

 それはそれで構わないのだが、俺には一つだけ気になることがあった。



「ところで、魔族長が元勇者の弟子……ってアリなのか?」



 というのも、仇敵と呼んで間違いない相手の門下に入るのがアリなのか、否か。普通に考えてみれば俺は、彼女の父親を殺した男だ。そのあたりの感性というか、考えや如何に。

 そう思って訊ねると、リリスは首を傾げて言った。



「変な話か……? 強者に師事するのは、自身を高める近道だろう」

「いや、魔王――親父さんのことは良いのかよ」

「あー……そうか、お前は人間だったな」



 そして、根本的な何かを思い出したように手を打ってから語る。



「人間ならば、情などに流される場合もあるだろう。魔族にももちろん、そういった感情がないわけではない。だがな、魔族にとって最優先されるのは『強くあること』だ」

「強く、あること……?」

「うむ」



 その話に、今度は俺が首を傾げた。

 すると少女は少しばかり真剣な表情になり、このように続ける。



「魔族の価値観において、強さとは絶対だ。弱き者は例外なく、強者に対して頭を垂れる。たとえそれが己の仇だとしても、敵わぬ相手であれば従うしかない」



 ――もっとも、いまは混沌としているがな。

 彼女は最後にそう付け加えて、説明を終了した。

 俺はそれを聞いて、しばし考える。なるほど確かに魔族という者の生き方について、過去の冒険では知る機会がなかった。しかし魔族の領域で見た光景には、それを証明するようなものが広がっていたように思う。

 だけど俺は、少しばかり皮肉を口にした。



「ま……どっちも似たようなもの、だよな」

「何か言ったか?」

「いいや、何でもないさ」



 リリスはその意図が分からなかったらしい。

 首を傾げていたが、俺はあえて見ないフリをして立ち上がった。



「さーて、そろそろ食材でも買いに行くかー」



 そして、わざと会話を切り上げるように言う。

 もっとも買い物に行かなければならない、というのは本当のことだったが。



「む! 今日の夕食は、なんだ!?」



 俺の言葉に対してリリスは無邪気に目を輝かせた。

 どうやらこの少女、なかなかに食い意地が張っているらしい。そうなってくると今後の食費が気になるところだが、それはひとまず置いておこう。




「……あー、そうだな。今日はカレーにするか」

「カ、カレー!? 人間の世界で空前の人気を誇ると噂の!?」

「魔族の世界でのカレーって、どんな立ち位置なんだよ……」





 そんなわけで、俺たちはひとまず買い出しへと向かうのだった。



 


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