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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

氷の王子と片想いの私〜塩対応の王子様に王家の私は困ってます〜

作者: 厨二の人間

「きゃっ。」

「うわっ。」

婚約相手を探すために夜中に開かれた賑やかなパーティの中そこから逃げるようにその場から去ろうとした私が通路の角でぶつかった。

「おい。大丈夫か?」

「は、はい。」

「おい、お前。パーティはどうした?」

「え、いや、えーとその」

「ふん。どうせ結婚するつもりはないからパーティから逃げてきたんだろ。」

「はい」

「ついて来い。どうせ暇だろ。」

「わかりました。」


私は早足で歩く王子についていく。

これが噂の氷の王子か。


「おい。なにぼさっとしている。」

「すいません。」

私はドレスを踏まないように手でドレスを少し持ち上げて早足で王子のところに向かう。





しばらく王子について行くと城の外に出た。

「あの、どこに向かわれるんですか?」

「のれ。」

「いや、私帰り道わかりますよ」

「のれ。」


なぜか私はこの人は信用できると思ってしまった。



私は戸惑いながらも馬車に乗った。



現在時刻は1時普段ならぐっすり寝ている時間だ。


当然、私はその眠気に耐えられず馬車の中で眠ってしまう。





「おい、起きろ。」

「え、寝てました。」

「寝てたぞ。あと安心しろここは俺の家じゃない。」


良かった。


私は馬車から降りてまた王子について行った。

私はドレスが地面にある草で汚れるのを防ぐためにドレスを少し持ち上げて進んだ。


王子が足を止めた。




「き、きれい!」

そこには私がさっきまでいた町が一望できる崖だった。

街には街灯がつきレンガの家が明るく、暖かく灯される。

街には無数の人が街中を歩いている。


そっか。今日は貴族の中ではパーティだけど街ではこんなふうになってるんだ。

「きれいだろ。これが見せたかっただけだ。」

噂で聞いたことがある。

この氷の王子は貴族らしくないと。


この方は貴族平民関係なく接する人なんだな。

「ありがとうございます。こんなきれいな景色を見せていただいて。」

「お前が初めてだ。」

「えっ?」

「ここに連れてきたやつはたくさんいるがここの景色をきれいと言ったのはお前が初めてだ」

「こんなきれいなのに?」

「ああ、普通貴族は平民を嫌うからな」

「もったいないですね」


私たちの会話は少ない。

でもその距離は確実に縮んでいた。



私は再び王子の馬車に乗りパーティに戻った。

パーティの時間は短い、そのはずなのにとてつもなく長く感じた。




パーティがおわり私は家に帰った。

私は帰りの自分の馬車の中囁いた。

「王子様に会いたいなぁ」







家に戻るとメイドから手紙を渡された。

王子様から私への手紙らしい。



私は手紙を開いて読んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー

俺はもうすぐお前に会えなくなる。

だからお前がもし俺と会ってくれるのならもう一度あの場所に来てほしい。

いつまでも待っている


氷の王子より

ーーーーーーーーーーーーーーー



「どうかなされましたか?」

「なんでもない」

「失礼いたしました」

いけない。

顔が嬉しさのあまりにやけてしまった。


こんな感情初めてだ。

こんなにも暖かいのに少し冷たくて苦しい。

彼も同じなのだろうか?




そう思いながら私は寝る準備をして日記を書いて寝た。



私は外出の準備をした。

王子に会うためだ。

王子には夜に会おうと思っている。

またあの景色を一緒に見たいからだ。

そして告白する。


迷惑かな?


大丈夫、だよね。




暇つぶしに本を読むことにした。


私が読んだのは題名のない本だ。

なぜならこれは昔の私のお母さんが書いたからだ。

お母さんとお父様の出会いのことを書いた小説だ。

内容は舞踏会であった男女二人が恋をする話だ。

お母さんは純粋でお父様は少し口調が強かったらしい。

お母様いわくお父様はツンデレらしい。


もう一つは私の幼馴染が書いた本だ。

簡単に内容を説明すると、

王子に忘れられた王女様が悲しみのあまり自殺を試みるがそれを身内が必死に止める。

最終的には自殺をやめて元に戻り、普通の人生を送っていくという内容だ。


幼馴染になんでこの小説を作ったの?と聞いてみたらごまかされた。


「あれ?もうこんな時間!」


私が夢中に小説を読んでる中時は進み日がくれようとしている。

もうそろそろ出発だ。



私は一人で屋敷を抜け出してあの場所へ向かった。

そう、あの王子と話した場所へ。



街の中は昨日と変わらず幻想的だった。

もちろん屋敷の方がきれいだ。

でも屋敷とは違う何かがここにはある。

人の暖かさとかだ。



そんなふうに思いながら街を歩いていると一人の男性に当たってしまった。

「す、すいませんでした!」

「イッテェ!しぬぅ!」

「え、いやそんな強く当たってないです。」

私は焦りながら言った。

「ウルセェ!謝罪だ!謝罪!こっち来い!」

「嫌!」

周りに数人が集まって私を拘束していく。


周りにもっと人がいるのに、どうしてたすけてくれないの?

私は泣いた

「だr、誰か。……誰か助けて!!」

周りの人は反応してくれない。

でもその中に一人反応してくれた人がいた。


「死ねぇ!おい!大丈夫か!」

そう、氷の王子だ。

「あ、ありがとう」

私は泣きながら王子に抱きつく。


私はそこで疑問に思ったことがあった。



なぜ彼は "氷の王子" と呼ばれているのか?

こんなにも暖かくて優しい心を持っているのに。


私は王子に連れられてあの場所に向かった。


「おい、泣き止め。」

そう言って王子はハンカチで私の涙を拭いてくれた。


「あ、ありがとう。」

私は王子に返事をするために前を向いた。

すると王子と目があった。

それも超至近距離で。


王子の唇が当たった。


王子は私から素早く離れて言った。

「ごめん!」


「大丈夫ですよ。私も嬉しかったです」

「ふぇ?」

王子から変な声が出た。

私と王子は笑った。

「初めて笑いましたね!」

「いや、笑ってない。」

「必死に隠してるのバレバレですよ」


こうして時は過ぎていく。


あれから王子の口調が変わった。

前は少し言い方がきつかったが今は違う。

今は優しい物語に出てきそうな王子様の口調だ。


あれから毎日私たちはこの場所で会う。

そして笑う。

そんな楽しい日々を。







楽しい日々は永遠ではない。

ある日いつものようにいつもの場所で彼と会うと彼に衝撃的なことを言われた。

「俺はもうすぐいなくなる。だから今日が最後だ。」

「え?どうして!!」

「悪い」

「なんでよ!」

「言えない。俺もお前とずっといたい。でも無理なんだ。」

「そんな。」

私はその場で泣き崩れた。

王子の足が遠くなっていく。


「行かないでよ」





あれから数年私は親に言われて婚約者を探した。

でも誰も結婚しない。

仕方がない。

彼と離れてもう数年たっているのだから。

私はデクノボウになっている。


会いたいよ。



ある日親からおかしなことを言われた。

「あなたと同じように結婚する気がない人の親が結婚してやってくれって言ってたわ。」

私と同じか。

普段なら拒否するが今回は拒否しちゃいけないと思った。

なぜだろう。

お見合いは数日後らしい。

それまで私はいろんな本を読んで時間を潰した。

私は本が好きだ。

本の中の主人公になれるような感じが好きだからだ。

もちろんお母さんとお父様の出会いの小説もだ。





ついに、数日後その日がやってきた。


私は屋敷のリビングで一人座って待っているとその人が来た。


私は歩いてドアを開けに行く


ドアを開ける。



その瞬間私は泣き崩れた。

悲しいんじゃない。嬉しいのだ。


だって目の苗にいるのは氷の王子だからだ。

数年ぶりの再会その喜びは今まで経験した中で最も嬉しかった時だろう。

当然、その喜びに耐えられるわけもなく咄嗟に言葉と行動が出てしまった。

「会いたかった!!久しぶり!!!!」

そう言いながら私は王子に抱きつく。


「え、えーと。誰?あと離れて。」






私は気絶してしまった。

悲しみのせいだろう。








「ん、ふぁ〜。」

「起きた?」

「は、はい!」

ビュンと私はベッドから飛び上がった。

王子めっちゃ驚いてたよ。



興奮した私は冷静な王子に落ち着かせられて、その後王子とゆっくり話す。

話して一つ分かったことがある。



それは私のことを覚えていないということ。

記憶障害ではない。

私のことだけ忘れている。


王子いわく以前のお見合いでこのような質問をされたことがあるそうだ。



私の中で色々と整理がついた。

数年前の私が思った疑問。


なぜ彼は "氷の王子" と呼ばれているのか?


なぜ氷がついているのか?

私のガバガバ推測でしかないが多分前の私のような人が氷とつけたのだと思う。


愛していた人に忘れられた衝撃で恨みを持ったが彼は悪くない。

でも、どうしても彼を恨んでしまう。

ほんとは恨みたくない。

その思いに耐えられずその人は自殺など自分を傷つける。

そんな人がつけたのが氷だと思う。




「おい、大丈夫か」

「大丈夫です」


静まり返る



……。



「あ、あの!」

「なんだ?」

「ま、また私と会ってくれませんか?」

「無理だ」

「やっぱそうですよね。」

彼は私のことを忘れているからしょうがないだろう。

でも悲しい。

まるで氷のように。


「今まではそう言ってきた。」

「ふぇ?」

「つまり、親にそろそろ結婚しろって言われてるからな。しょうがないからあってやる」

「ありがとう!!」

泣きながら言った。


嬉しさが込み上げてくる。

何度再会を願ったことか。

もう無理だと思っていた。

諦めていた。







その後私は彼と話す。

やっぱ変わってないね。

彼は彼だ。


話しているうちには日が沈んでいく。


「みてほしい景色があるんですけど、みてくれますか?」


「ああ」


私は彼を連れていく。

あの場所へと。


街は静まりかえっていた。

街灯はついている。

暖かい光だ。

でもなんか

「寂しいなぁ」




私は彼を連れて歩きあの場所へ向かう。




草の生える地面を彼が駆けていく。

街が見えるところで彼が停まった


「き、きれい」

「ですよね」


街はさっきとは真逆の印象を持っていた。

景色は変わってない。

街灯は暖かい光を出している。

街は静か。


「おい、お前泣いてるぞ。」

あれ?なんで?別に悲しくなんて……

あ、そっか。私王子様と一緒にこの景色を見たかったんだ。



「なんでもないです。」

「なんでもあるから泣いてるんだろう。」

そう言って彼は私を抱きしめる。


しばらくの間私は彼の胸の中にいた。


「こんな、悲しい 時 にこんなこと されると。この女たらしが」

泣きながら言ったせいで途切れ途切れになってしまった。


「たらしじゃないよ。俺は君を愛している。」

口調が変わった。

王子様のような口調に


「嬉しいよ!」


あれから私たちは毎日会った。

そしてこの場所でこの景色を見た。



そして今とは別の関係になる


そして

数年後私と王子様が結婚するのはまた別の話。






おしまい

ここまで読んでくださり誠にありがとうございます。


悪役令嬢の連載小説を出しているのでよかったら見てください!

https://ncode.syosetu.com/n2625hz/

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