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其の四 交通誘導員について考える

警備員と言えば筆者は『ザ・ガードマン』というドラマを思い出します、とは言え見ていた当時さえ再放送だった古いドラマなので内容はほとんど覚えていませんが。


とりあえず古いドラマは置いておいて現在警備業は基本的に1号から4号まで4種類に分かれています。


1号は施設や空港警備、2号は交通誘導や雑踏警備、3号は貴重品輸送や核燃料輸送警備、4号は身辺警護となります。


この中で2号の交通誘導警備は日本にしか無い業務らしいです、皆さんも街中や路地などで工事をしている現場の近くで警備員を見た事がある人は多いと思いますがその事です。


日本の場合道路を工事する場合又は道路を占有する作業には『道路使用許可証』というものが必要になります、前者はガス管工事や水道管工事など直接道路を掘る場合やアスファルトを敷く工事、後者でよく見るのはビルのコンクリート打設やクレーン車を使った資材搬入でしょうか。


『道路使用許可』にはほとんどの場合法律又は地域の条令などにより警備員の配置が義務付けられていますが、なぜ日本だけがそうなのでしょうか?


日本独自という事なので海外の人から見た交通誘導員の評価をネットで見てみました、否定的だったり肯定的だったり反応は色々だったので少し面白かったですがどうも本質は見えていないように感じました、まあ日本人の評価では無いのでその方が当然ではありますが。


意外に多かったのが雇用対策という意見です、まあ確かに働いている人の多くが壮年から老年という事も多いのでそう見えるのは仕方ありません。


他に肯定的な意見としてはやはり安全性が高いという事です、そのための仕事なのでこの意見が無い方が困りますが。


企業が安全のために経費を使う事を誉めている人もいましたがこれは前述した通り法律や条例に従っているだけなので的外れではあります。


否定的な意見としては人数が多過ぎると言うものがありました、どのような現場を見ての意見なのかは分かりませんが海外には無いのでそもそも誘導員がいる時点でそう思う可能性はあります、又流石に全員が一斉に休憩できる仕事では無いので交代の休憩要員も揃っている状態での意見かもしれません。


又何も生み出さない労働で人材を無駄にしているという意見もありました、まあ確かに何も生み出してはいませんがそれを言うなら企業の中にも総務や人事といった何も生み出さない部署はあります、要は必要な仕事か不必要な仕事かという事です。


そんな中に一般市民を馬鹿にしているから嫌いだ、案内や指示されなくても道路の渡り方はわかると言う意見や暇している人が多いと言う意見も多かったです、これらは多分『交通誘導警備』という名前だけで実態や業務内容を知らずに判断しているのではないかと思います。


ではなぜ筆者はこう言う評価を本質がわかっていないと思ったのか、それは日本独自の仕事なのに仕事にしかスポットを当てずに評価しているからです。


要は日本独自の物なら日本の国民性に由来する仕事では無いかと言う視点が欠けていると思ったからです。


ではこれに関連する国民性とはどんなものか?これについて1971年当時よく売れていたイザヤ・ベンダサンの書いた『日本人とユダヤ人』の中に『日本人は水と安全はタダだと思っている』という記述があります。


つまり日本人にとって安全は自分で確保するものではなく地域や社会が担保すると思っているという事です、筆者は割と本質をついていると思っています。


今では世界中に普及し始めている警察の交番制度などがいい例です、他にも街灯が多いのも暗い場所を減らして犯罪を抑制する意味があります。


筆者はこの日本人の安全意識こそが交通誘導員を生み出したと思っています、なのでこの視点も合わせなければ本当に正しく評価出来ないと思っています。


では交通誘導員は自治体や企業が地域住民の安全のためにだけに設置しているのでしょうか?筆者はそれだけでは無いと思っています。


日本には最近ラノベでよくある異世界に負けず劣らず数多くのモンスターが徘徊しています、例を挙げるならモンスターペアレンツ、モンスタークレーマー、モンスターカスタマーなどです。


これらの共通点はモンスターの名に恥じない理不尽さです、まさに常識の通じない人たちです。


こう言う人達が交通誘導員の居ない工事現場に遭遇したらどうなるでしょう?いくら立ち入り禁止や通行止めの看板を設置していても見なかった、見えなかったと言い張るでしょう、そしてそれが原因で汚れたり怪我したりすれば法外な賠償と謝罪を求めてくると思います。


残念な事に日本の法律ではこういう理不尽でも声の大きな人が勝つような事例が多いのです。


つまりこの理不尽な訴えに対する防御策としても交通誘導員は存在すると考えています、要は看板だけでなく人を配置して声掛けまでしてなを無視するなら何があっても自己責任だと主張するためです。


ここまですれば流石に裁判所も作業員や企業が悪いとは言いません。


日本人にはこの安全はタダという意識が今だに多いというのは筆者も感じています。


例えば街頭の少ない裏道や脇道でも何も考えずに通ります、道路の片方の端で工事していてもう片方に歩道が整備されていても工事の側を通ります、広い歩道があっても車道を歩きます、タクシーが目の前に止まったらドアが開くのがわかるはずなのに開くドアの方に自転車で突っ込んで起こる事故が多いです、未だに長距離逆走する自転車が多いです。


日本人の安全意識がどれほど低いかよく分かります、これらは外国なら事故が有っても自己責任でしょう、でも日本ではそうならないケースの方が多いからこそなくならないのです。


日本の独自文化にはいつまでも守って欲しいものが沢山あるのは事実ですが、こう言った面は国際社会を見習って改善していってほしいと切に願います。




結論:交通誘導警備は日本のいい面と悪い面を同時に表している仕事・・・・・・・かもしれない。


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