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たらこのホラー小説作品集

エゴサしてみた結果wwwwwwwwwwwww

掲載日:2022/08/24

 俺は小説を書いている。

 それなりに注目されるようになった……はず。


 だから、思い切ってエゴサーチをしてみたのだ。


 自分の名前で検索をかけると、真っ先に上がって来たのは小説投稿サイトとSNSのアカウント。


 それ以外は全く関係のない類似ワードが書かれたページ。

 ヒットしたのは、俺自身に関係するサイトのみ。


 俺のことなど誰も話題にしていなかった。


「はぁ……」


 思わずため息をついてしまう。


 応援の言葉だけでなく、悪口ですら見つからないとは。

 あまりの影響力のなさに嫌気がさした。


 誰からも注目されていないという事実は、正直こたえる。

 少しでも多くの人に自作品を読んでもらいたい。

 たとえ悪口であっても感想が欲しい。


 人気作品には沢山の感想が寄せられている。

 多くの人から応援の言葉をもらえたら、作者さんはさぞ嬉しいだろうなぁと。

 羨ましく思ったものだ。


 自分自身が小説を書いて投稿する身になって、初めて注目を集める大変さを知った。


 わずかながらに増減するPVに一喜一憂する日々は、徐々に俺の精神を削り始める。

 そして……エゴサーチしても全く反応がなかった事実を突きつけられ、俺の心は折れかかっていた。


 なにかの間違いかもしれないと、エゴサーチの仕方について調べ始める。

 自分でやっていてなんだが、かなり末期な状況かと思った。


 ろくな情報がヒットしないし、いい加減に諦めるかと思った矢先。

 あるサイトが目についた。


『他人の悪口をネットの海へ』


 不気味なデザインのサイトだった。


 おどろおどろしいフォント。

 刑務所をモチーフにした背景。

 サイトの中央には悪魔をモチーフにしたキャラクター。


 キャラクターをクリックすると、こんなセリフが吹き出しで表示される。


『ようこそ、悪夢の世界へ』


 キャラクターはにっこりとほほ笑みながら言う。

 セリフの下にはリンクが貼ってあり、詳細が書かれたページへ飛ぶことができた。


 どうやら有料で悪口を広めてもらうサービスを提供しているらしい。

 そのサイトの説明文を読みながら、あることを思いつく。


 俺の作品の悪口を広めてもらうことで、知名度を上げるのだ。


 悪名は無名に勝ると言うように、まったく知名度がない人よりも、悪口を言われる人の方がはるかに存在感はある。

 信者を装うのとは違って工作を疑われにくい。


 そのサイトを眺めているうちに、次第に興味を惹かれている自分がいた。

 意図的に悪口を広めてもらうことで、どのような変化が起きるのか。

 試してみたくなった。


 一番安いプランは1万円から。

 俺はSNSのアカウントにDMを送って、正式に仕事を依頼することにした。


 すぐに返事が返って来た。

 丁寧な文面で好感が持てる。


 俺は自分が小説を書いていること。

 アンチとなって、悪口を言って欲しいこと。

 できるだけ人から注目を集めたいことを伝える。


 悪口は作品の内容についてのみに限定し、社会的な評価は落としたくない。

 ここをしっかりと伝えておかないと大変なことになるので、繰り返し強調しておく。


 担当者はいくつかテンプレートを作成して、送ってくれた。


 よく書けている。

 しかも、俺の作品を隅々まで読み込んでくれていると分かる内容。

 仕事の速さとクオリティの高さに舌を巻いた。


 俺はすぐにゴーサインを出した。

 あと、作品を丁寧に読み込んでくれたお礼も伝える。


 担当者は『これも仕事ですから』とそっけない返事。



 ☆   ☆



 その数日後だ。

 早速、手ごたえがあった。


 俺の作品に感想がいくつか寄せられたのだ。


『応援しているので頑張って下さい。

 アンチなんかに負けないで』


『SNSでアンチが作品をさらしていたので、

 興味本位で覗きに来ました。

 思っていたよりも面白かったです』


『修正すれば悪くないと思いました。

 俺は結構好き。頑張れ』


 感想を読んで胸が高鳴るのを感じた。

 俺の作品が沢山の人に読まれている。


 きっかけはサイトの工作だが、この感想は間違いなく俺の実力がつかんだものだ。

 がぜんやる気が湧いて来た。


 それから毎日のように更新を続け、少しずつではあるがPVも評価ポイントも増えていった。


 当初は順調だったものの、契約期間が切れたことで数字の伸びは次第に鈍化。

 感想も寄せられなくなってしまった。


 やはり、少し悪口を書いてもらったところで、得られる効果はこのくらいか。

 多少気を落としたものの、更新は続ける。


 しかし……どうしても忘れられない。

 初めて注目を浴びたあの日の衝撃と快楽が。


 俺は再び担当者にメール。

 今度はさらにその上のプランで行こうと思った。


 提示された料金は10万。

 値は張るが、見返りは大きい。


 掲示板に書かれた悪口をまとめサイトに転載して、リンクも貼ってもらえる。

 同時進行で情報の拡散も実施。

 匿名掲示板やSNSなどで大規模な工作をするという。


 かなりの額ではあるが、ためらいはなかった。

 担当者は二割引きで引き受けると言ってくれたので、すぐさま料金を振り込む。


 それから数日。

 あまりに大きな反響があった。


 PVは10倍以上に跳ね上がり、評価ポイントもうなぎのぼり。

 どうやら複数のまとめブログで取り扱ってもらえたようで、ちょっとした炎上祭りになった。


 感想欄にも悪ふざけで書き込まれた悪口がいくつかあったが全く気にならない。

 この調子でもっと燃えろ。


 俺は久しぶりにSNSでつぶやきを投稿。

 たとえ誹謗中傷されても取り乱したりせず、今いる読者の皆様と誠心誠意向き合い、更新を続ける。

 そう呟いただけなのだが、あっという間に拡散されてバズりまくった。


 今までに体験したことがないような快感を覚える。

 これが……人から注目されるということなのか!


 担当者からメールが届く。

 今度は50万円のプランを提示してきた。


 大手のインフルエンサーにこの件に関して言及してもらえるらしい。

 俺はもう、自分を抑えられなかった。



  ☆  ☆



 一躍、時の人となった俺は夢だった書籍化を成し遂げ、プロ作家の仲間入りを果たした。


 自分の作品をそこそこ面白いと思っているが、大ヒットしてベストセラーになるかというと……微妙。

 正直、そこまでの自信はない。


『メッセージを受信しました』


 担当から連絡が来た。

 編集者ではなく、例のサイトの運営の担当だ。


 俺が書籍化したことを聞きつけ、さっそく次のプランを提示してきた。

 そのお値段……なんと1000万円。


 とんでもないプランを提示してきたなぁと驚いたが、詳細を読み込んでいくと納得がいった。

 一定の期間、俺が指示を出した通りに、SNSやレビューサイトでの書き込みを行ってくれるという。もちろん匿名掲示板やまとめサイトへの転載もこれまで通り実施する。

 動画サイトでも有名投稿者が俺の作品を取り上げてくれるそうで、宣伝効果は大いに見込める。


『××さまは当サービスの利用の仕方が非常にお上手です。

 このプランを強くおすすめいたします』


 そう迫る担当者に、俺はしばらく考えさせてほしいと返信。

 するとすぐさま次のメールが届く。


『まずは無料トライアルを試してみませんか?

 三日間の間、サービスを無料で提供いたします』


 無料と聞いて、さすがに無視できなかった。

 俺は二つ返事でその提案を受ける。


 しかし……思うままにツイートや書き込みをすると言われても、いまいちピント来ない。

 指示書を作成し、とりあえずその通りに動いてもらうことにした。


 ・ SNSで俺の書籍に言及してもらう。内容は自由。

 ・ 書籍に関するリプライにはいいねとリツイート。


 ・ レビューサイトではレビュー付きで☆3~4の評価を行う。

 ・ 悪口はできるだけマイルドに。

 ・ 作品の内容にしっかりと言及すること。


 ・ 匿名掲示板でも今まで通りに。

 ・ 転載先のブログでもコメントでの工作を行うこと。


 だいたいこんな感じだろうか?

 思いつくままに書き綴ったが、正直ちょっと不安だ。


 まぁ、無料だからな。

 大した期待はしないでおこう。


 俺はその日はそのまま床に就き、ネットを確認せずに出社。

 帰宅してからPCを開いてSNSをチェックする。



 すると……予想だにしない状況になっていた。



 SNSでは俺の宣伝ツイートに大量のいいねが付いていた。

 おまけにリツイートで拡散されまくっている。


 いったい何が起こっているのだろうか?


 俺は適当に呟きを投稿してみると、すぐさま大量のいいねが付く。

 仕事疲れたーとか、そんな程度の呟きにも関わらずだ。


 予想外の状況に戸惑いつつも、自分の作品を掲載しているサイトをチェック。

 こちらも大量の感想とレビューが寄せられていた。


 今までとは桁違いの感想にめまいがする。

 確か、小説投稿サイトの工作までは依頼していなかったはずだが……。


 担当者からメールが届いていたのでチェックする。


『指示された通り、SNSなどで情報を拡散しました。

 作品を投稿されているサイトには何もしておりませんが、

 もしかしたら影響があるかもしれません。

 ご了承ください』


 どうやらこれは副次的な効果らしい。

 SNSなどで俺の作品に関する書き込みを見た人たちが、感想を書きに来てくれたのだろう。


 応援の言葉が沢山あった。

 面白いと言ってくれる人が大勢いた。


 誹謗中傷も寄せられていた。

 今となってはもうあまり気にならない。


 自分の作品がこんなにも注目を集めている事実に、俺はただ感動していた。


 それからしばらく、対応に追われた。

 SNSやレビューサイトに寄せられた俺に対する誹謗中傷――といっても工作によるものがほとんど――を見た人たちが心配してDMやメッセージを送って来てくれたのだ。

 かなり時間はかかったが、その一つ一つに丁寧に返事をする。


 気づいたら深夜になっていたが、まったく眠れる気がしない。

 興奮するあまり目がさえている。


 脳内でアドレナリンが分泌されているのが分かる。

 俺はいま、熱狂の真っただ中にいるのだ。


 例のサイトの担当にメールを送信する。

 感謝の気持ちを伝えると『これも仕事ですから』との返事。

 向こうにとっては業務の一環でしかない。


 この感動をこのまま終わらせたくない。

 夢がさめてしまうには、あまりに早すぎる。


 俺は正式にサービスを申し込むことにした。

 担当者にメールを送るとすぐに返事が返って来た。


『ありがとうございます。良い夢を』


 最後のメールには短くそう書かれていた。



   ☆ ☆



『本日のゲストは××先生です。

 今をときめく、新鋭の天才作家。

 時代の先を見抜く鋭い視線は、

 日本の未来をどう見据えるのか。

 よろしくお願いします』

『よろしくお願いします』


 モニタの中の俺が挨拶をする。

 自分が出演した番組を動画サイトで視聴しているのだ。


 書籍が売れに売れた俺は、国内でも指折りのベストセラー作家となった。

 有名な文学賞を受賞し、テレビ出演を果たすまでになり、誰もがうらやむ成功者となった。


 だが……その実態は……。


 俺は自分の部屋をぐるっと見渡す。

 何もない。

 本当に何もない。


 置いてあるのはスノコの上に敷いたマットレスと上掛け。

 そして段ボールの上に置かれたPC。

 家具は何一つ置いてない。


 鏡を覗き込むと、くたびれ果てた男の顔。


 俺は収入のほとんどをウェブ工作の費用に充てている。

 ここ数日、まともなものを食べておらず、パスタを茹でて醤油をかけるだけの簡素な食事で済ますことがほとんど。

 足りない栄養はサプリメントで摂取している。


 味気ない無味乾燥な毎日。

 PCでひたすら文章を打ちながら、時間を見つけて担当編集とやり取りをする。

 まともに人と話す機会はほとんどない。


 しかし、作品の更新はさぼれないし、SNSへの投稿も続けなければならない。

 プライベートな空間には晒すようなものが何もないので、近所を散歩しながら花や動物などの写真を撮っている。

 こうでもしないとネタが見つからないのだ。


 担当からメールが届いた。

 すでに次の工作費用を支払っているので、打ち合わせのメールかと思ったが……違う。


『日ごろからのご哀願に感謝を込めて――』


 いったいなんだと思っていたら、大したことのない内容だった。

 どうやらヘビーユーザーである俺にお礼したいらしい。


 なんでもサービスを利用するとポイントがたまって、一定数に達した利用者にはプレゼントをする決まりがあるとか。

 ポイントの存在とか初めて知ったぞ。


『ありがとうございます。

 これからもよろしくお願いします』


 面倒だったので適当に返信しておく。

 メールの内容も大して確認しなかったが……問題はないだろう。


 疲れがたまっていたので、その日は眠ることにした。

 早く次の作品を仕上げないと。


 ハードなスケジュールが続くが仕方あるまい。

 売れっ子作家は大変なのだ。



    ☆☆



 夢とはいつか必ず醒めるものだ。

 楽しい夢も、幸せな夢も、いつかは終わる。


 それが悪夢であっても同じこと。




 今日も俺は一人PCと向き合い、小説を執筆している。


 執筆とSNSとブログの更新と。

 常に何か書き続けている単調な毎日。

 部屋から出ることは滅多にない。


 そんな俺にも楽しみが一つ。



 カタカタカタ……



 俺は検索フォームに自分のユーザーネームを打ちこむ。


 大勢の人が俺のことを話題にしてくれているはずだ。

 エゴサーチすれば沢山の反応を見ることができる。


 誰からも関心を寄せられずに、無名なまま消えていくのは嫌だ。

 だからどんな手段だって厭わない。


 俺はいつでも熱狂の中心にいたい。



 ……タンッ。



 エゴサしてしてみた結果――








『検索結果はありません』







 ……は?


 何かの間違いか?

 いや……そんなはずはない。


 カタカタカタ――タンっ!

 カタカタカタ――タンっ!

 タンっ! タンッ! タンッ!


 どの検索フォームを使おうが、ブラウザを変えようが、まったく反応がない。

 俺のペンネームは全く検出されなかった。


 いったいどうして……なんで⁉


 パニック状態に陥っている所へ、担当からメールが届いた。


『日ごろの感謝を込めて、

 最高の悪口を送らせていただきます』


 なんだと?

 どういうことだ?


『当社が考え抜いた最高の悪口。

 それは――』


 理解が追い付かない。

 こいつは一体何をしたんだ⁉






『――無視でした』






 その言葉を目にした瞬間。

 思考が停止した。


『おそらく、これ以上の悪口はないかと存じます。

 気に入っていただけたのなら幸いです。

 もちろん、お礼などは不要ですよ。

 これも仕事ですから』


 ふっ……ふざけるな!

 お前、何をバカな……。


 慌ててメールを送るが反応がない。

 何度、送信しても徹底的に『無視』を決め込む。


 たとえどんな罵声を浴びせられようと、俺は平気だ。

 何故なら関心を向けられていることに違いないから。


 だけど……無視は……無視だけはやめてくれ!


「うわあああああああああああああああああああ!」


 何もない部屋。

 ただ悲鳴が響き渡る。


 俺は頭をかきむしりながら、額を床につけてひたすら叫ぶ。

 もう何も考えられなくなっていた。

 


     ★



 投稿サイトのアカウントも、SNSのアカウントも健在。

 動画サイトには俺の出演した番組の転載動画も残っている。


 しかし、検索結果だけが「ありません」と表示される。


 そのせいなのか、誰も俺のことを話題にしなくなった。

 ツイートにはいいね一つつかない。

 作品には感想が一つも寄せられなくなった。


 誰も俺を見ようとしない。

 関心を示さない。


 抜け殻になった俺は呆然と自分のアカウントを眺める。

 そこには今まで書いた作品だけが残されていた。

 誰も読まなくなった作品が――


 ――うん?




『感想が書かれました』




 赤文字でその文章が表示された。

 いったい誰かと思ったら、知らないユーザーからの書き込みだった。




『面白かったです! 続き待ってます!』




 その一文を読んだ瞬間、涙が込み上げてきた。


 策略も隠された思惑もない。

 純粋な気持ちが伝わってくる。


 俺はずっと自分自身を見失っていた。


 あのサービスを利用してから、いつしか他人の言葉に温度を感じなくなっていた。

 冷たくも、暖かくもない言葉を真に受けて、その数に一喜一憂する日々。他人の関心を引くためだけに小説を書き、取り付かれたようにエゴサして自分へ向けられた言葉を眺めていた。

 いったいあの行為になんの意味があったというのだ。


 俺はずっと悪い夢を見ていたのかもしれない。


 小説を書き始めたのは、自分が好きな物語を形にしたいからだ。金や名声のために書いたわけじゃない。

 これからは俺の作品を大切にしてくれる人たちのために小説を書こう。

 他のことなんて考えるだけ無駄だ。


 一つ、一つ、丁寧に。

 自分の作品を仕上げて感想を集めるのだ。

 嘘や偽りの言葉ではない、本当の言葉を。


 どこの誰のものかも分からない素直な言葉によって、自分自身を取り戻すことができた。

 俺の心は救われ――








『メッセージを受信しました』








 誰かからメールが送られてきた。

 差出人は……あのサイトの担当者⁉


 メールを開くと、こんなことが書かれていた。



『サイトをリニューアルしました。ぜひご覧ください』



 その言葉の下に、例のサイトのURLだけが貼られている。

 俺は震える手でマウスを動かしてクリックする。


 すると――



『あなたを応援するメッセージをウェブに広げよう!』



 ポップなフォントで書かれた文章。

 遊具広場のような明るいデザイン。

 ファンシーなクマのキャラクター。


 震える手でキャラクターをクリックする。



『ようこそ、夢の世界へ』



 そのサイトは依頼人を応援する言葉をウェブに広めてくれると言う。



『こんにちは、○○さん』



 クマのキャラクターが俺の実名を呼ぶ。

 どうして俺の名前を――



『名前ですか? SNSに投稿された写真から住所を特定したのですよ』



 聞いてもいないのに、クマがしゃべる。


 待ってくれ……待て。

 お前はいったい――


『あなたには大変お世話になりました。

 感謝の気持ちでいっぱいです。

 つきましては、○○さまを応援する言葉を、

 世界中に広めたいと思います』



 ヴヴっ……。



 スマホが震える。


『以前にお支払いしていた料金にポイントを合算した上で、

 99%オフのキャンペーン割引をさせていただき、

 当分の間は追加料金なしで対応します』




 ヴヴっ、ヴヴっ、ヴヴっ……。



 

 SNSのアプリがメッセージの受信を通知している。

 次から次へと鳴りやまない。


 いったい……誰が……どんな言葉を――


『これから○○様を応援する言葉を投稿します。

 毎日休まず、24時間、365日。

 無数に、無限に、無制限に。

 もちろん、お礼などは不要ですよ』






 ヴヴっ……ヴヴヴっ……ヴううううううううううううう!






 狂ったように震えるスマホ。 

 怖くて触れることすらできない。


 鳴りやまない通知に怯えながら、PCの画面を眺める。

 ニコニコと笑うクマが俺を見て言う。



『これも仕事ですから』



 悪夢はまだ終わっていなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 感想や人の評価を得るためにではなく自分がやりたいから小説を書くことが大事なんだと気づかされました。 最後主人公を畳みかけるような展開で面白かったです。
[良い点] 面白いストーリーでした! (*^^*)
[一言] Σ(*´Д`*)これは…ヤンデレ?! 囲い込んでる。仕事ですからといいながらのこの囲い込み。 主人公の頭の中を自分でいっぱいにしてますね。 投稿したての頃に一度読んでいたのですが、ちょうど…
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