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ー1-1ー

「美蘭乃ー。ここ教えて〜」

「んー?えっと、これはね……」


どこにでもいる平凡な女子高校生である私、平見莉奏は今次の授業の予習である数学のプリントを必死で終わらせていた。

……はずだったんだけど、平凡な私に応用数学なんて理解不能。だから完璧すぎる私の友人、古賀美蘭乃に勉強を教えて貰っているところだ。


ハーフアップにしている栗梅色の美蘭乃の髪がふわふわと揺れている。テニス部にしては白い肌とすらっとした手足、大きなアーモンド型の栗色の目、影を落とすくらい長いまつ毛。


美蘭乃は、皆に羨ましいがられる容姿を持っている。それだけじゃなく、頭も良くて運動神経バツグン。完璧な女子。故にこの学校で1番男子に人気がある。どれくらいかと言うと、10人に好きな子を聞いたらその内の9.8人が美蘭乃と答えるくらい。

ただ、美蘭乃は美少女という訳では無い。いや、美少女という言葉は何となく似合わないと私は勝手に思ってる。どちらかと言うと、可愛いの方がしっくりくるのだ。私的に。


神様は意地悪だ。どうしてこう一人の人間に沢山のものを与えたのだろうか。皆平等に少しづつ分けてくれれば皆幸せになれるのに……と美蘭乃を見る度に幾度も思った。

かと言って美蘭乃が嫌いな訳では無い。寧ろ好きだ。友達だからというのもあるが、なにより美蘭乃はその可愛い容姿を鼻にかけない、とってもいい子……だから。友人として、嫌いになる理由がは幾ら探してもきっと見つからないと自信を持って言える。


「莉奏、美蘭乃。今日の放課後、空いてる?」


話しかけてきたのは、折原愛華。私達の友達。

愛華は中々の美人さんだ。そう、美蘭乃と違って「美人」の方である。ショートストレートの赤茶の髪がその顔と、すらっとした体型によく似合っていた。

私達は3人でいっつもつるんでいる仲良し組。

どうしてまあこんなにもよく出来た友達が多いのだろう。平々凡々な自分が情けないよ。


「んーとね。今日は、テニス部無いし……大丈夫」


美蘭乃はにこやかに答える。

私は、どうだっけ?

必死に頭の中で今日のスケジュールを思い描く。


「えっと……。私は確か、水泳部が……。いや、休みかも。……うん、休みだ」


脳内スケジュールに自信がなかったので手帳を取り出すと、今日の日付の所に赤い文字で休みとでかでかと書いてあった。

どんだけ休みたかったのよ、私。

我ながら恥ずかしい。

と2人に見られないようにそっとスケジュール帳を閉じた。


「も〜。ちゃんと今日のスケジュールくらい把握しておかないと!」


美蘭乃は、頬を膨らませて説教する。

けど顔が可愛いから全然怖くない。寧ろ愛くるしいまである。

こんなこと言ったら機嫌損ねるから死んでも言わないけど。


「ごめんごめん。だってさ、顧問が……」

「で、愛華。今日の放課後何するの?」


美蘭乃は私の言い訳を華麗にスルーして話を進め始める。


私を無視しないでください。


「あのね、月に1回海辺の近くに美味しいケーキ屋が来るの知ってる?」


私と美蘭乃は知らない。と、首を横に振る。


「初耳だよ。そこがどうかしたの?」

「莉奏。落ち着いて。ケーキが食べたいのは分かるけど……」


美蘭乃に苦笑いされた。


普通の口調で聞いたつもりだったけど、もしかして早口だったりした?


「呆れるくらい顔に出やすいよね。莉奏は。…それでね、その月1回の日が今日なの。だから一緒に行かないかなって」

「行く行く!めっちゃ行きたい!」


美蘭乃は目を輝かせる。


私も、行きたい。部活なくてラッキー!


月に1回しかこないケーキ屋さんなんて絶対美味しいに決まってるもんね。


「あー。それでね、あいつも誘おうかなって思ってるんだけど、いい?」


愛華が指さす先には騒がしい教室の中で1人静かに本を読んでいる男子……佐々倉翔和が居た。こいつの周りだけ沈黙が流れている。


佐々倉とはよく話す訳では無いけど、全然話さないわけでも無い。


愛華は佐々倉と幼なじみだ。この2人も超仲良しってわけじゃないけど、愛華が一方的に人と関わりを持たない佐々倉を心配して色々世話を焼いてるって感じ。その世話焼きのお陰で私達3人組と佐々倉で行動することがよくあった。


愛華はこんな感じでいつも佐々倉が同行することに関して私達に許可を取ってくる。私達に気を使ってくれてるんだろうけど、別に佐々倉1人増えた所で変わることなんて無いし何ならもう4人組のようなもんだから許可なんていらないのになー。


「別に、どっちでもいいよ。私には莉奏がいれば十分!」

「…わっ!」


美蘭乃が抱きついてきた。というか飛びついてきた。

いつものことだから抱きつかれるのは慣れてるけど、タイミングが分かんないから毎度変な声で驚いてしまうのだ。


「美蘭乃がそう言うのは分かってた。で、莉奏は?」

「私も別にいいよ。佐々倉ってチョコレート好きって前言ってたし、喜ぶんじゃない?」

「ありがとう。じゃあ、今日の5時半に海岸に集合ね」

この小説を開いてくださってありがとうございます。いよいよ物語がスタートしました。ここからの展開……と言ってもまだ平和な日常が続いていますが……を楽しみにしていてください。

なるべく1週間事に連載を続けたいと思っておりますので、気長に待って下されば幸いです。

次回もよろしくお願い致します。

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