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貸し屋男と滞納女

作者: 星宮星雅

男の話をするとしよう

男は物を貸して生計を立てていた。

世情に聡く、計算高く

金儲けは大得意

男としては半人前だが

彼は確かに商人だった


女の話をするとしよう

清く正しく美しく!

そうあれかしと願われて

日も当たらぬ硝子の庭で一人咲く

しかし咲いた女の脆いこと

鍍金の花弁は甘く深く

小さな灯に溶かされた


 「お待たせー…まった?」

「…待ってないよと言うのがロマンスの定番だろうが、そう言うには待たせすぎたな」

「ごめんごめん」

「まぁ君の適当さは今に始まった事じゃないか」

side 俺

上の会話を読んで分かる通り、今日は彼女とデートの日だ。

彼女は何というか適当な人間で、遅刻や忘れ物は当たり前の様に繰り返す…これで悪気が無いのだから大したモノだ…分かってると思うが皮肉だぞ?

何せ『その内何とかなるだろう』と言う言葉が座右の銘になる位適当である。

彼女が普段どれだけ適当かが分かるだろう…え?何でそんな奴と付き合ってるのかって?それはやく一月程前の事だ。


当時…というか今もそうなんだが、俺はクラスで賭けの胴元をしていた。

金は使わなかったし極力大人に見つからない様に隠れてやっていたのだが、クラスでは賭博ゲームが大流行していたのだ。

そこで俺は有り金をはたいて金の変わりに賭けられていた食玩のカードを集めてそれを元手にくじ屋を始め儲けていた。

彼女に会ったのは儲かり始めた頃で、彼女が借金ならぬ借カードしたいと言い出して来たのがきっかけだ。

俺は雷に打たれた様な衝撃だった。

借カード…実に儲かりそうな話じゃないか、何故もっと早く気づかなかったのか…と

俺は早速申し出を受け、彼女に契約書を書かせてカードを貸し付けた…までは良かった

だが、彼女には返済能力が無かったのだ。

仕方無しに借カードの代わりになる物を要求したら…この女あろう事か自分を担保にするといい出しやがった。

こうして俺は借カードの肩に彼女を手に入れたのである…正直な所罰ゲームにしか思えなかった。


話は現代へと戻り、彼女と何回目かのデートに望む。

適当な女だがオシャレだけは別な様でかなり気合いが入った化粧をしていて、元々の素材が良いのも相まって見てくれだけはかなり良い…正直なところ偶にドキッとする。

だが彼女と付き合うのはあくまで貸し付けた分を回収する為だ!第1借カードの肩に付き合う何てビッチは気に入らん!


Side 私

今日は愛しの彼とデート!

厳しいこと言うけど私のミス許してくれる彼優しい…好き…

ごめんねぇデートの度に前日ドキドキして眠れなくて遅刻しちゃうのぉ…って素直に言えたら、謝罪を軽くあしらわれることも無いかもしれないのに…でも軽くあしらうクールな所も良い…っといけないいけない思わず顔が緩んじゃうところだった。

生で見る私の彼かっこいいよぉ、写真で見るときもすっごくかっこいいけど生が1番だよぉ。

わざわざ彼と付き合うために借金紛いの行為に手を染めたけど何の後悔も無い、寧ろもっと利子付けてぇ〜私から搾り取ってぇ〜。

あーもう駄目、彼と居ると緊張とか尊みとかトキメキで頭おかしくなる…でも幸せぇ〜。

でもこのままじゃダメだよね…私は借カードの肩に付き合うって言って無理くり付き合っただけでちゃんとした彼女じゃないし…


side 両者

今日こそ貸し付けを回収して…

今日こそちゃんと告白して…


「「この関係を終わらせる!」」

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