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水路建設の難関作業

 朝食を食べたあと、エビネたちに畑での作業の指示をし、水路建設に行かない者たちにも森の手入れを指示する。この土地に馴染んでしまった植物たちは、この土地の不思議な力も相まってもの凄い早さで成長してしまうからだ。畑の作物は頃合いを見て収穫してもらい、森も間伐をして貰わないと思う通りに育って行かないからだ。ナーの花とクローバーは何も手入れをせずともどんどんと生息域を広げていってるが、これは無害なので放置だ。昨日辺りからイネ科と思われる雑草たちも、クローバーに負けじと生息域の拡大をはかっている。


 今日は持って行く荷物が多いのでお父様とじいやにお願いをし荷車に載せてもらう。一番大事なセーメント、そしてリトールの町で貰ってきた雑巾にするしかないほど汚れたシーツを数枚、……何をどうしたらこんなに汚れるのかしら?……それと、同じく貰った雑巾を数枚。その他細々とした道具を積む。さらに葉が付いたままの木の枝を何本か切ってもらい、私たちはカゴを被ってまずは石切り場を目指す。

 自然の物で作られたカゴは全部が同じ大きさではなかったので、自分の頭にフィットするカゴを探すところから始まった。端から見たらカゴを被った屈強な男たちはさぞ滑稽だろうけど、私たちはお母様たちからの気持ちの籠もったカゴを笑うことなく被った。


 今日は石切り場の辺りにまでクローバーが増えていた。殺風景だった場所に緑があるだけで落ち着く。

 今日もスイレンが予定などを話しているが、私は大事なことにふと気付く。『川』も『用水路』も知ってはいるけど、取水口についてはまるで知識がないのだ。身近にありすぎて、当たり前すぎる用水路に疑問を持たずにいたせいで一番大事な部分が分からず困惑してしまう。

 昨日の続きを始めようとした時に一度ストップをかけ、スイレンを呼び出し急きょ作戦会議を開く。


「みんなごめんなさい!少しだけ待って!……あのねスイレン」


 みんなから少し離れた場所に移動した私はみんなに大きな声で待ってもらうように言い、スイレンに取水口について悩んでいることを話した。


「うーん……最終的に石管に水が流れば良いんだよね?最初の石管の手前に『凵』の形をした誘導口を作ってくっつけるのはどう?」


 私たちは地面に文字や絵を書きながら話す。要するにU字溝や側溝と呼ばれる物を作ったらどうかとスイレンは言うのだ。


「あ……良いかも。あと石管の手前を砂とかを沈殿させる為に深くするのはどう?……ねぇ!誰か石を彫れる人はいる?」


 そう声をかけると何人かが手を上げて応えてくれた。私とスイレンは今話していたことを伝え、石で側溝を作ってくれるように頼んだ。本来ならある程度の長さのU字溝を連結させるのだろうけど、川の近くにも岩場はあるのでそこで一本の側溝を作ってもらうことに決まった。さらに沈殿の為に一段低い場所を作ってもらうべく、小さなバスタブくらいの物を石をくり抜いて作ってもらうことにした。

 そしてようやく作業を開始すべく、昨日作業をした場所に向かう。向かう途中、何ヶ所かは掘った溝に砂が落ち込んでいたが、そこまで酷くはなかったのでそのままにして私たちは進む。


 昨日作業をしていた場所に到着し続きを始めてもらい、石を彫る人たちには道具を渡して作業をお願いする。

 お父様たちが掘っている姿を見ていたら、何となく砂が土っぽくなっているように感じる。注意深く見ているとやはり「あれ?」と思い、お父様が掘り出した場所に降りた。


「やっぱり……これ乾いているけど粘土よ。これでレンガを作れるわ!」


「本当かカレン!?」


 掘っていたお父様も驚いている。でもすぐに作業に取りかかれる訳ではないないし、粘土層があるのも分かったので水路建設を先に進めることにする。

 全員が休み休み交代しながら無理なく作業をし、私とスイレンも掘り出された砂を寄せたりするのを手伝う。スイレンは初めて外に出た頃と比べてすごく体力がついたと思う。そんなことを思いながら私が出来る作業をしていると後ろから声をかけられた。


「今からでもお手伝い出来ることはありますか?」


 え?と思い振り返るとそこにはタデがいた。


「タデ!寝ていなくて大丈夫なの!?」


「はい、問題ありません。無理もしませんし、やれることをやりますよ」


 フッとニヒルに笑うタデは石を掘っている人たちに混ざる。タデを見た人はみんな心配しているが、やはり一緒に作業を出来ることを喜んでいるようで一気に場が明るくなる。

 人目につく物ではないので少々手荒く作業をしているが、やはりタデの作業スピードは誰よりも早い。みんなが感心してる中、お父様が大きな声でタデに話しかける。


「おーいタデ!疲れて倒れたらおんぶしてやるからな!」


「……うるさいっ……!」


 周りの人たちの大笑いの反応からも、二人は仲良しなんだと再確認させられた。私もいつか友だちが出来るかしら?

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