第7話 デートのお誘い
◎保健室にて
「救護係に任命された者は責任を持って活動すること。怪我人が出た際は率先して行動するように。以上!」
救護係長である3年の田中の声が部屋中に響き渡る。あの後僕と柊さんは結局『救護係』に任命された。
救護係はそもそも仕事が少ない。怪我人が出ない限りは準備以外特に仕事が無いからだ。体力がない天草には適任と言えるだろう。
「…ねえ優木くん……ペン貸して…ほしい、です。」
「いいよ。筆箱忘れたの?」
「教室に置きっぱなしでした…。」
それに柊さんとの距離が近い。委員会活動という名目で喋る機会も増えた。
「あ、それと体育祭のスローガン明後日までにペアの人と考えて提出よろしくな。」
田中はそう言うと保健室を後にした。1回目委員会活動も無事終了し、周りの面々も保健室から退出する。
保健室には天草と冬花の二人となった。
「…スローガン、どうする?」
「どうしましょう。全然パッと浮かばないです」
「…だよな。」
急にペアでスローガンを考えろなど投げやりなものだ。せめて3択くらいまで候補があれば話は早かったのに。
「あ、あの…都合が悪くなかったら明日、放課後一緒に考えね?」
「え、い…いいですよ。放課後暇ですし…、バイト無いですし…。」
冬花は少し驚いた表情をした。そう。この日の天草はいつもより積極的だった。いつもなら持ち前のチキンハートを発動させるのだが、今日は違った。
「じゃあ明日、校門で待ってるから。」
「は、はい…。」
「優木くんとデート……」
◎学校終わりの帰り道
あの時はノリで誘えたが、よくよく考えたら同級生の女子と放課後二人きり……って完全にデートじゃねえかぁぁぁぁぁ!!
時間差でチキンハートが発動した。
そういや俺デートとかした事ねえや。次回からデート回!!!