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プロローグ 彼女との出会い

「……お兄ちゃん!お兄ちゃん!」



誰かが階段を登ってくる音が聞こえる。とても騒がしい。まだ8時だろ?寝させてくれ。


「お兄ちゃんっ!!!」



「……バサッ」あ、今日から学校だ。


「いつまで寝てるんですか!?今日から学校ですよね!?8時ですよ!夏休みは終わりましたよ!バカなんですか!?」

「う……す、すまない!」

「夜遅くまで文章書いてるのがダメなんです!もっと時雨を見習ってください!」

「分かった分かった。ありがとう時雨。」

そう言いながら時雨の頭を撫でる。


「もう……い、急いでくださいっ!!」




初日から寝過ごしそうになった。時雨が起こしてくれなかったら確実に遅刻だったろう。そう思いつつ階段を降り、洗面台に向かう。鏡に映った自分の顔には酷いクマが出来ている。溜息を吐きつつ冷水で顔を洗い気合いを入れた。


「お兄ちゃんの分の朝ごはん机に置いておきました。さっさと食べてください。時雨は先に学校に行っておきます。」


時雨は本当によく出来た妹だ。若くして両親を亡くした僕達兄弟の家事は全般時雨がやってのけている。中学二年生にしては負担が大きすぎる役を難なくこなす時雨は本当に凄い。僕も家事スキルをあげて少しでも負担を減らしてやりたい。そう思いながら時雨の作った朝食を頬張り学校へ向かう準備を始めた。




「ガチャリ」家から出ると涼しい風が天草の頬を撫でる。夏の終わりを肌で感じながら急いで学校へ向かう。新学期から遅刻は洒落にならない。




「おーい!天草ぁぁ!逃げんなぁぁ!」

「逃げてねえよ!急いでんだよ!蓮太お前もスレスレかよ!」

「寝坊したんだよ畜生!」

「僕もだよ畜生!」


『松葉蓮太』は僕の数少ない友達だ。クラスも同じで部活も同じだ。まあ帰宅部だが。


加速した天草に張り付くかのように蓮太もまた加速する。




「ガラガラガラ」

教室に着くといつも通りの面子が揃って……。


「僕の席の横に椅子がある……。」


窓際一番後ろの天草の横は誰の席もない空席だったはず。いわゆる『ぼっち席』ポジション。僕は案外気に入っていたんだが。すると周りから『転校生』というワードがちらほら聞こえてきたので僕は何となく察した。


「転校生…か……。」

「可愛いといいなっ。なあ、天草。」

「くそ、この彼女持ちめ。」


蓮太には彼女がいる。色々とマウントを取ってくるあたりとてもかなり非常にウザイ。


「お前も一応有名ラノベ作家なんだから多少モテてんだろ。天草顔も悪くないし。」

「一応とはなんだ。あとラノベ作家とモテるは必ずしもイコールじゃない。顔も大して良くない。」

「そうやって自分を下げるからモテないんだぞぉ。もっとポジティブに。」

「うるせ」


本当にうるさい。蓮太うるさい。


「蓮くーん!」

「おー!秋音!」

秋音とは蓮太の彼女である。

「昨日も夜遅くまでLINEしてごめんねっ!嫌なら言ってね!」

「全然嫌じゃないよ。秋音とのLINE、楽しいから。」

「蓮くん……!」


あーあ。また始まった。蓮太と秋音のイチャラブタイム。完全に見せつけである。最後の「蓮くん……」の後には『キュン』という効果音がもはや見える。「昨日も」と言ってるので毎日夜遅くまでLINEしているのだろう。すると秋音が僕に話しかけてきた。


「天ちゃんも早く彼女作りなよっ!気になる人とかいないの?」

「余計なお世話だ。あと僕はそういうの興味ないから。」

「強がりだねぇー。そういうとこだよっ!まあまあ顔は良いんだから自信持ちなよ!まあ、根暗っぽいけど。」

「うるせ」



蓮太と秋音似すぎ。本当にうるさい。

秋音とは友達(蓮太)の彼女という事でそれなりに仲がいい。実際良い奴だし、顔も良い。運動もでき、コミュ力も高く友達も多い。俗に言う『ハイスペック陽キャ』だ。蓮太もよく秋音という怪物を手懐けれたものだ。





「ガラガラガラ」教室のドアが開く音がした。


「失礼します。」

肩に掛かるだろうかという位の頭髪は遠目から見てもサラサラだと感じさせる。とても黒く澄んだ眼をしている少女がそこには居た。


教室から音が消える。

「私の席はどこですか?」


僕は咄嗟に「ここだよ。」と伝えるべく指で横を指し指示を送った。すると彼女はこっちを見て目を丸くした。



「え……もしかして優木天草さんです…か……?」

「そ、そうだけど…どうして僕の名前を……?」



これが僕と彼女の最初の出会いである。




どうも池田ケイです。今回は両片思いの恋愛作品をテーマにしています!とにかく冬花を可愛く描こうと努力致しますので今後ともよろしくお願いいたします!クーデレ最高っ!

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