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90話 リッチ2


「子豚! あんたは防御担当でアタシは攻撃、二人一組で戦うわよ!」


「了解っす!」



 空に飛翔し、リッチと同じ目線に立ったエアリスは小向に指示を飛ばす。

 リッチの放つ殺気に怯えながらも小向は力強く相手を睨み返し、周囲に風の鎧を発生させる。

 そんな小向達をストリゴイが、人骨で出来たネックレスを弄びながらつまらなそうに見据えた。



『幼い風の大精霊とその使い手か、少しばかり興ざめだな。おい、レナード。今からでも相手を交換せんか?』


『さっきも言った通り私は魔導戦姫にちょっと話があってね。交渉が決裂したらその時は相手を頼もうかな?』


『……まぁ、いいだろう。ならばさっさと終わらせるか』


「へぇ、ずいぶんと舐められたものね」



 風の大精霊であるエアリス自身を脅威だと認識していないリッチ達の会話を聞き、エアリスは額に青筋を浮かべる。

 エアリスの怒りに呼応したのか、周囲の風が轟音と共に渦巻いていく。

 並みの魔導士なら震え上がるほどの魔力だが、リッチ達はまるで動じていない。

 それどころかレナードは憐れみを、ストリゴイは路傍の石でも見ているような視線をエアリスに向けていた。



『大精霊が魔法を反射できる儂に敵うと思っているのか?』



 聞き分けのない子供でも相手にするような声色で、ストリゴイは手元に半透明な魔法を発生させる。先ほどの《魔法反射》だ。

 大き目な盾サイズの《魔法反射》をこれ見よがしに見せびらかすストリゴイに対し、エアリスは無言で魔法を撃ちこむ。



『馬鹿め……』



 ストリゴイに意に従い、魔法を反射させようと盾サイズの《反射》が自動で動く。

 だが風の刃が突如軌道を変え、《反射》を回り込むようにストリゴイへと迫る。

 とっさに身を翻して躱そうとするストリゴイだが、蛇のように自在に軌道を変える真空の刃がストリゴイの頬を掠めた。



『……ほう、中々やるではないか。』



 先ほどとは打って変わってストリゴイは面白そうに嗤う。

 エアリスの事を取るに足らぬ雑魚から楽しめる獲物へと認識を変えたようだ。



『だがお前はずいぶんと魔力を失っているようだな。今の状態で儂と戦えるのか?』



 先ほど連合軍を守るために張った障壁のせいでエアリスと小向の魔力は尽き欠けている。そのことを完全に見抜いているストリゴイは、ネズミを嬲る猫のように嗜虐的な声を出す。頬につけられた傷の腹いせに嬲って殺すつもりなのだろう。

 しかしそんな脅しに負けず、エアリスは親指で喉を掻っ切るようなジェスチャーを返す。



「ハッ、アンタなんて今の状態でも楽勝よ! 行くわよ、子豚!!」


「了解っす! あといつも言ってるけど小向っすよ」



 大平原の上空で、エアリスと小向は勇ましくリッチへと飛び掛かった。



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