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72 二回戦くじ引き

 目が覚めた。

 昨夜はオオヒナの空間に長い時間いた様な気がする。

 僕を現実に帰す前にオオヒナが忠告してくれた。

 いまだ魔力はたりなく起きたら朝になっているだろうと。


 朝の光が部屋に入り込んでいる。


「なるほど……」


 これじゃ寝たか寝てないか微妙な感じだ。

 体の疲れは取れてると思うけどここの疲れまでは取れたか微妙だ。

 僕は頭を掻いて、ベッドへと手を置く。


 むにゅん。


「あん」


 …………。

 …………………。


 僕の右手に柔らかい物が当っている。

 そしてマリエルの声。

 いやな予感がして、手でこれ以上確認が出来ない。

 そっと手を退けて視線を下げる。


「なっ…………に、してるんですか」

「あ、おはよ」

「おはようございます……」

「何って、夜這い? 朝になったけど。

 何度も起したんだけど、起きないから私もねちゃったわ」


 上半身裸のまま綺麗な伸びをするマリエル。

 おうとつのすく無い体が光の中にある。


「前から思っていたんですけど、なんで僕が良いんです?」

「いやー、あれよ。

 私を個人としてみてくれる所とかー、それに……」

「それに?」


 勿体つけるような仕草で僕の方をみる。


「人を好きになるのに理由なんてないわよ」

「…………そういうものなんですかね?」

「ええ」


 着替えもおわり、僕へ回転しながら衣服を見せてくる。


「どや?」

「何時もと同じですよね」

「そうね」

「あと、鍵掛かっていたはずなんですけど……」

「そりゃ開けたわよ」


 部屋がノックされた。

 まずい、マリエルがここにいるのがばれたらっ!。

 慌てる僕よりも先にマリエルがはいはいーと、扉へと向かった。


「おはようございます隊長」

「おはようコーネリア」

「その、あの……、早かったでしょうか」


 コーネリアは僕の裸の上半身を見てそうたずねた。


「なっ、んで裸っ!」

「脱がしてみたから」

「あの、食事はサンモールの店にいますのでっ!」

「はーい」


 バタンとコーネリアが扉を閉めて走っていった。


「はぁ……。

 マリエル、君ねー……」

「わかっているんでしょ、私の記憶がほぼあるって話」

「記憶」

「そ、ヴェルと私は未来をしっている。

 いいえ、知っていたかしら。

 出会い、別れ、そして私は死んだ」


 カーヴェの町の事だ。

 第七部隊はそこで全滅をしている。


「最初は夢と思ったの。

 でも、彼方と出会い、彼方の言葉。

 夢で見たような場所で言われた通りの敵や行動。

 そして、一度しか会った事ない敵である彼方と、一夜の思い出」

「ええっと、ファーには相談したんですか?」

「相談出来るはずないでしょ!

 なぜヴェルも同じ記憶があるのかわからない、いいえ。

 ヴェルだからあるって言ったほうがいいのかな?。

 でも教えてくれないわよね」


 僕はズボンを履き終える。

 良かった下着は脱がされてない。


「そして、ヒバリ様からの篭手を持った少年を探せと密命に、彼方のなんでもしってるわよーっていう態度、以上! 色々と複合して考えにいたりました!」


 マリエルは胸の所へ篭手をもっていき聖騎士の敬礼をする。


 ごまかすのもここまでか……。

 上着を着て一通りの仕度は終わった。


「僕の知っているマリエルと、今のマリエルそれは別人と思う。

 ありもしなかった過去に捕われるのはよくない」


 マリエルは黙って僕の言葉聞いて、前に立った。

 そして僕の両方のほほを無造作に引っ張る。


「ヴェルは、そのありもしなかった過去を変えたいと私達に情報ながしたんでしょうがああああ」


 怒っている。

 というか、痛い。


「ほれあ、ほうだけど」

「大体ねー、おかしいのよ。

 その黒篭手といい、ヴェルの態度といい秘密にしてる事まだあるわよね?」

「ひのへいえす」

「どうだか……。

 ま、それはいいわ、ともあれ今日もがんばりましょう。

 可愛い義妹のためにってね」

「だれの?」

「いや、私がヴェルと結婚したらフローレンスちゃんが義妹になるじゃない?」

「いやいやいやいやいや、結婚とか話が飛びすぎて」


 マリエルが真顔になる。


「ヴェル、例のあの夢で私と一晩過ごしたわよね? あれは遊び?」

「それはないよ」


 僕は即答する。

 マリエルが好きだった。

 跳ね除けようと思えば途中からは逃げれたはずだ。


「じゃ、別にいいじゃない。

 それと、さっきの答えだけど。

 別にもう一つの記憶があるからといってヴェルにアタックかけてるわけじゃないわよ

 現に、マキシムの事を斬ったりしないでしょ?」


 そういえばそうだ、記憶が戻ったのなら最初に斬るべき相手はマキシムだ。

 マリエルは部屋から出て行った。

 僕はため息を付いて、後に続く。


 コーネリアと飲食店で合流し、城へと入る。

 練習場へ入ると、フローレンスお嬢様とアデーレが手を振って走ってきた。

 いや、走ってきたのはフローレンスお嬢様だけか。


「おはよーヴェルっ! なーんにもなかったでしょうねっ!?」

「第一声で言う言葉ではないですね、無かったですよ」

「コーネリアさん、私たち友達よね?」


 フローレンスお嬢様は直ぐにコーネリアを見た。

 見られたコーネリアは直ぐに視線をそらす。


「なーんかあったわね……」

「考えすぎです」

「あ……」


 顔無しが僕らの所まで歩いてくる。

 相変わらずの仮面で表情は伺えない。

 フローレンスお嬢様を覗き込む。


「よく眠れたか?」

「えっ? は、はい」

「そうか」


 くるっと反転して、帝国側へと戻っていった。

 彼の通り道から兵士が離れていく。


「なんだったのかしら……」


 フローレンスお嬢様が呟くと、コーネリアがもしかしてと喋る。


「フローレンスさんが、不満が無いか聞きに来たんじゃないですか?」

「やさしー……かも?」

「さて、僕らも行きましょう。

 二回戦のくじ引きの時間ですから」


 僕達はくじ引きを行う。

 僕が引いた数字は七だった。

 第七部隊の七か……ラッキーなのかな?。

 このクジでは八を引いた人間と戦う事になる。


 僕の数字を見て、普段顔色を変えないアデーレが、やはり顔色変えず数字のはいったカードを見せてきた。

 その数字は……。

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