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41 番外 オオヒナとスズメ

 気付いたら一人だった。

 見慣れた城に見慣れた空、でも生物と言うのか感じられない。


「まいったわね、また転生かしら……」


 誰も居ない城で呟く。


「あ、まって……。

 これってもしかして」


 両手を叩いて、某漫画で見たポーズをする。

 あの漫画では美形錬金術師兄弟が、陣もなくに練成していた。

 目の前に、意思どおりに鏡が現れた。

 私そっくりの女性の顔がアップにされる。

 全て察した。

 

「なるほどね……、大雛すずめが作った過去へと戻る道具。

 私はその篭手の中へと出来た第四の人格って所かしら。

 はあ、ヒバリとヒメヒナの時もそうだったけど本気で作ると失敗するのよね」


 とは言え、私という人格が出来たのはしょうがない。

 誰も居ない城で一日を過ごす。

 一度知っている人を作ってみたが、同じ台詞しか言わないNPCとかしたので諦めた。

 この世界で面白いと思ったのは、過去の大雛すずめの見た世界、篭手が見た世界が再現できる所だ。

 例えば、漫画やゲーム。

 本人さえ覚えてない内容が記憶されている。

 なんだったら、プレイしたこの無いゲームまである。

 

 この辺は私を作る際に二進表現と魔力を組み込んだからからかな。

 天才って凄い。

 そんな事を考えると、目の前に女子力ゼロの私が現れる。

 私よ、せめて風呂は入れ。

 彼女の手には黒篭手が嵌められている。


 顔に手をあてて、やっちまった……と言う顔をしているけど、私に言われても。

 大雛すずめが話しかけてくる。


「ええっと……」

「想像通り」

「ごめん」

「しゃーない」


 それから二人で話し合った。

 自分と話すってのは変な感じだ。

 簡単にいえば傷を舐めあう。

 私自身に怒る事は出来ないし、怒っても解決しない。


 ただ、どっちも大雛すずめでは呼び名が困るので、名前に関しては、苗字であるオオヒナを貰う。

 向こうの世界ではスズメと呼ばれているから、まぁいいでしょう。

 この歳で急に現れた双子の姉妹と言った所だ。

 姉妹と言えば、ヒバリとヒメヒナもそうなんだけど、あっちは完全に妹。

 どこかで遠慮がある。


「で、スズメ。

 篭手の力使うの? 私としては作られたからには使ってもいいけど」

「いやー……、自分には嘘つけないわね。

 今はいい」

「でしょうね」


 スズメが私を作った理由は日本に戻る事。

 異世界転生する前に戻れるのかと興味本位で作ったのだ。

 途中から本気になっていたけど。

 で、この篭手。

 というか私は、ゲームで言うと一回こっきりの冒険の書。

 

 黒篭手を付けた時点で、付けた人の世界を記憶、セーブする。

 でも、セーブしたのだからセーブ前には戻れない。

 ズスメの記憶をここでセーブしたので、これから何十年先でも戻ってくる場所はここである。

 簡単にいうと失敗作?。


「本当ごめん」

「べつにー、じゃぁさ――――」


 結局こちらの情報を伝えて、スズメには現実世界で色々な情報を取り込んでもらった。

 おかけで、消化する前に情報が増えて言って退屈はしなさそう。

 

 ――


 ――――


 ――――――


 あれから色々あった。

 スズメが死に、スズメの孫がわがはいを奪って逃げた。

 他にも何人もの手に渡り、わがはいの世界で篭手の所有者と話し合った結果封印される事になった。

 それは別にいい。

 何年でも寝る事が可能になったし、本気出せば数百年でも寝る事は出来ると思うのじゃ。

 いつかはわがはいも寿命が着て壊れるだろう。

 外の世界が見えないし、少し寝る事にした。

 

 ――


 ――――


 ――――――


 久々におきた。

 外の様子を見ると真っ暗だ。

 まだ封印されているのだろう。

 二度寝の前にわがはいは漫画を読む。

 横にある本棚が光りだす。


「むあ、篭手を使った奴がいるのかっ」


 わがはいは光っている本を取り出すと、中身を見る。

 篭手を付けた現在の少年の事が書かれていた。

 

 顔を上げると、いまだ存在があやふやな篭手の使い手が見える。

 どれ、ここは少し威厳を込めて喋ろうか。

 久々の客人に中二病がうずく。


「――――。

 ――――そうは思わないかのヴェル君」

  

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