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19 番外 コーネリアの記憶 村が襲われた朝

 番外 コーネリアの記憶 村が襲われる前日


 私コーネリアは、聖騎士になりました。

 両親からは返事が返ってこない、嘘言いました。

 見習いです、ごめんなさい。

 誰も居ない共同墓地の前で、私は呟いた。

 

「コーネリアーっ」


 私を呼ぶ声が聞こえ振り向く。

 この声は、ナナ。

 思ったとおり、私服が可愛いナナが走ってきた。

 私と同じぐらいの年齢と思うけど、年齢は聞いた事がない。

 隊の規則で決まっては居ないけど、歳上や年下だからってギクシャクした関係が生まれるよりはいいかなと思っている。


「もう、休暇だっていうのに、ずいぶんと暗い顔ね。

 明るい顔をしないと、両親だって心配して化けて出るわよ」

「あはは、うん、そうだね」


 ナナは、私と同じく見習い聖騎士。

 第七部隊は、マリエル隊長と共に今日はタチアナの町へと来ている。

 昨日から、隊全体が休みでそれぞれ自由を満喫している。

 っても、私達の隊は特殊らしく普段から自由な行動が多いきがする。


「ってさ、聞いてる?」

「え、あ、うん。

 聞いてるよ」


 ごめんなさい、聞いてません。

 ナナは本当? と言ってから、もう一度いうけどさーと、続けた。


「マリエルおねー様と買い物しようって思ったのに、マリエルおねー様ったら、ここから近い村の祭りを見に行くんだって。

 あの酒場の親父に教えられたとか言っていたけど、本当余計な事いうよねー」


 マリエル隊長は自由で勇敢で、ナナは隊長が好きだ。

 それは、信頼であって恋愛ではない。

 と、思う。

 いや、そうだよね……?。

 そういえば、マリエル隊長の下着が無くなる事件あったけど、まさかね……。

 だめ、同じ部隊の友達をそんな目で見たらダメ。


「でも、だったら着いて行けば良かったのに」

「馬鹿ねー、起きたらもう居ないのよ。

 今から行っても、楽しめないし。

 マリエルおねー様から、土産話を聞く口実が出来るじゃない!」

「そ……、そう」


 共同墓地でナナと話していると、同じ隊のチナさんが手を上げている。

 背が高く、他の人と違って大剣を使う彼女。

 先輩なんだけど、先輩というと怒られるので、チナさんだ。


「二人とも一応酒場待機になった」

「何かあったのですか?」

「ああ、マリエル隊長が戻ってきて、フェイシモ村が山賊らしき者の襲撃で壊滅した。

 今、ファーランス副隊長とミント副隊長が、警備隊を連れて向かう所だ」

「な……。

 出動命令ですね!

 直ぐにマリエルおねー様を助けにっ」


 隣にいるナナが興奮している。

 

「仕事の時は、ちゃんと隊長と呼ぶように。

 もう、事後処理しかないらしい。

 生き残りが一人いるらしいから、王都まで連れていくと。

 その紹介をするので夕方までには酒場に居てほしいと、命令」

「わかりました……」

「わかりましたっ」

「じゃ、アタシは他の仲間に知らせるから」


 チナさんは足早に去っていった。

 それから、王都まで護衛するって人はどんな人かなって、ナナと話した。


 夕方になった。

 私達第七部隊は貸しきっている酒場へと戻ってきた。

 二階より上は宿にもなっている。

 隊長と副隊長達が戻ってきた。

 その傍らには、男の子。

 いや私達と変わらないぐらいの男性が立っていた。

 髪は黒く、腕が折れているのか包帯が痛々しい。

 ファーランス副隊長が、大きな声で話す。


「こちらが今朝説明したヴェルさんです。

 客人なので故意に疲れさせないようお願いします。

 休日は明日の夜までですので各自お疲れ様でした。

 解散っ」


 ナナが、私の腕を引っ張る。

 顔が怖い……。

 外に出ると、何か怒っているようだ。


「みたっ!」

「えーっと、見たって何を?」

「あの、ネクラの顔よっ!。

 マリエルおねーさまの横に居て、かーっ。

 何でおねーさまは、あんな男の横に立つのかしら」


 なんだか良くわからない理由を言っている。

 

「食べまくるっ!。

 あの酒場じゃなくて、美味しいものでも食べて気分を紛らわすよっ!」

「えっと、私は特にお腹はへって……」


 減ってない、そう言いたいのに、私の腕を引っ張り歩く。

 しょうがない、少しだけ付き合うよ。

 それから、私達は食べに食べた。

 主にナナが。

 私は晩御飯もあるので少しだけ食べて終わった。

 酒場に戻った時には、ナナは食べ過ぎて具合が悪くなり部屋へと戻っていった。

 晩御飯まで寝るみたい。


 マリエル隊長達はあのヴェルさんと温泉へと行ったらしい。

 でも、あそこって混浴だったような……。

 そんな事を考えていると隊長達が戻ってきた。

 私達を見回して誰かを探してる。

 あ、目があった。

 いや、それよりも男性の腕に篭手がある。

 他の人もその黒い篭手を見ているし。


「まー色々あって、怪我してたってのは私が彼に吐かせた嘘。

 責任は全部私って事で、晩御飯の時にでも説明するわ。

 ええっと。

 いたいたコーネリア、悪いけど後でヴェルの部屋に来てもらえる?」


 もしかしたら、あの男性は聖騎士の偉い人かもしれない。

 だって、ハグレなら捕まえなきゃならないって聞いた事あるし。

 それに、部屋に来いってのは。

 接待……。

 男性に、女性がする接待というのは。

 見習いなら、そういう事をしないとだめなんだろう。

 私は慌てて隊長へと駆け寄る。


「別に直ぐにじゃなくてもいいのに……」

「す、すみませんっ!」

「いや、怒ってるわけじゃなくて。

 ま、一緒について来て。

 ミントはお疲れ様、夕食まで適当に」


 私は階段を登る。

 部屋にはいると、二人が真っ直ぐにベッドの上に座った。


「じゃ、ヴェル服を脱いで」


 やっぱり、そういう事。

 このヴェルさんは特務が何かで審査しに来た人、私は接待。

 ううん。

 むしろ、私が我慢すれば、全部うまく行くなら……。

 服を脱ぐ。

 そして、服を脱ぐ途中で怒られた。


「ヴェルは襲撃を受けたのよ。

 胸を貫通する傷があったんだけど、その確認をしてほしいの。

 で、コーネリアは医術の心得も少しあって」


 ヴェルさんが、なるほどと、納得している。

 隊長も、先に言って欲しかった。

 医術といっても、私に出来るのは音を聞くぐらいです、そんなに持ち上げないでください。


 私はヴェルさんの体を触る。

 同じ年頃の異性の体。

 診察しているだけなのに、少し恥ずかしい。

 ヴェルさんの体を、診察おわった。

 異常が見られなかった、本当に何も無い。

 そこから、ヴェルさんのために少しだけお勉強会。

 拍手をした時に、廊下で人の気配がしたようなきがしたけど気のせいかな?。


 全部終わった後に、皆で酒場部分へと戻った。

 ナナが大きく手を振って私を呼んでいる。


「もうお腹は大丈夫?」

「大丈夫に決まってるわよ。

 それより、おねーさまと、部屋でその、な、なにをしていたのっ。

 肌と肌がその、ぶ、ぶつかるような音が聞こえましたけどっ!」


 肌と肌って……。


「聞き間違いじゃないかな?」

「いーえ、確かにパンパンパンって」

「あっ! 廊下の気配ってナナだったの」

「ですから、何をしていたのかと」


 私達の席に三人目が入ってきた。

 チナさんだ。

 手には食事を持っていた。


「ここ、いいかな」

「はい、どうぞ」

「さっきから、おねーさまが汚れたって、皆に言うもんだから。

 そんなに気になるなら、コーネリアに聞いてみなって話がでてね」

「そうだったんですか」


 だから皆の視線が変だったのかな?。

 私は、部屋で起こった事を簡単に説明した。

 何度も、本当ですの!? と、いうナナ。

 チナさんは微笑み、周りの隊員に誤解を解いてくるよと席を外した。

 さて、休みはもう一日あるし、明日は何をしようかなー。

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