116 番外 あれからの彼女達
一人の赤毛の少女が紙を広げた。
両側に本棚が並んでおり、大きなテーブルには上質な紙とインクが置かれている。
その横には香りを立てた珈琲が入れられていた。
少女は一人の男性へと口を尖らせた。
「さてさて……生き延びたはいいけど、一向にやる事が終わらない。
今なら愚妹が変わっていく世界が憎むのもわかる気がするよ。
っと、驚く顔をするな冗談だよ。
私は今も未来も楽しみだからね。
さて頼まれた記録帳を作るか、君はインクの予備を買ってきてくれ。
こないだみたいに、散歩いったまま朝帰りは辞めてくれよ。
欲求不満ならいつでも相手をするとオー……はぁもう行ったか」
名前を言われた男が、わかってますってと既に部屋から出て行った後だった。
赤毛の少女はさてと、と言うと紙へ文字を書き出した。
タイトル・第七部隊と関係者その後と……。
・マリエル元第七部隊隊長 新聖騎士部隊隊長になるが三日で辞める。新しい命が出来ていたため。
現在は貴族の地位を再び得て旧王国と旧帝国領を家族とメイドと共に飛び回る日々。
・ファーランス元第七部隊副隊長 中立地帯に出来た自由国家初代王妃、現在は元帝国皇太子であるミニッツ王とカーヴェの城でそこそこに仲良く暮らす。
・ミント元第七部隊副隊長 ファーランスの下に付くが自由すぎてカーヴェ城に居る事が少ない。
・チナ 最年長であり新聖騎士部隊の入隊を断る。現在は田舎に帰る。
・クレイ チナと同じ年齢であり現在は聖騎士を除隊しチナと共に雑貨屋を開く。
・フレイミン 当時隊の中で唯一彼氏もちだったフレイミン、五人目の彼氏と半同棲。
・シンシア アデーレの後を継ぎ新聖騎士部隊で弓部隊へ所属。
・メイリン 聖騎士を除隊し道場を作るも潰れる、いまは聖騎士へと実力で戻る。
・コーネリア フェイシモ村で医者になる、元仲間だったパンシーと共に村に滞在。
・パンシー コーネリアの下で医術を習う。
・ナナ 失恋の旅へと消える、一緒に行こうと誘ったコーネリアに断られる。
・サナエ 自称盗賊王が逃亡したので後を追いかける、最近首に縄をつけた男を引き付けれて凱旋。
・アデーレ マリエル家のメイドとなる、現在はマリエルの子に常識を覚えさせる毎日、理由はマリエル隊長に任せると心配だからと。
元聖騎士達十三名分を書くと、少女は追加で二人の名前を書く。
・フローレンス 年上の旦那を捕まえて毎日ラブラブ、男のほうは嫌がっているが拒否はしない模様。
・ロキ 偽名の男。現在は仮面を外しフェイシモ村を救った英雄の一人として村に滞在、次期村長に内定。
「ふうーこんなものかな。
そして絶対美少女の私は城で記録係りになったと……。
さてさて、早く終わらせて私も宿に行くとしようか、小さき勇者は元気でいるか楽しみだ」