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エビデンスベースボール  作者: カラガラ
3/4

#3 どうして昔の人って背が小さいの?

「しおりー!もうすぐドラフト始まるわよー!」

「今行くー」

そう言った私は読みかけの本を持ったまま、リビングに降りた。ソファーに二人が座っているので、私は床に座りソファーにもたれながら本を開く。

「お父さん行けばよかったのにー」

「…また今度な」

両親がそんな会話をしている。今日のドラフト会議は「自分が選んだならともかく、今回の指名は何にも関わっていない」から、行かないんだそうだ。実にお父さんらしい理屈である。

「ありゃー。東海は5球団競合ですって」

テレビでは東海合わせて5球団の関係者が、檀上でくじを引いている。私はくじの結果が出るまで待つのも退屈なので、途中だった本、ヨハン・ノルベリ『進歩』(山形浩生 訳、晶文社)を開いた。

「ありゃりゃー。くじ外しちゃったーわね」

ほんの200年前、フランスの平均的な世帯は、所得の半分を穀物に費やしていたらしい。そんなにお金使ったら本とか買えないなー、というのはあまりに平和ボケしすぎだろうか?

「あれまた競合しちゃったじゃない!どんだけ焦らすのよ」

その当時の人々はカロリー不足であまり働けなかったそうだ。労働時間は短かったんだろうけど、それは嫌だなー。働きたくはないけど。

「あーまた外しちゃった。あなたがくじ引いたほうがよかったんじゃない?」

「…まぁこういうこともあるわな」

その後ドイツで開発された肥料や品種改良で生産量が大幅に上がって、栄養失調が減ったんだそうだ。第二次大戦後の日本ではたった50年で平均身長が10cmも伸びたらしい。

ちなみに私の身長は175cmと女性にしてはかなり高い方だ。一般人と比べれば身長の高い父の遺伝子と、小さいころからいい食べ物を食べさせてもらったのだろう。とはいえ少しコンプレックスではあるが。

「ようやく1位が決まりそうね。長かったわー」

そういえば、この間の野球青年は私より身長が高かったな。あのぐらい身長があれば、ヒールを履いたりしても問題はないだろう。名前は…

「あれ?お父さん。この間グラウンドであった指名されそうな選手って」

「あぁ。こいつだな。可児外野手」

お父さんが指挿した方、テレビ画面を見ると、マイクがたくさん向けられた、彼、可児選手が映っていた。

「あ…ドラフト1位だったんだ」

「何?知り合いなの?連絡先は交換した?」

「いやちょっと話しただけだし…」

お母さんは興味津々だ。まぁ私が色恋沙汰に縁がなさすぎたから、つい敏感に反応してしまう気持ちは分かるが。



「可児選手。東海ドラゴンズは来季から戎吉新監督が率いますが、監督の印象を教えてください」

「そうですね。実は少し前にお会いしまして。とてもオーラのある方でした」

「何かお話はされましたか?」

「いや挨拶程度ですね。娘さんとはお話しましたが」

「監督の手伝いをされている娘さんですね。どんな話をされたのですか」

「絵本のバナナの話を…」



「やめろー!やめてくれー!」

テレビに言った。もちろん彼には届いていないだろう。バナナの絵本読んでる24歳はマズイ…。マズ過ぎるだろ…。

その日から私は、少しだけバナナが嫌いになった。

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