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勇者PTからはずれたおっさん

魔族領で公務員になったおっさん、野菜と戦う

作者: リエッタ

勇者PTからはずれたおっさん、魔王城へのカチコミを決心するが……(https://ncode.syosetu.com/n2799en/)の続編です

ポイントと感想が嬉しくて、テンションで書く

ひゃっほーい

 おおぅ

 メイド(薄給 狐耳尻尾)さんに連れてもらえたのは、ふかふかベッドである

 やべぇ

 最近まで使っていた宿屋は安かったこともあるし、硬かったからなぁ

 夢遊病の如く近づいて、ベッドにダイブ

 おほー

 あひゃーーー

 ……俺、ここに就職できてよかったかも

 毎晩このベッドが待っている~~~

 

 「そこは、嫁が待っているとかじゃないんですか?」

 「おっさん、独身、そんなものはいない

 その予定も無い

 ……ってか心読めるのかい?」

 「あ、はい、やっぱり気になりますか??」

 「ん?特には?

 本気出したら、表層では別のこと考えることも出来るし……

 多分、心を読むにしても表層だけでしょ?」

 「えっと……そんなことできるの……って、私で……ちょっ……」

 「ま、こんな感じ

 ちなみに深層ではずっと惰眠をむさぼりたいって思ってた」

 「変態!変態!!変態!!!」

 

 あひゃ、おっさんの思考を呼んでも碌なこと無いよ?

 あぁ~、ずっとこの感触に浸っていたいなぁ

 

 

 さて、この人間を駄目にするベッドに現を抜かしていても仕方があるまい

 しかし、魔族を鍛えるかーー

 う~~ん、どうしようかねぇ

 ってか、魔族と人と一緒に考えてもいいんかなぁ

 俺なんかは師匠に連れられて、あほなくらい格上な魔物とやりあったり、致死量一歩手前の毒を食べさせたり、夢で宝箱開錠訓練をさせられたりとかされたんだけれど……

 盗賊にするって話でも無いしなー

 鍛える……強くする……どうしようかねー

 う~~ん、どうしようかねぇ……う~~~ん……………………うとうとうとうと

 ………………とりあえず、明日の俺に期待だ

 おやすみん

 

 

 

 

 

 太陽が丁度昇る時間帯に起きた

 うん、ちゃんといつもどおりに起きれた

 さて、結局何も鍛える方法を何も考えられなかった

 ……ってことで、色々と見回りながらちょっと考えて見ましょう

 

 

 

 

 ……ってあれー?誰にも出会わないよ?

 皆寝ぼすけさんなのかな?

 それとも昨日羽目を外しすぎたとか??

 いい朝なのに……もったいない

 さて、そもそも魔族を鍛えるといっても……われわれ人間と何か違うのか?

 面倒になったら実戦に突っ込んで、魔物狩りになるんだけれど……

 昨日の夕食が肉だったりしていたから、魔物も適宜狩りはしているとは思うんだけれどねぇ

 それで弱い??なんで??

 

 「ってことで、どういうことかい?魔王様?」

 「友人なのだからもっとフランクリーにしてくれてもいいんだよ?」

 「一応雇い主だから様つけているけれど……んじゃ外す

 ってことで、魔物狩りをしているけれど弱いって言うのが不思議なんだけれど……」

 「そもそも、父が魔王の時代に強い魔物を殲滅してな?その恩恵にあずかった強い魔族はいたんだがな?

 高齢で亡くなられた」

 「……」

 「そんで、憔悴している魔王に優しい振りして毒殺したのが私☆」

 「あひゃ」

 「基礎スペックは人間より低いってことは無いとは思うんだけれど、強い魔物がいないから、どうしてもレベルが上がらない

 んで、弱い魔物をそこそこの人数で狩っているからそこまで伸びないって感じかなぁ」

 「あひゃっ……もうレベル的なものは基本頭打ちなのか……

 そうしたら俺に出来ることなんて少ししか無いじゃん」

 「ん??何か思いついたの??」

 「あひゃっ、魔族領で野菜を作ろうぜ☆」

 「……………………………………」

 

 あひゃっ、ながーいながーい沈黙だねぇ

 何で野菜????ってすげーフリーズしているねぇ

 

 「…………そ、それは何かの冗談か?」

 「まじまじオーマジだよ☆あひゃっ」

 「その語尾に信用性が無いのだが……」

 「む~~~ん……でもまぁ大マジで野菜を作ろうぜ☆」

 「…………理由を聞いてもいいかい?友人?」

 「ん~、そもそものところ、レベルに関しては俺にはどうすることも出来ないんだわ

 人間領から魔物を引き連れてくるとか……面倒でやる気が起きない」

 「…………まぁそうだよな」

 「そうすると俺に出来ることといえば自ずと2つしかない」

 「ふむ」

 「肉体的に鍛えて感覚を養わせるか、精神的に向上させるか」

 「ふむ」

 「で、どちらを優先させるかと考えたとき、俺は後者を選ぶ」

 「理由は?」

 「いやいや鍛えても大して身につかないから」

 「ふむ」

 「……ってことで精神的に向上させるために野菜を作る」

 「ふむ……ってなんでじゃぁぁぁ!!?

 ……論理を飛躍しすぎじゃ……」

 「……んっとだな、お前ら魔族は肉ばかりを食べてて、ちょいとばかしふけている

 ここは共通認識にしておきたいんだがいいか?」

 「……ぬぐぐ…………認めたくは無いが…………認めよう」

 「じゃあここで、問いだ

 家に帰ったら、おっさんと若い子…………どちらが待っててくれた方がいい?」

 「…………それは若い子の方が…………」

 「んじゃ、次

 恋人にするならおっさんと若い子のどっちがいい?」

 「…………えっと、人によるが……まぁ一般的には若い子の方がいいんでないか?」

 「だろ?つまり、野菜を食べることによって、魔族のアンチエイジングを計るわけだ

 そうすると、例えば嫁や旦那が若返ると……そんな若い嫁や旦那を残して死にたいと思うか?

 まぁ思わないわな?するとたとえピンチになっても生き残るために知恵を働かそうとするし、辛い訓練があっても逃げ出さず頑張ろうとする

 また、子供を作ろうという気も起こるかもしれない

 そうしたら、魔族全体が活性化する

 な?

 ほーら、野菜isすげー

 ところが、魔族領はほとんど野菜が無い

 ならば、野菜を交易で入手するか、それとも自分で作るか、だ

 でも俺は、こんな素晴らしい野菜を交易に頼るつもりはさらさら無い

 そう、交易相手は値上がりしたよって言ったら、野菜の確保が難しくなるし、向こうが不作になってこちらに売れませんとなったらどうする?

 またふけるのか?

 俺はやだぞ

 ってことで野菜を作ろうぜ☆」

 「お……おおぅ…………なんだかよくわからないけれど、野菜は凄いんだな?

 野菜を作ることで、全体的に魔族のアンチエイジングを行い、活気がでるのだな?

 よし、わかった、野菜を作ろう

 んで、どうすればいいのだ」

 「俺が中立地帯から野菜の種を買ってくるから、お前らは野菜が育ちそうな土地を耕してくれ」

 「わ、わかった

 あ、資金は……」

 「俺が出すよ……俺1人で行った方が早いからな

 俺がお前の金を持っていたら、持ち逃げするんじゃないかと監視が必要になるだろ?……他の魔族の目もあるだろうし」

 「気を使ってもらって済まんな、友人」

 

 

 

 

 野菜の種は色々買ってきた

 果たして魔族領に旬の概念があるかどうかも分からないため、旬を外したものも全て買ってきた

 とりあえずダメモト

 金額にしてもそこまでかからないし

 というわけで種は万全

 

 「で、耕した土地は??」

 「うむ、墓地にした」

 「………………墓…………地???

 …………何故に???」

 「骨が一杯有るから多分栄養があるんだと思ったんだが……

 後偶にスケルトンとか色々生み出されるから…………」

 「………………まぁなんとなく肥沃なイメージはあるはな

 ……………………まぁダメモトだしいっか??」

 

 

 こうして墓地でも野菜作りが始まった

 種蒔くベー

 

 

 

 ……なん…………だと………………

 何で1日で全部芽が出ているんだよ

 旬なんて外したものも全部だぞ???

 うっそーーーーーん

 まさかの墓地が大当たりの土地だったのか???

 

 

 

 

 

 ……1週間後には実がなっているものも出てきた

 ……………………マジで????

 何度もガン見してみたが、実である

 頬抓ってもやっぱりある

 なんだこの土地

 

 「夢なんかじゃねぇぞ???」

 

 どこからともなく声が聞こえた

 周りの気配を探すが………………誰もいない

 俺の気配範囲を超えている箇所から声???んな馬鹿な…………

 

 「そうじゃねぇよ、おっさん

 こっちだこっち」

 「こっちといわれても声のする方なんてトゥメィトし………………か…………」

 「おぅ、そのトゥメィトだぜ」

 「あひゃ???」

 

 …………トゥメィトが喋った??????

 ちょっと待て、俺は確かに野菜を育てたことが無い

 だがしかし、ちょっと待て

 トゥメィトが…………野菜が話すなんて聞いたことが無い

 そりゃ確かに音楽聞かせれば、成長がよくなるとかそんな話は聞いたことはあるんだが…………

 トゥメィトが喋るなんて………………

 何だコレは???

 

 「そんなことよりおっさん、もうちょい俺に水くれよ」

 「お…………おぅ」

 

 俺が戸惑っていることが、そんなことか

 まぁ、うん

 とりあえず、色々と飲み込もう

 このトゥメィトが異常なだけなのだ

 うむ、きっとそうなのだ

 

 「こっちにも水を頂戴ね」

 「こっちも」「こっちも」「こっちも」「こっちも」「こっちも」「こっちも」

 「ホーレン、キャローン、デーコン、クーリー、プテット、ガーリー、マットゥーナ、お前らもかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 「友人どうしたのだ??」

 「お前らは野菜がしゃべることに違和感が無いのか??」

 「???ほとんどとらないからなぁ……そういうもので無いのか??」

 「フツーはな」

 「ならば魔族領のこの墓地のおかげかな?」

 「マジか…………スケルトンに宿る魂が野菜に宿ったりしたのか??

 マジか???」

 

 

 

 

 ……さらに1週間が経つ

 収穫にいい頃合になる

 ……これだけでも頭がおかしくなりそうなのに、もう1つ頭の痛いことが起きる

 野菜の反乱が起きる

 ガーリーを収穫しようと根っこごと引っこ抜いたとき、ガーリーから奇声が聞こえた

 収穫隊……一斉にバッドステータスである

 それから待ってましたとばかりに野菜達が反乱を起こした

 キャローンが二股で自由に動き回り始めた

 くそぅ、誰だそこを耕していたヤツは??

 ちゃんと耕していなかったな??

 だからキャローンが二股になるんだよ!!!

 キャローンがホーレンの葉を一枚を拝借するとたちまちホーレンの葉が剣になる

 デーコンも二股で暴れまわる

 そっちもかーーーー!!!

 プテットを引っこ抜いてこちらに投げてくる

 ちょっ、あっ、収穫隊がどんどんやられているぞ

 ってかプテットも収穫しなきゃいけないから、後で拾っておかないと

 トゥメィトは実から種を吐き出す

 俺は余裕で避けれるんだが……収穫隊がまたやられていく

 マットゥーナが葉を飛ばしてくる

 クーリーが棘を飛ばしに来る

 何だコレは???

 収穫隊が半壊である

 とりあえずもう訳がわからんが、仕方が無い、俺も鎮圧に手を貸すか

 

 

 

 

 

 ……まさかの徹底抗戦で鎮圧に3日かかった

 2日目から魔王投入という全力っぷり

 倒したと思ったのに次から次へと復活していくのはちょっとびびった

 スケルトンの不死性を引き継いでいたのかと思ってひたすら戦い続けていたら、1野菜だけ後ろで支援していたのに気づいた

 その野菜はエスベリー

 コレを倒したことによって、以降の野菜の復活はなかった

 そして、野菜の反乱は終わった

 しかしコレによって、酷くダメージを負った者がいた

 収穫隊…………死者は出さなかったものの意気消沈

 野菜に敗北とかつらいよな…………

 

 「まぁ…………その…………なんだ???折角苦労して収穫したから食べようぜ??」

 

 大トゥメィト鍋祭りである

 うむ、やっぱり鍋はいい

 

 「友人、友人、コレで私もアンチエイジングか??」

 「まぁ……普通より活きの良い野菜だったからかなりアンチエイジングになるんじゃないのか??」

 「おー」

 「それより……も…………

 あー、ちょっといいか???

 先ずは野菜討伐お疲れ様

 こーやって、全員で鍋をつつくことが出来て嬉しく思う

 ……が、前回の野菜討伐で野菜が種を乱舞した

 そして、いくつかがもう既に芽が出ている

 つまり2週間後、また野菜討伐を行う必要がある

 収穫隊のみんなは軽いトラウマを植え付けられたかもしれない……なので、脱退を願い出るなら今のうちだぞ??」

 「…………」「…………」「…………」「…………」「…………」

 「…………このままでは俺は終われません

 2週間後の再戦??望むところです!!今度こそ返り討ちにしてやります!!

 それに今回の討伐のおかげで、レベルも上がりました

 今回の奇襲も通じません

 こんどこそ野菜をぼこります」

 「俺も」「私も」

 「おぉぉ、そんじゃ明日から作戦練るか

 今日は鍋パ鍋パ、あひゃ」

 

 

 後にこの収穫隊が魔族最強戦士団となるが、それはまた別のお話

 こうして、公務員のおっさん達と野菜との戦いが始まる

 

 

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― 新着の感想 ―
[一言] おんや? これってフッツーに強敵倒してレベルアップ出来てね? いや楽しませていただきました、ありがとうございます。
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