ランクダウン
今夜のおかずはハンバーグだった。
しかし、ひき肉が2人分しかないらしく、俺のハンバーグをエリザベスに譲る事により、俺のおかずは目玉焼きにランクダウンした。
まあ、仕方ない。
急な来客だったんだ。静奈にしてはGJだと言えるだろう。
だがしかし! とある部位に関してはGJとは言えない。
そう、断じて!
エリザベスの胸元を見る。
次に静奈の胸元を見る。
その行動から自然と出る俺の『フッ』
俺のこの『フッ』に対して静奈が吠える。
「こらあああ! 何が『フッ』だ! 私の胸に言いたい事があるならちゃんと目を言ってみろおおおお!」
静奈は勢いよくテーブルに乗りあがり、俺の襟を両手で掴みながら猛獣の様に威嚇して来た。
そんなお行儀の悪い妹に対し、兄である俺はもう一度エリザベスの胸を見ながら心の叫びを訴えた。
「だってな~」
「だってじゃねえええええええええええええ!」
ドゴッ!!
俺の目玉焼きはめざしにランクダウンした。
ハンバーグとめざしを囲み、俺達は食事と雑談を始める。
「ところでお兄ちゃん、エリザベスさんとはどこで知り合ったの?」
「自分の部屋だけど」
「は? なに言ってんのお兄ちゃん。馬鹿なの? 死ぬの? 豆腐の角に頭ぶつけて死ぬの?」
… 言い過ぎじゃない?
「いいから俺の部屋見てきな」
「え、うん。分かった」
静奈は食事を中断して2階の俺の部屋へと向かった。
その隙に俺は静奈のハンバーグを少し頂く。
ヒョイ
「パクパク」
そして、
ドタ ばた 土田 馬田
静奈が2階から戻って来た。
俺はバレない様に取り過ぎたハンバーグを静奈の皿に戻す。
「何あれ!? 何あれ!? お兄ちゃんの部屋どうなってるの? 〇ブホテルみたいになってるんだけど!」
「ああ、あれな。 … ん? (今聞き捨てならない単語が)」
まさか!
「お前! 中学生が〇ブホテルに行っていいと思ってるのかああ! お兄ちゃんだってまだ行ったことないのに! 主張中の親父達になんて言ったらいいんだよ!」
「は? この前見たドラマに出てた部屋と似てるってだけなんですけど」
「あ、そうなのか、じゃあ今のお兄ちゃんのセリフは無しで」
「いいけどプリン1個ね」
「お、おう…」
無しにしてもらった。
俺と静奈は一旦落ち着きを取り戻し、再び食事と雑談を始めたのだが、
その雑談で俺と静奈は、エリザベスの驚くべき身の上話を聞くこととなる。
なんとエリザベス。
とあるヴァンスとやらの国のお姫様だと言うのだ。
どことなく西洋のお姫様みたいだな~とは思っていたのだが、本当にお姫様だったとは。
そして追加要素、今現在は魔王によって魔王城で囚われなうだという。
となると…
俺の部屋のドアは魔王城の一室に繋がっているという事になるのか?
だからエリザベスは俺が自分を助けに来た勇者と勘違いしてしまったんだな。
申し訳ないがエリザベス、俺は勇者ではないんだ。
ドラク〇ですら勇者ではなく遊び人を選ぶくらい勇者とは程遠い存在なんだ。
期待させてしまって何かごめんなさい。
エリザベスの身の上話は超ファンタジーなお話、普通なら信じるのも難しい超驚くべき内容なのだが、
俺的には意外とそれ程でもなかった。
理由は分かっている。
その理由とは
ガン!!
俺はエリザベスの胸をガン見しながら理由を叫んだ!
「アニメでしか見た事のないこの巨〇の方がよっぽどファンタジーだからだああああ!」
ガン!!
「ぐほっ!」
俺は静奈に後頭部を強打され5分間意識を失いました。