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Skydia-スカイディア-  作者: 雨宮玉介
第1章 夜明け編
1/10

プロローグ 目覚め

 

 (ここは、何処だろうか)

 

 堅い石板の上、心地よいひんやりとした冷たさを背に受け、青年は微睡から覚醒した。

 ――ゆっくりと目を開ける。

 すると、写り込んできたのは自室の天井ではなく、闇夜を照らす満月だった。

 慌てて上半身を起こし、月明りに照らされた周囲を見回す。

 辺りには朽ちた建造物が点在し、草木によって覆われている。

 青年にとって、全く見覚えのない場所だった。

 

 (ここは……何処なんだ?)

 

 動揺で固まる思考に発破をかけるよう、青年は再び脳裏に同じ問いを投げかけ、さらに記憶を探る。

 今まで自室で就寝していたはずだ。

 何故、見知らぬ土地の月下で、自分は寝そべっているのか、と。

 

 (…………)

 

 しかし、いくら記憶を漁っても、思い当る節がなければ不毛な行為だ。

 結局わかったのは、故意でここに来たわけじゃない。という事だけだった。

 

 (まさか、ドッキリとかだったりして……)

 「おーい! 誰かいるなら返事してくれー! 俺はもう十分驚いたぞー」

 

 試しに大声で叫んでみたが、返ってきたのは木霊する自分の声のみ。

 少なくとも、近くで誰かが見張っている……という状況じゃなさそうで、ドッキリという線はなくなった。

 

 (……なんだか、妙に静かな場所だな)

 

 辺りが異様に静かすぎる。

 木々が生い茂っているにも関わらず、葉の揺れる音は聴こえてこないし、人ならず虫すら一匹も見かけない。

 まるで、周囲すべての時間が止まっているかのに思えた。

 

 「貴様っ! そこで何をしているっ!!」

 

 言い知れぬ恐怖を抱き始めていた頃、不意に叫び声が聞こえ青年は反射的に顔を上げた。

 目の前には、驚きを露わにする一人の女性が立っていた。

 独特の色気を放つその美女は、青年が話しかける前にこちらに向かって手を翳した。

 

 「動くでない。貴様がどちら(・・・)なのか確かめてやる」

 「えっ……」

 

 意味不明な美女の言葉に戸惑い、青年は無意識に石板から立ち上がろうとした。

 

 「動いたな」

 「……っ!?」

 

 美女の言葉の直後、青年の身体は燃えるように熱を発し、何が起きたか理解できずに目の前が完全な闇へと染まった。

 

 ……――なぁんだ。夢だったのか。

 夢オチを期待する青年が美女と再び会い見えたのは、目覚めてからすぐの出来事であった。

 

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