自分という自分 6
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燈八との1月1日を過ごした、その次の次の日。
13時30分に家のインターフォンがなる。
「初めまして、須田 始といいます」
WiX社 開発技術部 須田 始
そう書かれた名刺を渡された。
言わいる、イケメンである。
「あっ、とりあえず中入ってください」
「はい、失礼します」
リビングにてアプリ公式化の話し合いが持たれた。
家に莫大な金が入ることから、未成年の源鹿にはどうしても親を通す必要があった。
そして、2時間の話し合いが持たれた結果。
WiX社との契約が決まり、TMLは晴れて公式アプリとなった。
その夜、初めてこちら側からラストへの電話をかけた。
コールがかかっている間、源鹿は緊張していた。
「・・・もしもし?」
ラストの声が電話の向こうで聞こえて、ほっとした。
「もしもし?源鹿だけど」
「うぉ、ゲンロク。久しぶり」
相変わらず元気だな。
話すことなんて分からないから、ストレートに内容をぶつけて話すことにした。
「今日、僕の作ったアプリが公式になったんだ」
「―――?―――?なにそれ?」
源鹿はまた意味不明な言葉を聞きた。
「ラスト」
「ん?」
「アプリって言ってみて」
「―――」
やはり、源鹿にはわからない言葉に聞こえた。
「公式は?」
「こ――」
修正され始めている。
ラストの知らない言葉は最初アースの言葉で話されるけど、ラストが話す度に日本語に修正されていく。そして最後には。
「アプリ、公式。OK。憶えたわ。」
ラストが、ちゃんとした日本語を話してしまう。
「で、そのアプリが公式になったのってすごいの?」
「すごいさ」
「そうなんだ、ゲンロクはすごい人なのね」
「そうゆう訳じゃないけど」
「私もね、今日いっぱい働いたからね。疲れちゃった」
「その、五種警備員てやつか?」
「うん。役所としては、ゲンロクよりスゴイんだから」
電話の向こうで、片方の手をを越しに当てて偉そうに微笑む姿が目に浮かんだ。
「へー。どーすごいんだ?」
棒読みで言ってみる。
「簡単に言えば、王様の直轄よ」
「おぉ。それはわかりやすくて、すごい位置だな」
「あんま興味無さそう」
「いや、まじすごいと思うから」
源鹿には正直わからなかった。
あっちの王がどんなものか?どうゆう人でどうゆうことをして、その世界を統一してるのか?
話を聞いている限りだと、その五種警備員とは、王がつくった面倒押し付け係みたいな立ち位置にあると。源鹿は解釈した。
「とにかく、私はそうゆう立ち位置にいます。王様からの勅命で私たち5人は、今日もアースの平和を守るのです」
ふーん。
会話をしていて少しわかった事がある。
こっちの会話は向こうの言葉で聞こえている。でも、向こうでわからない言葉は向こうの言葉で聞こえる。理解がされれば、と言うか発した言葉そのものがなにかに理解されてその言葉に変換されていく感じだ。
向こうは、わからない日本語をアース語に変換できる、こっちはわからないアース語がラストを通してでなければアース語を聞けない。
でも、ここの間だけなんだよな。ラストもそれは同じだし。
この会話は、TMLを通して向こうの言葉で複数人に聞かれている。
ラストは、あっちの人と話す会話はこれを通してもアース語で・・・。
「なぁ、ラスト」
「人の話聞いてないでしょ!?」
話し続けるラストの話を華麗にスルーし続けた挙句こちらの要求を振っていくスタイルは、ラストにとってはかなり堪えたようだ。
「あぁ、わりーわりー。」
「もういいもん。また今度ね」
プープープー
通話を切断されてしまった。
かなり怒らせてしまったようだ。
さて、どうしよ