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源鹿紀伝  作者: Loo
5/17

自分という自分 5


 その電話は午前中にかかってきたそうだ。

 声は男と女の声。

 聞き慣れない言葉を話しており、こちらの声は一切届かない。

 女の声は聞いたことなかったが、男の方は聞き馴染みがある気がした。

 そして、その声の主に電話をかけてみることにした。

 「それが、源鹿」

 燈八を適当に言いくるめてその電話を切ったあと、源鹿は別途に倒れ込んだ。

 ラストとの会話はTMLを通しておそらく複数人に聞かれている。

 しかもその電話で自分があちらの、「アース」の言葉で会話していた。

 「一体どうなってるんだ? 」

 とりあえず、TMLについて考えることした。

 TMLは1対1でしか会話できないようになっている。

 他の回線に繋がることは無い。

 だが、複数のTMLに着信をかけるという現象が起きていいる。

 つまり、TMLが正常に働いていないということ。

 源鹿は、1度TMLを見直した。

 だが、そんな穴は一つもなく明らかにおかしなことになっていたのだ。

 原因も分からないまま、そのままにしておくわけにも行かなかったので、 TMLのお知らせに送信。

 このような事実があったことをお詫び申し上げます。といった文面で謝罪。

 こんなような事がまた起きるかもしれない。

 そんな不安の中。

 Ⅹpが振るう。

 TMLからは、ラスト・オーダーの文字が現れた。

 これにでれば、また誰かに聞かれる恐れがある。

 でも。

 「もしもし」

 その電話にでた。

 「やぁー。ゲンロク」

 陽気に日本語で話すラストオーダー。

 どう話していいかわからない源鹿は、「やぁー」と同じように返事をする。

 「いやー、突然の呼び出しとかやめてほしいよね」

 「ははっ」

 苦笑い。ラストはどんな顔で話してるんだろうな。

 「で、なんの呼び出しだったんだ?」

 「えっ、ああ。ちょちょいと、悪党を 」

 悪党?

 「でも、光は無敵。私は無敵なんだから」

 「何の話してんだ?」

 ひとり置いてきぼりにされて話についていけない

 「あぁ。ごめんね。で、何の話だっけ?」

 「知らねぇーよ」

 とっとと行っちゃうタイプだな。

 それに自信過剰。

 何のことかわからないけどそんな印象を持った。

 「そうそう。私、あたなのいるアースのことが知りたいの」

 「知ってどうする?」

 「知りたいの。教えて」

 ちょっと声が可愛く聞こえた。

 そして、少し長い話をした。


 こっちの暮らしがどんなものか。

 地球が今どうなってるのか?

 これからどうなるのかも分からないのに、地球がどうなるだのと自分の考えで話した。

 一方的に話していても「うんうん」と答えながら話を聞いてくれたラストは本当に理解してくれているのか分からなかったが、話していて楽しかった。


 「なぁ、そっちの世界はどうなんだ?」

 源鹿は自分の世界について話していて、ラストの世界に興味を持った。

 「ん?こっちの世界?」

 そしてまた長い話が始まった。


 なんでも、ラストの世界には『魔法』という概念が存在しているという。

 「へー、魔法・・・」

 「アースを見つけたのも魔法の望遠鏡があったら。綺麗な青色が見えるの」

 青色。

 自分では見たことないが、写真で見る地球は青色だ。

 本当にそうゆうふうに見えるものかと、源鹿は黙ってその話を聞いていた。


 ラストの世界は、5つの魔法種があり、「火」「水」「土」「光」「闇」と分かれている。それぞれが文化をもち別々に生活している。

 ラストは「光」の地に生まれ育った。

 昔、5つの魔法種は大きな抗争を起こした。きっかけはどこかの種がどこかの種を吸収し滅ぼそうという考えを起こしてしまったせいだ。犯人探しをするうちにその事態は大きく膨らんでしまう。結果的に戦争を起こし、世界は戦いの嵐に巻き込まれる。

 その戦争は1日とかからずに終わった。それは、5種魔法最大の魔法が相殺し終結したのだ。

 今はどの種も形を取り戻しており、生活を送っていそうだ。

 またそんな事が起こっては、溜まったもんではないと、5種頭は5つの勢力から一人づつ協力しながら秩序を守る集団を作った。


 「それが、今私が光の守護を担当している。五種警備員っていう組織よ」

 聞いといてなんだが話についていけないと思いながら聞く源鹿。

 「わたしは今そこで働いていて、昼辺りにも呼び出されて、もー災難」

 「なぁ、最初話した時にも思ったんだけど日本語話せるのな」

 「えっ、にほ・・・なに?」

ノイズのようなものとともに、変な単語が電話の向こうで聞こえた。

 「わからないのか?」

 「わからない。私も思ったのだけれど、こっちの言葉話せるのね」

 この会話から源鹿は、勝手に言語が変換されて届いていると考えた。もちろん、源鹿はアースの言葉なんかは知らない。

 おそらく昼辺りに、ラストが切る前に話していた言葉。今さっきのノイズのようなものと共に聞こえた言葉。あれがアース語なのだろう。


 こんなような会話で今日は切った。

 向こうの言葉を憶えれば、向こうと少しは近づける。一番最初にかかってきた電話の対応ができる。情報はあって損は無い。

 今は20時だった。


 時が経つのは早い。

 気付けば風呂を入り、ご飯を食べ、疲れたのか眠りについていた。



 次の日

 いい天気だった。

 目覚めもいい。

 あと1日で今年も終わる。

 Ⅹpを確認。

 WiXからメールが来ていた。


 来年

 そちらのお宅に伺いたいと思っております。

 ご都合の良い日を教えていただけないでしょうか?

 誠に勝手だと思いますが、宜しくお願いします。

須田 始


 これは親にも相談しなければと思った。

 そもそも、WiXってどこにあるんだ?

 調べたことはあるが記憶にない。

 もう1度調べてみると、WiXは東京にの端あたりにあることが分かった。丁度成田あたり。

 「微妙に距離あるな」なんて呟いて、Ⅹpを置いた。

 このⅩpを手にして、3日しか経っていないのに色々な事がおきすぎた。

 中でも、「ラスト・オーダー」の存在は大きものだ。


 魔法


 この世界で使えたらとんでもないのだろう。

 空想上のものにすぎなかったものが、存在すると言われてしまったら使ってみたいなんて気になる。

 移動する時は空を飛び、自分は動かずものを持ってくる。

 魔法というか、自分が動きたくないだけなんだよな。

 そんな願望を持ちながらも、WiX社の話を両親にするため部屋を出た。


 両親は机についてコーヒーを飲んでいた。


 「おはよう」


 そう言いながら机についた。

 そして、相談を持ちかけた。


 あっさり承諾。


 父の意向で、「好きにやってみなさい」と。

 父も母も5日から仕事になるとの事で、WiXには、3日に来てもらうよう返事を打った。


 部屋を見ると、いつもと変わらない風景が広がっていた。床には部品や、作りかけのパソコン。机の上には、終わってまとめてある冬休みの宿題。


 「片付けますか」


 自分から進んで掃除するなんて、いつぶりというか初めてかな。

 床に散らばった部品を手に取り仕分けし始めた。


 掃除は意外と早く終わった。

 見違えるように綺麗になったこの部屋は、またいつ散らかってもおかしくないのだろう。

 それでも、今綺麗なことに満足感を得た。

 12時前に終わったらしく、Ⅹpを見ると燈八からのTML。


 1日の朝に神社行こうぜ


 返信はOKの二文字


 充実した冬休みだ。

 Ⅹpに映る自分の顔を見て、そう思った。

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