扉を開いた第5話
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落ち着け俺、俺はクールな男のはずだ。ああ、クールじゃなくてドライだったっけ? てへぺろ
と馬鹿なことを考えつつ
状況を確認してみる。
二度寝する。
↓
ノックの音や声が聞こえる。
↓
無視する。
↓
戦友を失いイケメンが部屋の中に...
どうしてこうなった...。
目の前にはどことなく嬉しそうなイケメン。俺の戦友を倒したことがそんなにうれしいか?
だがしかし、そいつは四天王の中でも最弱!そのうちに第二第三のドアたちがお前を必ずや打ち滅ぼすだろう...。と呪いをかけているとイケメンが俺に、
「君がなかなか部屋から出てこなかったから心配になって...。」
とすまなそうな表情を浮かべながら話しかけてきた。何このイケメン!?危ねぇ、惚れかけた。
そんな風に新しい扉を開きかけたことに少しドキドキしながら
「いや、すまない。心配かけたな。」
と少しスカシながら返事をする。ってか壊されたドアって、これ俺が誤らないといけないのかなぁ...。
やだなぁ...。俺なんもしてないのに...。もしかしたらお城の人に素行に問題アリって思われて、要注意人物として扱われるかもしれない。
そんな風なことを考えていた俺に対して、目の前の聖人君子はぼろぼろのドアを見ながら
「ドアは...ごめん。壊したのは僕だからお城の人には僕が謝っておくよ。本当にごめん。」
といった。
好き、抱いて。
新しい扉の開く音がした...
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部屋に入ってみれば何もおかしなところはなく、こんなに慌てていた自分の行動を振り返ると恥ずかしく思えてきてしまう。けれど、それ以上に彼が無事でよかった。元の世界で読んでいたラノベだと初日かそれに近い日に仲間がいなくなることが多かったような気がするからな。少し様子をうかがっていると彼の顔が初めは困惑、次に諦観、最後に憤怒に染まる。
憤怒!?なんで!?って当たり前か。昨日あんなことがあって、夜にあまり寝られなかったのかもしれない。それでやっと寝付いた時にドアをぶち破ってよく知らないやつが自分の部屋に入ってくる。
そんなの誰だって怒る。だけど、どうしてこんなことをしたのかだけでもわかってもらいたい。そんな風に思った僕は、
「君がなかなか部屋から出てこなかったから心配になって...。」
と言い訳めいた言い方をしてしまった。そしたら、彼の顔が少し赤くなったように見えた。
まずい。確かに、どんな理由があってもこんな非常識な行いをされて、なおかつ言い訳をしてきたらより気分を害すだろう。しまった。そう考えていると彼は、
「いや、すまない。心配かけたな。」
とこちらを気遣ってくれたのか一言つぶやいた。 よかった。悪意があって壊したわけではないとわかってもらえた。 その時、一瞬彼の顔に影が差し、廃材同然になってしまったドアのほうへ視線を送っていたのが目に入った。
「ドアは...ごめん。壊したのは僕だからお城の人には僕が謝っておくよ。」
彼は、ハッとしたようにこちらを見てきた。
なぜか背中に寒気を感じた。
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