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だ、騙された

タータラー、タララッタタララー!!


うぇ⁉︎


あ、そうかレベルアップか。


『リュウはレベルが上がった。

体力が3上がった、素早さが2上がった、魔力が1上がった、HPが8上がった、MPが2上がった』


ふーむ、ステータスは体力と素早さと魔力しかないようだな。シーラーの奴め、細かく設定するのが面倒だったんだな。

「ん?魔力?俺…………魔力上がってるんだな。MPってマジックパワーの事だよな?魔法が使えるようになるのかな?」

だとすればかなり楽しみだ。流れからすると戦士系なのは間違いないが、魔法も使えるタイプだったのか。

今3レベルだからもう少し頑張れば覚えるかもしれないな。もしかしたら、どこかに覚える場所があるのかも。


「……そうだ、それよりも」

俺は身体が動くのか試してみた。少しずつ上体を起こしてみる。

「くっ!」

腕、腰、背中に痛みが走る。しかし昨日ほどではない。やはり鍛えられてきたのだ。しかもレベルアップも影響しているのだろう。いくら実戦で鍛えられているとはいえ、この順応速度は只事ではない。

俺の身体が100%「俺自身」ではないのかもしれない。多少は「この世界の住人」の部分があるのだろう。

まあ細かい事はこの際どうでもいいか。シーラーを見る限り元々いい加減な世界なのだ。とにかく鍛えれば楽になる。しかも現実世界よりも遥かに早く。これならば一年である程度の事が出来るかもしれないな。


「よし、行くか」

まだ身体は重いがジルバ達が気になる。彼らはどこにいるだろうか?宿屋の店主にでも聞いてみるか。


「あの家だな」

やはり小さな村である。店主に聞いたらすぐに彼らの家は判明した。

トントン。

扉を叩くとすぐに誰かが応対にきた。扉の向こうで足音が聞こえてくる。

「どなたですか?」

この声はエリザだ。

「俺だ、リュウだよ」

間に合わず親父さんが死んでいる可能性もあったが、今更気にしても仕方がない。

「あ、リュウなの?今開けるわ」

よし、この反応はいい感じだ。

ガチャーーーー

扉の向こうのエリザは満面の笑みを浮かべていた。

「その様子じゃ間に合ったようだな」

エリザは力強く頷いて、俺を抱きしめてきた。

「ありがとう、リュウ。ジルバもお父さんもあなたのおかげで助かったわ」

「そうか、それは良かった。じゃあ俺はもう行くよ」

まだ冒険は始まったばかりだ。この村の住人の話を聞いて回り、次にすべき事を探さなければならない。

「あら、もう?それは残念ね。でもあなたにはするべき事があるんでしょうから、止める事は出来ないでしょうね。なら、約束した良い事を教えるわ」

そうだ、なんかそんな事言ってたな。

「この村の南の端にある路地の一番奥を調べてみて、きっとあなたの役に立つものが見つかるはずよ」

おお!なんかRPGっぽい展開だな。何があるんだ?まあ初期イベントの成功報酬だから、そんなに期待しない方がいいだろうがな。

「分かった、調べてみるよ。ジルバと親父さんによろしくな」


エリザと別れた俺は早速村の南側の路地に向かった。突き当たりは壁になっていて何もない。

「下にも何も落ちてないな。どうすればいいんだ?」

俺は何か隠されているのかと、地面の砂を上っ面だけだが払ってみた。


ティルーーーン


『リュウは階段を見つけた』


どわぁ!

急に足元に階段が現れ、俺は二段ほど滑り落ちてしまった。

「あ、あぶね。急に出てきたな。ま、まあ仕方ないよな、この場合は……」

俺は慎重に歩を進め、階段を降りてみた。一番下まで降りると、そこには広間があり奥に何か店のようなものが構えていた。

なんだここは?

こんなところに店が?

俺は扉を開け中に入ってみることにした。


そこにいたのはこの村の住人とはどこか違う、一人の女性だった。

「いらっしゃいませ!C.v.nストアへようこそ!ここではあなたが獲得したルピーやアイテムを、現実世界のお金に換算できます」

……⁉︎……

何だって?

「換算したお金はこちらでお預かりし、あなたがシーラー様からGOODの判定を受け、現世にお帰りになる際まとめてお渡しいたします」

な、なるほど。自分が今どの位稼げたのか、把握できるわけだ。たしかにそれは便利だな。しかも最初のイベント報酬っぽい感じがしないでもない。

この女性はシステムを操る側、つまり天界の住人というわけだ。

「何か換算いたしますか?」

「あ、ああ。そうだな」

俺は腰袋から最初に獲得した棍棒と皮のくつや、昨日見つけたものを全てカウンターに並べた。しかし、ルピーは今後の事を考え、全て取っておく事にする。

「これで幾らになる?」

「あ、換算する場合はこちらの壺に入れて頂きます。ちなみに一度入れてしまうと二度元には戻りませんので、選択は慎重にお願いいたします」

「分かった」

まあ、初期フィールドで獲得したものだし、マストアイテムはないはずだ。俺は構わず壺に放り投げた。

すると壺の中が虹色に輝き始めた。

「さあ、まもなく今あなたが投入したアイテムが、現世のお金に換算され出てきますよ」


…………ゴクリ…………


パアアアアァァァーーーー


一層激しく壺が輝きを放つ。


ボワッ!


煙が立ち上り、一瞬視界が奪われる。

「出ました!」

徐々に煙が薄くなり、天界の女性の姿が見えてきた。

「ど、どうなった?」

「はい!今回の換算額はこちらになります」

チャリ〜ン

女性はカウンターの上に換算された現金を差し出した。

「………………」

「どうしました?」

「………………これ?マジか?」

「マジか……とはどういう意味でしょうか?」

「いや、だからマジで今俺が入れたアイテムの換算されたものなのかって意味だが」

「もちろんです。この壺が間違える事はあり得ません」

う、嘘だろ?

だってーー

だって、出てきたのーーーー


「一ーーたったの一円だぜ⁉︎」


俺ーーーー騙された?


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