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今に生きる
夜の匂いをかぐ。
光る電灯。道路を照らす電灯。
バイクのライト。
あたしは彼のバイクの後ろにまたがった。
すずしい風。
あたし達だけの世界
いつもの日常とかけはなれた、ロマンティックな世界
出来ることなら1970、80年代の頃に生まれたかった。
あたしはその頃の事を知らないけれど今よりもたくさん子供がいて、あたし達みたいなのもいて、きっと“ホットロード”みたいな事もあったかもしれない。
今は平和。だけど、あたし達にはもの足りないの。
「修司!」
バイクにまたがったまま、ぼーっとしていた修司はこちらをみる。
「ねえ、あたし達って時代遅れなのかな?」
修司は眉をひそめた。
「どうしてそんなこと言うんだよ」
「だってね、あたしと同じ学校の子でこんな事してる子がいないんだもん。」
と咳をきった。何も言わない修司に居心地が悪くなって
「不安になっちゃうよ」
とぽつりとこぼした。
修司はそっぽを向いて
「そうかもな。俺ら生まれる時代間違ったのかもな」
と言った。その横顔は寂しげだった。