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『魔界へ行ってもダイエットは終わらない!』




天使に捕まってしまったら幽閉されて二度と人間界へは戻れないと知った私は魔王と魔界へ逃げる決心をしていた。

そもそも楽をして痩せようなんて考えで魔王を召喚してしまった私の自業自得ってやつなので潔く魔王の花嫁になる覚悟もついていた。


「オイ!!本当に良いのか?別に両親を一緒に連れて行っても良いんだぜ!!」

「大丈夫・・・さすがに家族まで巻き込むわけにはいかないでしょ?」


時間は深夜の二時になろうとしていた。最後の最後まで魔王は両親も一緒に連れて行けと言っていたが私はそれを拒否して一人で魔界へ行くことを決心していた。


「ま!!落ち着いたらまた人間界に里帰りさせてやるからな!!心配すんなって!!」

「え?!・・・本当に?!じゃぁ私も暫くは魔界で頑張るよ!」


不安を隠せないで少し足の震えている私を少し気遣ってか魔王はすごく優しかった。


「大丈夫だ!!お前は大富豪のオレ様の花嫁になって海外で暮らしているって記憶をお前の両親の記憶に書き込んでやったからお前が居なくなっても心配しない」

「わかってる・・・そこんとこ抜かり無いもんね!!ありがとう・・・」


魔王は私の頭を優しく撫でて私を抱き寄せて帰りのゲートが開くのを待っていた。


「魔王さま!!ゲートが開きます!!お気をつけ下さい!!」


魔猫の叫び声と同時に黒い渦が巻き上がりその中に大きな扉が現れて開いた。


魔王は魔猫に目で合図をしてから私を抱え上げて扉の向こう側へ黒い大きな羽を広げて飛び込んだ。魔猫の事が気になって私が魔王の首に抱きついたまま後ろを振り返ると魔猫も後を追って小さな羽を広げて飛び込んでいた。


「オイ!!目を閉じてろよ!!気持ち悪くなるからな!!しっかり捕まってろよ!!」


魔王に言われてすぐに固く目を閉じると凄い速さで魔王は急降下しているようだった。


「あううううううう~!怖い・・・あううううううう~うえええええええ~~!!」


絶叫マシンが大の苦手な私は凄い早さで急降下している魔王に力一杯しがみついて終始分けの分からない叫び声を上げていた。


どの位急降下していたんだろう?あまりにも怖くて魔王にしがみついたままいつの間にか気を失ってしまっていた私は目を開けた時には魔界の魔王の寝室の大きなフカフカのベットの上に寝かされていた。


寝室と言っても人間界の私の寝室とは比べ物にならない広さの豪華な寝室でベットもキングサイズよりも遥かに大きいベットだった。(何人女を侍らせて眠るつもりなんだろう?)


ゆっくりと起き上がると魔王の姿はなく魔猫が窓の側の長椅子で外を眺めて溜め息を吐いていた。


「やっとお目覚めになられたようね~(苦笑)魔王さまはベルゼブブ様と今は公務中だからしばらく帰ってこないわよ!だから魔王さまが戻るまでエステとバストアップとストレッチを忘れるなってアンタに伝えろって言われたわ!!頑張ってね~~♪フフフ~」

「嘘・・・マジで?やっぱまだやるの?ここまで来ても?やだ~~!」


私には拒否権は無いらしく小間使いの様な小さな魔物達が複数で私を引っ張って浴場まで案内していた。


「え?!お風呂?先にお風呂に入るの?あっと・・・ちょっと!!」


抵抗する間も無く私は着ているものを全て脱がされて真っ裸で大きな湯船に放り込まれていた。


しばらくするとお湯の中から引っ張りあげられて全身を隅から隅までゴシゴシ洗われて岩盤の上に寝かされてボディオイルのような物を全身に塗りたくられてマッサージされていた。


それが済んだらタオルを身体に巻かれてサウナのような場所に放り込まれていた。


「あっつい~!!勘弁して~~~!着いて早々からダイエットの続きをやらせなくっても普通は何かご馳走とか出て来て賑やかに歓迎会とかやるもんでしょ?信じらんない!」


私がサウナの中でブツブツと文句を並べているとドアがやっと開いて入って来たのは目を釣り上げた魔王だった。


「オイ!!文句ばっか並べてないで真面目にやれよな!!クソガキ!!」

「いひゃい!!もう~~~!!いひゃい!!やめひぇ~~~~~!!」


魔王に両頬を掴まれてギュウギュウ引っ張られて私は悲鳴を上げていた。


「目標体重にならねえと結婚の儀式が出来ねえんだよ!バカ!!」

「え?!そうなの?マジで?どうして?・・・・」


私が目をパチクリさせていると魔王はすぐに片方の頬を引っ張りながら


「契約はまだ有効だからお前が目標体重になるまでお前はオレ様のものって確定していないそうだ。印は間違いなく付いてんだけどな!ほんと面倒くせえよな!!」

「あうううううう!!痛いってもう~~~~!!ヤメてよね!!」


私が魔王の手を振り払って怒って勢い良く立ち上がった瞬間だった・・・はらりとタオルがずり落ちて生乳が座っている魔王の目の前にどど~んと露わになっていた・・・・。


「おおおお!!すげ~ぞ!!マジでオレ様好みの大きさに育ってるぜ!!頑張ったな!美乃里~~♪クククク♪」

「ううう・・・・・ウキャァァーーーーーーーーーーーーー!!」


一瞬何が起こったかを自覚する前に魔王の言葉でハッとして私は叫び声を上げて慌てて落ちたタオルを床から拾って身体に巻いてしゃがみ込んでいた。


悲鳴を聞きつけて魔猫が飛んで来て私をサウナから連れ出してくれたのかと思っていたらすぐ側にあった冷たい水風呂へ私を放り込んだ。


「やだ~!冷た~~い!!魔猫のバカ~~~!!」

「うるさい!!うるさい!!アンタは魔王さまと結婚するんだからね!それなのになんなの?裸を見られたくらいでなんで悲鳴なんてあげてんのよ!いい加減に腹くくりなさい!暫くそこで頭冷やしな!お嬢ちゃん!!」


魔猫に言われてドキッとしていた。確かに私は魔王と結婚するんだ・・・そうだった。


結婚すると言う事は・・・あんな事やそんな事や・・・こんな事までするってことで(汗)

裸を見られたくらいで悲鳴を上げていたら結婚なんて出来やしないわ・・・確かに(絶句)


ファーストキスだって済ませていない私にいきなりこんな事が出来るはず無かった。

やっぱ結婚なんて無理じゃね?私ってまだ17歳にもなっていないのに・・・


色々考えて涙を目に浮かべて水風呂に入って項垂れていると魔王がサウナから出て来て私の頭をポンっと叩いてまた片方の頬をギュウギュウと引っ張って笑っていた。


「そんな顔しねえの!!別にすぐに喰わねえって言っただろ?心配すんなって!!」

「あうううううう!!いひゃい!!いひゃい!!」


引っ張られた頬は痛かったけど少し魔王にそう言われてざわざわしていた不安が和らいでいた。



そしてその日人間界から持って来た体重計に乗ると私の体重は48キロまで減っていた。


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