序章
フィクションなので、もし似た名前のひとが近くにいたとしても、責任をおいかねます。注意してお読み下さい。
この国には友情的慈悲のような制度がある。
連帯保証人制度
おれにはこの名前に違和感をもつ。
連帯といっても債務者、つまり金を借りた人が夜逃げするか死ぬの二択しかない時に、
自分の家族に迷惑かけたくないからといって友人を囮にして逃げてく。
そして、債務者は保証人に状況を知らせる義務があるのに、そのことを知らず保証人を探したりなったりする事例は後を絶たないだろう。
もし、俺が名前をつけるとしたらこうだ。
「友情を金に変える制度」
光田阪俊は、朝のニュースを早起きし過ぎた暇つぶしに見ていた。
《それでは次のニュースです。
昨日東京都大田区の某所で男性の死体が発見されました。
死亡したのは羽山透、34歳と見られ、遺族に確認を取っています。
原因は今だ分かっておらず争った形跡がないことから警察は自殺と見ております。》
「またか。」
阪俊には自殺事件が他人事のように思えなくなっていた。
次のニュースを見るともなしにみていると母親が起きてきた。
「おはよう。あんた、早いじゃない。どうしたの悪夢でも見た?」
「ただ単に目覚めが早かっただけだよ。」
「あら、そう。朝の準備するからたまには手伝いなさい。」
「ああ、分かったよ。但し面倒ごとを押し付けるなよ。」
「そんなに野暮じゃないはよ。さ、エプロンのつけてきな。」
「わかった。」
阪俊はリビングにかかっているエプロンを着けている時、ふとこう思った。
(これが悪夢だったら、誰かに起こしてほしいものだ)と