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天使憑き  作者: 夢籐真琴
90/104

限りある世界の一端で

すみません、投稿遅れました

私用で遅れたんですが毎日コツコツためて投稿します

今までより投稿ペースが遥かに遅れると思いますがどうぞよろしくお願いします

(−_−;)






(!?)









血が顔に飛び散るーー

目の中にも飛び込んできて前が見えない

目の前が真っ赤になった










しかしそんな時間も長くは続かなかった

伊奈が状況を把握するのには短すぎる時間だったが、反射的に身体が動いていた

素早く片手で眼をこすり自分の記憶を頼りに銃を片手でぶっ放す

それも目を閉じてだーー

自分の記憶と方向感覚だけを信じての銃撃だったが幸いにも零の方向には飛ばなかったようだ

何人かが悲鳴を上げる隙に初めて状況を把握した

(!?)

撃たれた瞬間の一瞬の風景は幻覚ではなく事実だったーー









「猪野さん?」

伊奈が倒れているうちにも射撃で援護していた零が初めて倒れている猪野に声をかける

片手で脇腹を抑えながら倒れている猪野に初めて気付いたようだ

それまでは伊奈が銃弾をかわしたのだろうと思っていたらしく状況が上手く頭に入ってこないらしい

無理もないーー

戦場に馴れていても戦場(ここ)は不規則に変化する場所だ

今のように伊奈が銃撃に参加して猪野が倒れているという現場に上手く着いてこれていないのだろう

そのせいか一瞬射撃が止まった

「零!手を!」

これだけで我に返った零はすぐそばの物陰に隠れて銃撃をやり過ごす

伊奈も転がっている猪野を引きずろうとするとーーー

「大丈夫、歩けーー」

そう言った瞬間猪野に物陰に押される

(!?)

油断しきっていた身体はあっさりと押されて尻餅を突いてしまう

(何故?)

そう思い聞こうとした瞬間ーーー

猪野の身体から血が再び噴き出す

眼の鋭い伊奈にはその瞬間がしっかりと捉えられていた

身体に銃弾が貫通してその跡から血が噴き出してくるのをーーー

「猪野さん!」

なんとか伊奈を突き飛ばし銃弾をかわし、その後自分も逃げようとした瞬間に撃たれたらしい

(何故?)

前とは意味が180度違う言葉が胸に渦巻く

何とか物陰に潜り込めた猪野の傷跡を見る

腹に2発、足に2発ずつ食らっている

(くそっ!)

幸いとも言えるのか致命傷になるよな傷は見当たらない

奈美と違ってその場での応急処置で助かる可能性が高い

「零!」

途切れずに鳴り響く銃声に負けないような大声をマイクに叫ぶ

「わーてるよ」

こちらも叫び返してきて撤退の構えを取る

上手に物陰を使って逃げる筋道を指示してくる

相変わらず的確な指示で冷静な判断をしていた

(さすが)

短い称賛を心の中で呟き猪野に問う

「歩けますか?」

猪野はちょっと首を上げてこう言った

「置いて行け、お前達だけなら逃げ切れる」

苦しそうな喋り方だが意識ははっきりしている

(これなら助かるーー)

そう確信を強めて言葉を継ぎ足す

「私を助けてくれた、その理由を知るまではあなたを逃がしません」

「どこにも逃げやしないよ」

飄々と言葉を返してくる

表情が少し強張っているが致命傷には至っていないのだろう

いつも通りの喋り方だった

「あなたが逃げないと私達は逃げられません」

そう言いながらも適度に射撃を続ける

あまりここに長居は出来ない

それにーーー

猪野の体調も心配だ

いくら致命傷に至っていないからと言ってもここで何もせずに居たら確実に死ぬ

それは絶対に駄目だ

(逃がさないーー)

さっきも言ったがその感情が強かった

理由が知りたいーー

それだけの為に自分は危険を冒しているのもわかっている

仲間のーー零の命さえも危険に晒しているーーそれもわかっている

自分が馬鹿な事をしているのもわかっているーーだが猪野(こいつ)の本当の狙いが知りたい

自分の恩義だけで自分達の命を危険に晒した意思を持っていたはずの猪野が何故自分を救ったのかーー

ずっと別れて行動してからも引っ掛っていた所だった

おそらく零もそうなのだろう

何も言わずに援護をしてくれている

自らの命が危険になろうともーー

(私達はこれを知らないと前へは進めないーーー)

陳腐な言い回しかもしれないが紛れもない事実だった

「隊長ーーー!」

悲痛な叫びが聞こえたのかどうかわからないが猪野がこんな事を聞いてきた

「肩あいてるか?」

「は?」

思わず聞き返してしまった伊奈に猪野がゆっくり言う

「肩だよ、()、悪いけど自力は無理っぽいのでね」

足を撃たれたのがきているらしい

「わかりましたーー」

左肩を貸し右手で銃を構える

「盾にしてもいいよ」

「お断りです」

相変わらずの軽口を潰して零に合図をする

まずは安全な所に避難する事ーーこれを第一に考え行動しなくてはならない

身体を低く構えてーー猪野を介抱しているこの状態でのこの態勢は非常にきついが少しずつ進む

「とりあえず、ビルに入ろう」

零の指示を聞き、妥当なビルを探す

眼に止まった一つのビルがあった

距離が近く中も入り組んでいるらしい

(丁度いい)

できる限りの全力で進み、零に告げる

「援護頼むよ」

「今やってる」

冗談のつもりだったが、即答で言い返され何も言えなくなった









ビルの入り口にたどり着く

すると零が走ってきて合流した

「俺の方が速い」

それだけ口にして猪野を抱える

立場が逆転して伊奈が反撃に向かった


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