操作マニュアル
全員が眠りについた頃ーーー
零、伊奈、奈美の身体は光に囲まれてホテルから消えた
零は眠りながらも、ドロシーの魔法によって身体が転送されれいくのを薄々感じていた
ただーーー眼を覚ますのがもったいないくらいの気持ちよさで眼を開ける事が出来なかった
そこで珍しい物を見た
ここ最近夢など見なかったが、久しぶりに夢を見たーーー
「よう」
いつも通りのあいさつをする
「何してるんだ?」
自分の夢の中の相手に何をしているのを尋ねるのは結構失礼だとは思うが相手は笑って受け流した
「武器の説明にね」
「?、伊奈達の夢にも入ったのか?」
「そうね、同時進行よ」
「一度によくそんな事が出来るな」
呆れながら言ったが
「人間と一緒にしないでよ、天使たる者これくらい出来ないと話にならないわ」
胸を張って言う事ではないし、元々天使と人間という差があるのだから、それ程ありがたくない
そしてゆったりとした服の中からいろいろ手品のように出して行く
「ハンドガンね、あなたが持っていた拳銃より精度が上がっているわ、反動も小さくなるようにしたわ」
渡されるので受け取る
確かに前より軽くなっている
持ち運びやすい
「でもね~ハンドガンはあまり使う機会は無いかもね、連射できないと生き残るのは厳しいわね。それで・・・」
今度は両手を使って使用する割りと大きな銃器を取り出す
「アサルトライフル、機関銃の最優良に私が改造したわ」
「・・・」
さすがにずっしりと重みがある
しかし、手に持った時の安定感や程よい重量感、これが戦争での主となる武器になるだろう
「周りの一掃に使って、あんまり狭いところで使うと被害が甚大になるから・・・悪いけど室内ではハンドガンを主に使ってーー相手もそうなると思うから」
「了解・・・」
「後は狙撃用のスナイパーライフル、スコープの若干改造加えたから確認しといて」
覗いてみるとかなり遠くまで見通す事が出来る
簡易の赤外線機能もついている
(これは凄い・・・)
かなりの戦闘が出来る武器達である
「最後に手榴弾、室内で使わないでよ、あなたまで吹っ飛ぶわ、あとは閃光手榴弾ね、結構な光の量になるからあまり使って欲しくないけど・・・一応通信も兼ねたサングラスがあるから、これを付けている時に使って。間違っても裸眼で使わないでよ」
「ほいよ」
結構な重量感がある
そんなに持ち運びが出来ないが、便利な武器には変わりないので取り敢えずもらっておく
「朝起きたらあっちで着替えが貰えると思うから、それに装備して」
「ああ」
「ああ、それといくら改造を加えても装弾数ばかりはどうしようもないから、ハンドガンは20発、アサルトライフルは400発これ結構頑張ったのよ、ライフルは10発だけだからね。基本相手も同じような装備だから、最悪相手から弾を奪って使用してね」
「天使」
「ん?」
「接近戦なら刃物の方が速い、あれをくれ」
「はいはい、ちゃんと名前あるんだけど」
ぼやきながらもボールペンほどの長さの武器を出す
「名前なんて教えてもらったか?」
「忘れた」
「おい・・・」
「ドロシーお手製自由に伸びる棒よ」
「ふざけてるのか・・・」
かなり脱力した
夢の中であるのにも関わらず力が抜け、体力をかなり消費した
「ネーミングセンスねえのか!」
「そこ?」
自分で言ったのにも関わらず突っ込んでくる
「まぁ、確かに正式名称はあるけど・・・」
「一応覚えておいてやるから言えよ」
指を動かして聞いてやるから言えという動作をする
少々憤慨しながらも
「共鳴剣」
(共鳴ーー?)
「それってもしかして・・・同調と関係してるか?」
「正確には関係していない、でもあなたの心で思った通りに動くはずよ、だから共鳴」
「・・・」
共鳴剣を受け取って手の平で握る
(よろしく)
一言あいさつをしてポケットにしまった
ふと前を向く
誰もいない漆黒の闇が広がっていた
「ーーー?」
自分の相棒の名前を呼ぶ
耳が機能してない
それどころか口が動いていない?
感覚がない
普通に考えれば夢なので当たり前ではあるが、今までのやり取りを考えると異常な事だった
そして零は気付いてしまった
もう自分と彼女は会えなくなるかもしれないと
そして・・・今のがお別れだったのだとーー
起きたら戦場の前線で眼が覚める事になることも・・・
そしてゆっくり眼を閉じた
今から行く場所では眠る事は出来ないかもしれないーーーだったら寝ておこうと
気持ちのよい闇が再び訪れた・・・