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天使憑き  作者: 夢籐真琴
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暗闇での再会

結局そのまま埒があかないのでジャンケンで説明するほうを決めるという、ふざけた結論が出たが、2人ともーー零とドロシーだが、ふざけているつもりは全くなく負けてやるつもりもさらさらなかった。そんな貧乏くじを引くわけにはいかないからだ

結果零がドロシーに勝ったがその真剣勝負をはたで見ていた部外者(招かざるお客様)の顔は見ものだった

伊奈は面白がって見ており菖蒲は零と何も喋らなかったのにいきなりジャンケンを始めた女性に興味津々で奈美は過去にドロシーを見た事が会ったので(しかもかなり衝撃的なシーンを)警戒しており、零家族は(大和は)渚と珠が参戦していた事に驚き何故そのようになったのかを聞いて頭を抱え気絶しそうになり、珠と渚は零と婚約が決まっている(真っ赤な嘘だが、伊奈が調子に乗って嘘を教えたらしい)菖蒲のもとに将来家族になるものとして挨拶に行くという、ドロシーでなくても放り出したくなるような収拾のつかない状況になっていた









その場は何とか収まって夜になった

結局その場所から一歩も動かなかったので夜営をする事になった

こんな時にドロシーの魔法は非常に便利で夜営セット一式ーーーテントなどをどばどばっと空から落とした

とりあえずドロシーが天使という事はこれで証明が出来てこのあとの戦争についてはドロシーが夜中ぶっ通しで説明する予定になっていた

実際今説明会が始まって説明をしている最中だが零は抜け出していた

さすがに平地のど真ん中で夜営するのは危険と判断して魔法で平野が見渡せるような崖の上に飛ばされた

それなら目的地まで飛ばせという零の意見は

「遠いし多いし無理」

という非情な声に押しつぶされ(それはまたこれまでかというぐらい完膚なきまで押しつぶされ)崖の上で寝る事が決定した

大型のテントを抜け出してきた零が眼にした物は満月だった

昼間は雲が多少合ったが今は綺麗に晴れ渡っている

おかげで荒野が見渡せるほどの明るさを放っていた

何をするでもなくただじっと地平線を見つめていた

何も考えずにずっとーーー

こうしているとかなり神経が敏感になり、動植物の気配を感じ取る事が出来るはずだがーーーそれが出来なかった

人間はおろか虫や植物の気配を感じられない

(偽物か?)

そばに咲いていた花に少し触れるとーーー本物のような手触り、造花とは違う(実際今の造花がどれほどの感触でどれほどの技術があるのか零は知らなかったが)と直感でわかった

しかし花ではないーーー

そんな特殊な生物をしゃがんで観察していた












後ろに気配を感じて腰にさしていた拳銃を抜き取り構える

後ろには森がありまったくの生物の気配は感じられない

しかしーーーさっきの一瞬自分が知っている気配を感じた

嫌というほど、知っていた気配をーーー

白銀の眼が使えればこのような暗闇でも平常どおり見ることが出来るが今は作動しない

ただ自分の全神経を尖らせて周りを探る

()がいるのはわかっている

ただ何処にいるのかがわからない

そうして5分程時間が経過した

零の緊張感はまだ途切れていない

油断無く気配を探っている

今、()がいるのは間違いない

しかし見つからないーーーこの状況は精神にも負担をかける、さらに彼の居場所を探ろうと神経を機敏にしている分精神的疲労は計り知れない

無表情で銃を構えていたがーーー

無言で歩いてくる姿が確認される

銃を構え続ける

「さっさと出て来いよ」

「ここで会うとはな・・・」

紅い外套をまとった彼がいた











「聞いてもいいか?」

「?」

無言で肯定される

「何故美奈を殺した?」

そう、零が校舎中を追いかけ回った理由はそれだった

屋上での戦いでその事を聞く暇がなかった

「?」

彼が首を傾げて意味が通じてないことを示す

「保健室でお前が殺した人間だ」

するとみなまで聞かず

「奴は人間ではない」

「は?」

突然言われたので反応が遅れた

奴は人間ではない

奴は美奈の事だろうーーー人間ではない・・・じゃあ何か?天使?堕天使?・・・

(はぁ!?)

ようやく自分が考えていたことの恐ろしさがわかる

「どういう事だ?」

「お前の・・・監視・・・」

暗い低い声でボソボソと呟くように喋る

(俺の監視だと・・・)

「ま、待て!」

考えた一瞬の隙に彼の姿はなかった

紙切れがひらひらと舞っていた

片手で掴み取る

読み取る



『same mistake』



(何故英語?)

零の感じた疑問は相変わらず的を逸れていた

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