家族ぐるみのお付き合い!?
ピーンポーン
呼び鈴の気の抜けるような音が聞こえる
ソファーで寝そべっていた零は動くのが面倒くさいので妹の渚を呼ぶ
「渚、行って」
ドロシーと対戦ゲーム中だった渚は嬉々として玄関に飛んで行った
ちなみに零は観戦中だった
戦争が始まると聞かされてもここ数日はのんびりとした平和な世界だったのでゴロゴロとしてのんびり身体を休ませていたのだが・・・
玄関で渚の驚いたような声が聞こえたので身体を起こしてみるとーーー
「大和さん?」
海外を自由に飛び回っているはずの自分の父と、その後ろで渚と話している同じく世界を旅行中だった母の姿があった
「零久しぶりだな」
3年振りだろうか?まったく会わなかったから
「そんな事よりもーーーだ」
「こちらのお嬢様は誰かな?」
ゲーム機を手で弄んでいるドロシーを見て言った
「・・・」
どう返していいのかわからない
(何て説明しよう?)
説明する方法が無く渚を見ると肩をすくめて自分には関係ないと暗に主張してくる
こんな夜中に女が人の家に入ってゲームをしている上手い言い訳が思いつかない
せめて帰る時ぐらい教えておけばいいものを
(どうしたものか?)
そこに騒ぎの張本人が口を挟む
「大和も零も本当に気づかないの?」
君の様な若造に呼び捨てされたくないと大和の表情が語っていたが彼は考える素振りを見せた
「そういや大和さん、何で帰って来たの?」
「ん?いやこっちに野暮用があってな」
少し焦っているように聞こえる
その疑問を表情に表すとドロシーが
「零、あなたと同じ理由よ」
「!?」
父息子が驚愕の表情を浮かべているのに関わらず、母娘は2人仲良く料理を作っている
まだ空港から直行したみたいで何も食べていないそうだ
(そんな事はどうでもいい)
さりげなく現実逃避しかけていた脳味噌に叱咤する
「天使、どういう事だ?」
「天使だと、まさかお前も・・・」
その反応に嫌になる程心当たりがあったので苦々しい口調でこう言った
「ああ、おそらく大和さんと同じーーー戦争に行くんだよ」
それこそ完全に表情が固まってしまった大和をおいておきドロシーに尋ねる
「どういうことだ?」
見合いの席よろしく机越しに正座をして座る
零の隣にはドロシー、机越しに我が父と母
その机の横の部分に渚が座る
「紹介遅れましたが零の父の大和といいます」
「同じく母の珠です」
ちなみによく母の名前はネコだと言われる
自分でも気に入っているようでネコが前世と豪語している
「零の相棒のドロシアです、ドロシーと呼んでください」
(完璧見合いの席だな・・・)
零のぼやきは誰にも届かず・・・
「では確認したいのだが、零は戦争に参加すると?」
「結果的にそうなります」
「渚は?」
「この子しだいです」
尋ねる父に答えるドロシー
見ているだけで面白いコンビだがーーー
「何故あなたは我が家にいらっしゃる?」
「同居の許可をもらいましたので」
大和が睨みつけてくるので弁明しておく
「よく言うよ、大和さんが自分がいない間はお前達にこの家を任せるって言ったじゃないか」
「だいたい嫌なの?天使さんと同居は」
一番ドロシーとの同居を押していた渚が援護をする
「別に嫌ではないが、天使さんに迷惑をかけているのではないかと心配していたんだ」
(そっちかよ)
逆なら心当たりが山ほどあるが・・・
事情を知っている渚と眼を合わせ苦笑いする
「そういや大和さんも相棒いないの?」
白銀や今回の戦争の事情を知っているのでそういった事も聞きたくなった
「私の相棒である天使は死んだ・・・」
これ以上聞いてくれるなとの暗い声だったのでそれ以上深追いしない
「とりあえず寝ましょう」
珠の天の声で話は中断となった