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天使憑き  作者: 夢籐真琴
62/104

底なし沼から出てきた物は?⑹

屋上のドアの前に立つ

特に白銀の眼からは反応がないが、自分の直感が危険だと告げている

しかし、白銀の眼に写らない以上特に問題がないとは言えない

拳銃を制服のズボンのポケットに入れていつでも出せるようにする

右手には短刀、左手はドアノブーーー

(1,2,3)

ドアノブを回しドアを開けた











開けた瞬間にすごい勢いで風が吹いてくる

その勢いで零が通りすぎたすぐ後にドアが勢いよく閉まる

耳をふさぎたくなるような大きな音を立てた

しかしそんな事に構っている暇はない

(!?)

屋上の片隅に紅い服?マントを羽織っている人間がいた

(嘘だろ)

入口では反応が無かった

なのに今は存在している

しかも白銀の眼を起動中の右眼は彼の存在を否定しているのに、左眼はそこに確かに存在している事を表している

右眼と閉じて見ると普通だが、左眼を閉じてみると誰もいない

(洒落にならないぞ)

そう思っていた瞬間、彼がこちらに初めて気付いたように振り返る

そして微笑んだ

敵意など全くない顔だったが不思議と身体にスイッチが入った

柔和な優しい顔立ちだった









2人とも黙って相手を見つめる

何も音が鳴らず、ただ風の音のみが聞こえる

零の右手には短刀

彼は素手

切りつければ一発で勝負がつくはずだが、零にはそれが出来なかった

相手の醸し出す不思議なオーラに圧倒されていた

先に口を開いたのは零だった

「あんた、天使の親戚?」

「残念ながら親戚ではない」

零の不躾で意味のわからないはずの質問に彼は真面目に答えた

「君がドロシアと組んだ人間か。面白い眼をしている」

「眼?基本同じだろ、他にも眼を選択した奴はいるだろうに」

「そういう事ではない。君の左眼でもいい。君の眼は若干色が違うじゃないか」

「・・・」

(わかってるのか?)

「あのドロシアと組む人間かと思うと上出来だな」

「意味のわからない話をするんじゃない」

「やはり野放しにしておくのは危険すぎる。ここで始末しておくか」

物騒な言葉を口に出したので戦闘態勢にはいる

「お前は誰だ?」

「知る必要はない」

「何故?」

「君はここで死ぬからだ」

「面白い事を言うね」

「周りを見ろ」

周りを見渡して見る

(!?)

顔にはかろうじて出さなかったが、いつの間にか屋上だけが宙に浮いているようになっている

もちろんフェンスはあるが、独特の存在感を出している

「お前がやったのか?」

「仕方がない。ドロシアに介入されると厄介だからな」

「これくらいで相棒(あいつ)が介入出来なくなる?あいつがお前ごときに負けるだと、面白い事を言うな」

「お前ごときの人間に何がわかる、魔法の威力も無知で、使えもしないのに」

「わかるんだよ」

はっきり言い返されて彼は押し黙った

零の心の中を探っているようだった

「俺は相棒とお前の魔法の差はわかる、お前のは黒くて相棒のは明るい」

「・・・」

「闇と光ーーー」

「!?」

彼は驚いた表情をした

「知っていたのか?」

「いや、俺の考えるだが・・・外れてるか?」

「なんとしても殺さなくてはいけないな」

彼の気配が変わる

零の言った通り禍々しい闇の気配がする

「覚悟しろ、零!」








黒い気配に気を取られているとそばに彼の姿があった

(くそ!)

とっさに右手に持ってあった短刀で防ごうとするが、彼の手の方が速かった

(ぐ!)

素手ではあるが勢いのついた拳を食らってただではいられない

膝をつきそうになるーーーその瞬間

銃声が響き渡る

とっさに零の左手はポケットから出した拳銃を掴み発砲していた

確かにあの状態のまま跪いていたら短距離で彼の攻撃を食らう羽目になるので危なかっただろうが、かといって零の両手はふさがっている

よって


グキ


と嫌な音を鳴らし膝をアスファルトに勢いよく落とす

(やべぇ)

冗談でもなんでもなく真剣にやばいと思ったが、拳銃を食らった彼は予想通り遠のいている

(今にうちか)

短剣を持ち替えて利き腕である右手に左手を添えーーー

発砲する


バン・バン・バン


3連続で発砲した

全て命中して当たったところから血が引き出している

(殺ったか?)

気を抜かず拳銃を構えたままゆっくりと立ち上がる

とっさにかばえたようで右足は無事、左足はその代償を払ってずきずき痛む

正面を向きながらドアのある方向へ後ろ歩きの要領で歩く

背中に硬い感触があった


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