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天使憑き  作者: 夢籐真琴
61/104

底なし沼から出てきた物は?⑸

零が気絶させた男に手錠をかけていた時ーーー

(!?)

何故か神経が一気に敏感になる

そして何かの匂いがする

自分には慣れたものである匂いーーー

菖蒲も気付いたようだ

顔がいつも以上に厳しくなる

「零・・・まさか」

「どこかわかるか?」

自分が捕まえた男をたまたまあいていた教室のすみに投げる

「こっちの校舎だ」

「行くぞ」

今度は零が菖蒲をおいて行って走る

(こっちの校舎は・・・保健室か!)

人がいる場所を考え自分の知っている顔が脳裏をちらつく

階段を飛び降り、無茶苦茶な事をやる

(頼むぞ)

口の中が乾燥していくのがわかる

とにかく全力で走り抜ける

(美奈姉!ーーー)

自分らしくない事だが相当焦っている

近づくにつれてその匂いが強くなる

間違いないーーー

さきほど使った要領で白銀の眼を再起動する

保健室のある階に着くと

立ち止まった

(・・・)

絶句して立ち止まってしまった

零の持っている白銀の眼は普通の人には見えない死角を見えるようにしてくれる

そしてここからでも保健室の惨状は見て取れた

「零?」

菖蒲が追いついて立ち止まっている零に声をかける

「やられたか・・・」

悔しそうに顔を引きつらせる

「菖蒲・・・美奈姉を頼む」

「お前は?」

「捜索を続ける」

「そうか、わかった」

「煌さんに連絡して」

「お母様に秘密ルートを使わせてもらう」

「任せた」

それだけ言うと階段を来た方向とは逆に登り始めた









そもそも、何故放課後に部活をしている生徒が誰も居らず、教師の気配が無いかというと山蕗高校に攻撃を仕掛けるという予告状が入ったからだ

授業中は生徒の親達によって雇われた者が多数警備しているので大丈夫ーーーという判断だったが放課後は部活などによって多数の人間が出入りするということですべてを把握する事は難しい

よって生徒は強制帰宅、教師も同じようになった

これは零達にとっては好都合で捜索がしやすくなった

雅辺りが零達に有利になるように仕向けたのだと零は判断していたがーーー

こうなった以上、それは本物だと判断するべきだ

「くそ」









「天使」

「何?」

呼びかけるとすぐにドロシーが反応をしてきた

「犯人の位置は?」

「知らないわ」

「嘘つくな、非常事態だぞ」

「あのね、前に話さなかった?私達は基本的に人間界に非介入、人間の運命を変えてしまうことは駄目なの」

「冗談は聞きたくないな」

「冗談じゃないわよ」

「俺の運命を既に変えてるじゃねえか」

「あら?私と出会ったこと嫌だった?」

「話を逸らすな、それとこれは別だ」

「一緒よ」

「押し問答している暇はない」

「私はあなたが見ている視界しか見えない、第一白銀の眼が有りながら何してるのよ」

「反応が無いんだ」

「へぇ?逃げられたの、珍しい」

「いや、あくまで俺の勘だが犯人はこの校舎にいる」

ドロシーも零の勘は信じている

それだけに不審に思ったように尋ねてきた

「本当に?白銀の眼は正常よ」

「ああ」

零は嫌な予感がしていた

出来れば当たって欲しくなかったがーーー

「もういい、お前には頼らない」

「零・・・最後にいいかしら?」

「ああ」

廊下を走りながら答える

「あなたには私の力を当てにして欲しくない当てに出来ない時も有るのよ」

「・・・」

続きを無言で促す

「さっきも言ったけど私はあなたの運命を変えてしまっている。それは事実。でもあなたは私と組むことを拒んだ?同意の上でしょう。それはあなたが自分で自分の運命を変えたの。決して私のような小さな存在があなたの運命を変えることなんて出来ないわ」

「・・・」

「あなた今は頭に血が登っているようだけど落ち着かないと。あなたらしくないわよ」

面白そうに笑いながら言われる

「そうだな」

ここは逆らわずに言う事を聞く

事実だからーーー

「あなたはあなたがしたいようにするだけ。あなたの未来はあなたにしか見えないわ」

ドロシーがそう捨て台詞を残して勝手に通信を切った

「ありがとよ」

小さく呟き探索を続けた











(どこだ・・・)

焦って眼をフル稼働させるが当たりが見当たらない

どうでもいい情報が多く入ってきて肝心の情報が入ってこない

(洒落にならないぞ)

時間がどんどん過ぎていく

時間がたつとそれだけ逃走がやりやすくなってしまう

そしてその成功率もぐんと上がる

どこにも見当たらないーーー

(外に逃げられたか?)

その可能性も当たって見たが現時点で報告がない事を考えるとあり得ない。とうに菖蒲が校門の封鎖を命令しているはずーーー

となるとこの中にいるはずだがーーー

立ち止まってまだ行っていない場所を考える

(食堂、昇降口、来賓室・・・)

すべて当たってみる


いないーー


(どこだよ)

完全に焦って混乱していた

上手く考えられない

(どうするーーー)

ふとドロシーに言われた言葉を思い出す


ーーーー落ち着けーーーー


無理にでも落ち着いて考えるとまだ探していない一点を思いついた

(そこしかないか)

今降りてきた階段を逆に登りはじめた





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