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天使憑き  作者: 夢籐真琴
57/104

底なし沼から出てきた物は?

2,3日ほど経った日の授業中、零は保健室で休んでいたが、ふと不穏な空気を察していた

廊下に少なくない足音が響いている

それもかなり速い歩き方をしていた

しかし零は起きなかった

特に危害を与えるような雰囲気ではなかったからだが、実際はまだ眠たかったからだ

もう一度寝ようかと考えた時、ふと聞き慣れた独特の足音ーーー実際には音はせずほとんど気配だが・・・を感じとりそっと身体を起こし、今は短刀へと変化している物を右手で柄を握り寝起きでまだ再起動しきれていない頭をフル回転させ起こす

(・・・)

黙々と臨戦態勢を取ってその人物が来るのを待つ

ガラガラと音がなり、ドアが開く

息を潜め気配を消す

保健室の構造上、零の寝ているベットは奥にあるので侵入者からは見えない・・・はずだが

「零・・・何をしている?」

菖蒲がカーテンから頭を出すという変な格好で尋ねてくる

「いや、寝てるだろーーーどう見ても」

「まぁいい。付き合え」

要件を言うだけ言って帰ろうとする

「待てよ」

「何かあるのか?」

「俺は行くとは言ってないぞ」

菖蒲はちょっと首を傾げて

「来ないのか?」

ついてくるのが当然とも思っていた表情にため息をつく

「俺は暇じゃない」

「私もだ」

「だからついて行かない」

「寝ているのが暇ではないだと?」

「ああ」

堂々と言えるような事ではないが気にしない

「そうか・・・困ったな。他に適任者がいないんだが」

独り言のように呟く菖蒲に呆れた目線を送りながら

「まずは用件を言え」

「ついて来るのか?」

「内容による」

「仕方ない・・・お母様が呼んでいる。あとは私もまだ聞かせてもらっていない。零を連れてこいと言われた」

「雅さんがねぇ・・・」

あのクルクル自分の顔を変える雅の顔を思い出す

正直会うのは気が進まないがここで菖蒲と押し問答しているのなら直接話を聞いた方が早いし効率的だ

「どこだ?」

「来賓室48、別名山蕗家専用室だ」

「そんな部屋あるのかよ・・・」

またまた山蕗家の権力の大きさに呆れつつ菖蒲のあとをついていった










「失礼します」

菖蒲が凛とした声で言ったが零は会釈だけで入った

中には真ん中に下手すれば校長室より高いようなソファーでくつろいでいる雅とその両隣に立っている校長、教頭、あと・・・誰だ?

見知らぬ人物が立っている

「君、入室の礼ぐらい言いなさい」

と教頭が注意してきたので首をすくめて返事とする。すると

「かまいません」

との雅の鶴の一声ーーー

完全に無力化された教頭を倒れないようにーーーだから誰だ?知らない人物が脇を支えた

「で、雅さん?用件は」

「気が早いわね、座りなさい」

「はい」

菖蒲の模範的な返事と優雅な座り方とは逆にやる気のなさそうに座る

校長が顔を真っ赤にして怒りたいのを堪えているのがわかる

「早川、2人にもお茶を」

雅が校長を呼び捨てにして命じる

可哀想に校長はおそらく初めてであろう生徒にお茶をだす羽目になった

(こりゃいいわ)

お茶を置くときに壮絶な眼で睨んできたが気付かない振りをして流す

一方2人とは逆に涼しい顔をした男が校長を抑えるように間に入った

「では始めましょうか。雅様」

「そうね。2人とも出て行って」

この2人はもちろん菖蒲と零では無く校長と教頭だ。さすがにそれはーーという表情だったがこれ以上雅の前にいたら何をさせられるかわからないと思い、不本意ながらも不承不承といった表情で出て行った










2人が出て行った途端、立っていた男が雅の隣に座った

それを少し眼を開いて驚きを表すと菖蒲も同じ思いらしく

「お母様、こちらの方は・・・?」

(どうやら菖蒲も知らないらしいな・・・)

と少し興味を持って雅の返答を待つ

「そうね・・・何と言いましょうか?」

「雅様、(わたくし)の方からご説明いたしましょうか?」

「お願い出来ますか?」

「承知しました」

そしてこちらを向くと

「私は(こう)です。よろしくお願いします

菖蒲さん、零君」

煌と名前か苗字かわからないような名前を名乗った全身黒い服を着ている男だったがどこか違和感を感じた。丁寧な言葉遣いとは矛盾する動作の機敏さ

「職業は何を」

菖蒲も同じ考えらしく、相手の職業を聞いたが、煌は笑っているだけで答えない。これに現実離れした答えを言ったのは雅だった

「表面上存在しない仕事よ」

「なるほど・・・」

これで納得してしまえる零や菖蒲もたいがいだが、これなら校長達を退室させたのも頷ける

「で、用件は?」

零はそろそろ頭が痛くなって来たのでさっさと終わらせようとばかりに聞いた


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