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天使憑き  作者: 夢籐真琴
53/104

蒼白い月の空を(19)

菖蒲を抱きしめたまま止まっていた

特に次にするような事が無かったからだ

正確には、白銀の眼と同調を切っていた際の通信の量が多くそれを処理していた。それをするのに一杯一杯だったのだ




それが一段落ついた頃ーー

「伊奈」

「何?」

「菖蒲頼めるか?」

「任せて」

近寄って来た伊奈に菖蒲を渡す

「儲かった」

「そうか」

「ありがとね」

それだけの会話だったが零には大体予想がついた

一緒について来た真は菖蒲が心配らしくそのまま伊奈と一緒に道場を出ていった









道場に残ったのは零と雅だけだった

お互い無言を貫いている

零は立ったまま、雅は正座したままで足が寒く無いのか?と他人事だが心配していた

しかしまたさっきのように長い時間だんまりを続ける訳にはいかないのであえて零から話しかける

「やるかい」

「?」

面白そうな顔で見上げてくる

「約束だろ?」

「貴方にそれが出来ますか?」

今度はこっちが疑問を浮かべる

「貴方のその手と傷ついた身体で戦えますか」

気づかれていた

確かに左手と脇腹 おそらく肋骨が折られているだろう

この状態で戦ったら負けるのが見えている

しかしこっちにも意地があった

「あんたがいいならやるぜ」

状況的に承諾されたら白銀の眼を使って戦う羽目になるのだが

「今回はやめときましょう」

「妥当な判断だな」

「面白い人ですね」

「そうかい?」

言われた事が無いのと、自覚していないのでそう言った

「質問してもよろしいですか?」

「どうぞ」

「菖蒲との婚約はいつになるの?」

飲み物を飲んでいたら間違いなく吹き出していた

「あのですね・・・」

痛む頭を抑えながら言おうとすると

「出来れば早くにお願いするわ」

「話を・・・」

「こちらにもいろいろ事情があるの」

全く聞こうとしない

「大丈夫よ!貴方なら口うるさい私たちの親戚にも対応できるわ」

「口うるさいんですか」

自分の中で突っ込むところはそこじゃないと聞こえる

自分でもその意見に賛成なので反論させてもらう

「ちなみに俺は菖蒲と婚約する気はありません。何かもう既成事実になりかけているのでご忠告をしときます」

「あら、菖蒲って名前を連発しているからてっきりそうなのかと」

「わかってもらえましたか」

「最初からそう言ってね。そうなの伊奈ちゃんとなの」

「はい!?」

「伊奈ちゃんも魅力あるからね~。いいお嫁さんになるわよ」

「いや、伊奈ともそういう関係じゃ無いので」

「あら二股?」

「いい加減にしろよ、雅さん。その芝居似合ってない」

「あら、ばれてたの?」

「そんだけわかりやすい芝居してたらな」

悪戯っ子みたいな顔をしている雅を見つめる

「どっちが本当のあんただ?雅さん」

「私の持つ顔はたくさんあるの。どれが本当の顔なのか忘れたわ」

「せめてどれかに統一しろ」

「めんどくさい」

「それもあんたの顔の1つか」

顔が真面目な顔に戻る

本能的にこれは本気だとわかる

「では貴方に問います」

「どうぞ」

似たような事ばっかりやってるなと考えていると

「貴方は本当に菖蒲と結ばれるつもりはないのですか?」

「・・・」

また同じ事を言われる

しかし今度は眼が真剣だ

「ない」

「そうですか」

あっさりと引いたのを疑問に思っていると

「では伊奈ちゃんはどうですか?」

「・・・」

同じ事の繰り返しだと嘆きながらも

「俺は菖蒲とも伊奈とも婚約する気はない。確かに2人とも面白いがそういう感情はないよ」

「そう」

「1つ聞きたいんだが菖蒲と伊奈との関係はどうなってるんだ?普通に生活してたら会う事はないと思うーーまあ菖蒲は普通じゃないが、しかも外国まで一緒に行ってたんだろ?ただの友達じゃないみたいだけど。伊奈もなにか訓練を受けてたのか?」

「よく調べたわね」

「相棒がね」

「2人に聞きなさい。本人が答えていいと言っていない以上私が答えていいものじゃないでしょ。本人に聞きなさい」

「聞いても教えてくれないから聞いてんだよ」

小さな声で呟いた

「それより貴方、何か訓練積んでるでしょ。どこで菖蒲と対峙出来るだけの技量を身につけたの?」

「俺は訓練は積んでいない」

雅が眼を張る

「山蕗家の力で調べてみな。何も出てきやしねーよ」

「そう」

投げやりな態度に何かを感じたのか深く追求してこなかった

ありがたい事だった


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