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天使憑き  作者: 夢籐真琴
34/104

遠い空の下で⑸

「で、用件は?」

偉そうにふんぞりかえって高い酒を飲みつつ尋ねる

「君、私にもそれをくれないか?」

何で自分のものを貰うのに人に頼まなければならないのかと考えながら、零が飲んでいる酒のボトルを指差す

「欲しかったの?ほい」

あっさりとボトルを投げて渡して

「暇じゃないんだからさあ、さっさと用件言ってよ」

半分程を空にされてショックを受けている萩田に対して、追い打ちをかける

「これは高かったのだぞ」

「人の質問に答えろ 用件は何だ?」

「むむむ・・・」

予想外に高圧的な零の態度に少し苛立ちながらも

「わかった、用件を言おう 君がここまで来るのを見させてもらった 君の実力はすごい 大人達にも引けをとらず更には私の直属の部下までも倒してしまった」

顎で伸びている2人をさす

「覗き見かよ 趣味悪いな」

「まぁ、覗き見は悪いとは思ったが まあいい君に問う 私と組まないか?」

「それだけのために呼んだのか?」

「ああ、君は私の傘下に入ってくれればうちはもっと強くなる」

「断る」

「?」

鞄を持って立ち去ろうとすると後ろから止められる

「ちょっと待て どうせ君は堅気ではないだろう 無傷でここまで上がって来たのだから 君のは柔道や剣道とかいった武道とは違う もっと実践的な物だ こんなに戦いに慣れた奴はうちの傘下にもそうはいないぞ」

「残念ながら俺は堅気だ」

「嘘を言うんじゃない」

「いいかげんにしろ 俺は忙しいんだ」

「そんな薄情な」

「お前死にたいのか?」

「零~」

「学校まで押しかけやがって常識が無いのか?」

「あるとも、少なくともお前よりずっとな だいたい3年も誘っているのになぜ俺の仲間にならない」

「今回のは真面目に頭に来たからな ただの勧誘ならまだしも学校に押しかけてくるとはな いくらおまえでも今回のは許さないぞ」

「いや、ちょっと待て」

振って長くした剣で殴りかかる

油断していた萩田に綺麗に一発が入った それでも気絶しないだけマシだろうか?さらに次々と入ってくる人間の急所を的確についてきた零の攻撃で体の自由が効かなくなった 一時的に木刀と化した剣の刃の部分で首を抑えられる

「金があるからって、こんな真似しやがって 次したら本気でお前の命を取るぞ」

「わかった、わかったよ だからどけてくれ」

「俺は従兄殺しにはなりたくないからな」

「いつから気付いてたんだ?」

「最初からな おまえ不自然なんだよ」

「そうかい?結構様になっていたと思うんだが」

「じゃあ帰るぞ、俺は暇じゃないからな」

「零」

「ふん?」

「君は本当にうちに入る気は無いのか?」

少し笑った零は

「悪いな その気はない」

「そうか 残念だ わかった今回で最後にするよ」

「ありがたい」

そう言って歩いていった


「実に惜しい男を失ったものだ」











ーーーーー後日談ーーーーーーーーーーーー

「え?結局あの人はヤクザじゃなくて零の従兄だったの?」

零はいつもの4人で食事をしていた時に美夏が叫んだ

「ああ、何を気に入ったのか俺を前からずっと勧誘してくんだよ」

「じゃあ、最初にきた人は?」

「あれも社員だな」

「わざわざ変装してたの?」

「そうだな」

「零を誘うためだけに?いつからわかってたの?」

「最初からだ だいたい不自然すぎんだよ」

「じゃあ何でついていったの?」

「昼からサボりたかったから ああそういや学校の方にもなんぼか金がいったらしいからな学校も多分グルだな」

「お兄さん お金持ちなの?」

「あれ?知らない?萩谷グループの社長」

「・・・」

三人揃って口を紡ぐ

全国規模で展開する財政界の5本の指に入るような有名な会社だったからだ

「おまえすげーな」

良太が言った言葉は教室全員の本音であった

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